3/10版
今日は土曜日とあって、境内は法事に参列された方々や涅槃図の拝観をされる方など、いつもにも増してたくさんの人が往来されていましたが、天気が下り坂になるに従って人数は減っていきました。雨に遭う前に帰ろうと思われたのでしょうか? 「 日本人は、世界中で最も「雨」の好きな人種だとも言われます、短歌、俳句、小説、民謡、歌謡曲・・・雨をテーマにしたものは数え切れないほどたくさんあります。 春雨・春時雨・春驟雨・菜種梅雨・春霖・梅若の涙雨・木の芽雨・花の雨・桜ながし・卯の花腐し・万糸雨・育花雨・桜ながし・・・春の雨に付けられた名前の多いことがそれを物語っています。
境内の桜の蕾も次第に膨らみ、しだれ桜は少し花の色が見えてきたような気がします。もみじの新芽は先週よりも明らかに大きくなり、カエデは芽吹き始めました。新緑が桜に先んじるかも知れません。 午前中、陽の当たる地面から、バクテリアの繁殖する、腐ったような臭いがしてきました。花の頃によく漂ってくる臭いです。「桜の木の下には死体が埋まっている」というのは桜の妖艶さをいうのかも知れませんが、ボクはこの臭いを真っ先に連想します。この臭いが漂い始めたら、春はもう本物です。 今日の雨は、桜の蕾をまた一回り大きく育て、木々の芽吹きをますます急かしてくれそうです。 春 の 土 踏 め ば 応 ふ る も の の あ り 星野高士
境内では、本堂の北側で ボクは山茱萸の花の写真を撮るのが苦手です。毎年何枚も写しますが、一度として満足なものが撮れたことがありません。離れたところから建物と一緒に写すには、山茱萸の花は小さく色もやさし過ぎます。アップにして花を目立たせると建物が判別できず、境内で撮った雰囲気がでません。 馬酔木もまったく同じです。境内の馬酔木は、写真のように大きな木なのです。木の大きさを写すと、花の可憐さは微塵も出ません。それどころか、どこに花が咲いているのかおわかりにならないのでは? 皆さんに愚痴ってはいけません。写真の修行あるのみ!
本堂の裏の三井二木会の慰霊碑の横に大きな椿の木があります。木の下にたくさんの花びらが落ちていて綺麗だったので、しゃがんだり寝ころんだりしながら散り椿の写真を撮りました。起き上がる際にふと見上げると、朝の光を浴びた緑の葉と赤い花がとっても綺麗! 椿の木の下に入って、花を見上げた経験は記憶にありませんでしたが、分厚く濃い緑の椿の葉が意外なほど透けて、鮮やかな赤とよくマッチしていました。 椿の魅力を新たに見つけたようで、とても嬉しかったです。
この花には、ハナダイコン、ムラサキハナナ、ムラサキナズナ、オオアラセイトウなど、いろいろな呼び名がありますが、「諸葛采」は『三国志』で有名な諸葛孔明が、戦地に赴く時に成長の早いこの草の種を持参し、陣中の野菜を補ったことに由来して付けられた名前だといわれています。 先週はまだ蕾だったこの花が今日はもうたくさん咲いているなど、春の訪れを告げるかのように、一つ一つ咲く花の種類が増えていきます。四季のある日本に生まれてよかったと、あらためて思います。 今日から、保津川下りが始まりました。また今夜から、東山の青蓮院から円山公園・八坂神社から清水寺までの散策路を露地行灯で照らす「東山花灯路」も始まりました。桜花爛漫の本格的な京都の春の観光シーズンへのプロローグです。同時に、静かで‘何もない’京都もしばらくお預けです。 三寒四温の不順な気候が続きます。春本番に備えて、体調を万全に整えておいてくださいね。 顔 じ ゅ う を 蒲 公 英 に し て 笑 う な り 橋 間石 |