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天気予報ではお日様のマークが並んでいましたが、快晴は朝早くだけで、ほぼ1日中薄曇りでした。 境内の緑は、先週に比べるとまた少し落ち着きました。 若葉がしなやかに風にそよぐ様子はすがすがしく、新緑の中を歩くだけでその‘若さ’がシャワーのように自分に降り注がれて、若返るような気がします。 目を東山に転じると、浅黄色の新芽があぶくのように立ち、「山笑う」という言葉が思い浮かびます。 冬の眠りから覚めた草木は、花に新緑にと、次々と私たちを楽しませてくれます。空気のように当たり前と思っていたそんな自然の営みの危機が、最近叫ばれるようになりました。 ただ、理念だけで「自然を守ろう」などと声高に言っていても、政治家の選挙公約のようで、まったく心に響きません。それぞれの人がいかに自然を「有り難いもの」と感じるか、それが自然を出来るだけ壊さないように生きる、静かで大きな力になるように思います。 さぁ、明日からは大型連休。ぜひとも自然の素晴らしさを享受するスケジュールを加えていただきたいと思います。
午後、草引きをしつつ、朝よりも本堂に近付いてきた堂守に会ったら、「今日はまだダメですね。やっぱり、海外とかが多いでしょうか? 少しはおこぼれが来られるでしょうか? やっぱり、明日からでしょうねぇ」と、まだ気にしていました。 桜の季節が終わって、また拝観者が少なくなり、きっと手持ちぶさたなのでしょう。暇だと余計に疲れるのかも知れません。 京都の観光客が増えるのは、4月の桜の頃、5月のゴールデンウイーク、そして秋10・11月です。4・5・10月はほぼ横並びですが、11月はその1.3〜1.4倍に増えます。 京都観光の3/4は日帰り。中高年女性とリピーターが多く、男女比では女性が6割、そして10回以上京都を訪れたことがあるというリピーターが6割以上となっています。
最近、「真如堂」という名前が少し知られるようになったので、秋以外の季節に来られる方も多少増えました。桜の時期も多少は増えますが、秋のピーク時の5%にも達していないでしょう。いかに秋が‘異常事態’かともいえます。 「まぁ、忙しくない程度に来ていただく方がいいでしょう? 草引きしながら寝ていたら、危ないですよ。ひっくり返りますよ」と、その場を去りました。背中にお日様を受けながら草引きしていると、ついついウトウトしてしまわれるのです。 そういえば、野良猫のついての情報交換もしました。いま、境内には三毛猫1匹(ミーコ)、黒猫2匹(1匹は胸に小さな白斑)、白黒猫2匹(1匹は口と鼻の回りが黒い)の、合計5匹の野良猫がいるそうです。白黒の1匹はすぐに本堂に侵入してくること、ミーコが最近おとなしいことなどを教えてもらいました。寺の趨勢には何ら関係のない話です。 坊さんと職員が何を立ち話しているかと思ったら、中身はどうでもいいような野良猫の話題。そんな暢気な光景が、この寺にはよく似合うと思います。 手 の ひ ら は 元 あ し の う ら 山 笑 う 寺田良治
あっという間に藤が咲き、もうすでに少しこぼれ始めました。遅咲きの八重桜「関山」の花も、もうあと数日のいのちです。白山吹も、あっという間にもうすぐ終わります。 思い返すと、この1ヶ月、大変なスピードで花が咲き、そして散っていきました。木々の芽が大きくなり、一気に芽吹き、今は日に日に色を濃くしています。実にいろいろな光景を楽しませてもらいました。 そんな慌ただしいともいえる移ろいが一段落した頃、本堂前の菩提樹が芽吹き始めました。スペード形をした新しい葉が、やっと開いてきました。おろらく境内で一番遅い芽吹きです。木にもそれぞれのペースがあるのですね。まして、人間は。
「バナナの木」「バナナの花」、そんなばなな木は自坊の庭にはありません。お二人がおっしゃっているのは、 2.5メートルほどの低木で、それほど魅力のある花でもありませんが、なぜか皆さんこの花のことを気に掛けてくださいます。毎年、「ホームページで見ましたが、どこに植わっているのですか?」と、わざわざ訪ねて来られる方もおられます。そこで、去年は、「おがたまが開花しました」と小さな看板を出しました。 何が魅力なのでしょう? 特徴といえば、花が咲く時に、バナナに似た甘くて強い香りがすることです。ただ、それも匂う時と匂わない時があり、せかっくお越しいただいてもほとんど匂わない時もあります。咲き始めに匂うとか、満開の時に匂うということでもなく、雨の後とかによく匂っていると感じた時もありますが、その‘法則性’はよくわかりません。 ボクはいつもバナナの香りが漂ってきたら、「あっ、咲いたんだ」と思って見に行くのですが、今年はまだ匂ってもいないのに、先を越されてしまいました。写真を撮りにすぐ側まで行きましたが、今日はまだぜんぜん匂っていませんでした。 「さぁさぁ、ご用とお急ぎでない方は、見てらっしゃい! 匂ってお帰り! 荷物にゃならぬ!」 紫 の 斑 の 仏 め く |