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でも、この好天も今日だけ。明日は一転して荒れた天気になり、強い風が吹き荒れて、土砂降りになる可能性もあるとか。 「春に三日の晴れなし」といいます。春の天気は、「ふる・ふく・どん」ともいい、「雨が降る」「風が吹く」「曇天」を繰り返すとも言われます。お天気が周期的に変わるようになるということは、春が訪れた証なのかも知れません。 昨日あたりから、鶯がよく啼くようになってきました。「鶯の谷よりいづる声なくは春くることを誰か知らまし」(古今集)と詠まれるように、鶯は春が来たことを知らせてくれる「春告鳥」です。その一声を聞くだけで、「あー、春が来たなぁ」とほんわかしたムードに包まれる気がします。
お昼頃に、車で乗り付けて、「まだ咲いてないわぁー」と言って、またそそくさと帰って行かれた方がおられました。きっと写真を撮ろうとした人でしょう。写真を撮る人の多くは、ファインダーを覗くばかりで、花そのものを楽しむことに熱心ではありません。 確かに染井吉野はまだ咲いてはいませんが、かなり動き出しています。 境内で一番早く咲く染井吉野は、総門前の、境内の取っかかりのところにある2本です。境外から最もよく見える場所にあって、大きく枝を広げているので、とても目を惹きます。先日来、何人かの方にこの桜のことを誉めていただきましたので、桜に代わってお礼を申し上げたばかりです。 その桜の蕾から、ピンクの色が見えるようになってきました。あと4〜5日で開花するでしょうか。 この桜が一番と思っていたら、塔と本堂の間に、1輪だけ咲いているのを見つけました。他の蕾はまだ花色さえ見えないというのに、いったいどうしたのでしょう。
本堂脇の「縦皮桜」も、今日、2輪咲いていました。後に続く蕾が見あたりませんので、まだボクの開花宣言は出せません。25日頃になるでしょう。 「縦皮桜」は「江戸彼岸」と呼ばれる種類、しだれ桜もその園芸品種でしょう。萼筒の付け根が球状に膨らんでいるのが特徴です。江戸彼岸は染井吉野よりも4〜5日ほど早く咲きます。ボクは豪勢に咲き誇る染井吉野よりも、江戸彼岸のほうが好きです。 次回の更新はちらほら咲きの染井吉野を、次々回は満開〜桜吹雪特集となるかも知れません。乞うご期待! 桜 咲 く そ う だ ヤ カ ン を 買 い に 行 こ 中原幸子
冬の境内がモノトーンだとすれば、春は何色でしょうか? もうすぐしたら桜色。その後は一気に新芽の色に圧倒されますが、新しい芽も緑ばかりではありません。赤や黄もあって、全体的には入り交じった色になります。その雑色もまた春浅い頃の特徴です。 芳しい匂いがして辺りを見回すと、沈丁花が咲いています。日の当たっている土からは、何かが腐ったようなバクテリア臭がしてきます。匂いも春を演出するのに欠かせません。 都会で生活するには、見ないように、聞かないように、嗅がないようにと、五感を殺さないといけない時があります。それに慣れきってしまうと、いざ、自然の中に出ても、五感は充分な働きを取り戻してくれません。‘見ている’のに‘見えていない’、そしてそのことにさえ気づかなくなってしまいます。
でも、ただ漫然と見聞きしていても、感覚は呼び覚ますことはできません。意識して見る、聞く、感じることが大切でしょう。 電車の運転手さんがするように、声を出しながら指さし確認をしてみるというのはいかがですか? 「ハイ、桜開花そろそろぉ!」「はい、鶯の谷渡りぃー ケキョ!」「黄砂、確認!」 気がついたら、回りに誰もいなくなっているかも知れませんが・・・。 それぐらいのリスクを背負ってでも五感を研ぎ澄ますことが出来れば、今年の春は今までとはまるで違ったものに感じられるに違いありません。 恥ずかしくてとても出来ないと思われる方は、手始めに写真を見て指さし確認のシミュレーションをどうぞ! 「レンギョウ! ヨーシ!」 いかがですか、うまく出来ましたか? |