12/29版 




        し き り に 降 る 雪       マウスを載せれば写真が変わります
 京都は、今冬一番の冷え込みとなりました。
 「寒いし暗いし、もうちょっと寝ていたいなぁ」と思いながらお勤めなどを済ませ、朝ご飯もいただいた7時頃、外の掃除をしようかと窓の外を見たら、急に吹雪いてきました。雪はどんどん降り続け、あっという間にうっすら白くなっていきました。
 少し明るくなるのを待って、カメラを持って境内へ。こんな急な雪では、さすがの写真好きの人たちでも間に合いません。カメラが濡れるのを気にしながら、境内を独占撮影しました。
 犬の散歩の人たちも出控えたのか姿が見えず、ウォーキングの人たちも出鼻をくじかれたのでしょう、おられません。
 本堂の職員が、回廊などに吹き込んだ雪を飛ばそうと、ブロアのエンジンを掛けようとしていましたが、何度やってもうまくいきません。やっとエンジンがかかって作業を始めましたが、西風に乗って降ってくる雪は、本堂の階段や回廊に溜まってきりがありません。職員は早々に諦めて、中に入っていってしまいました。

           日 が 差 し て き た 頃 の 雪 景 色       マウスを載せれば写真が変わります
 雪は時おり強く降りましたが、その甲斐なく、10時頃には大方消えていきました。その後も、思いだしたかのように強く降ることもありましたが、積もりはしませんでした。
 あたたかいこの冬、まだ地面などにはあたたかみが残っていて、雪も積もりにくいのかも知れません。もっともっと冷え込んで、手足の先が痛くなるほどでないと、凛とした雰囲気が漂ってきません。
 「京都市内で初雪」と、お決まりの金閣寺の映像がTVのニュースに出ていました。今日の積雪は、午前10時に「1センチ」と記録され、11時には「−」となっていました。あっという間の出来事でした。
 今日の雪は、まずは雪の季節が到来したことのご挨拶、プロローグといったところでしょうか。気温は、今朝7時の−0.6度が最低。最高気温は3.6度と上がりませんでした。
 雪が降れば、京都にお越しになる方が増えるといいます。積もったことを聞いてからお越しになるのでしょうから、ほとんどは近県の方でしょう。さて、この冬には、皆さんが到着されるまで消えないほどの雪が何回降るでしょうね。




        初  雪  へ  出  て  行  く   逢  ひ  に  ゆ  く  ご  と  く         満田春日




      昼下がりの濡れた境内 / キラキラ光る雪解け水     マウスを載せれば写真が変わります
 昼下がりの晴れ間を狙って、もう一度境内を散策しました。
 自坊を出る時、樋を通って落ちてくる雪解け水が賑やかで、「こんなに流れるほど、雪が積もったのだろうか?」と、不思議に思いました。
 参道の石畳はまだずいぶん濡れていて、そこに斜めの光が当たってキラキラと輝いていました。「ただの雨では、こんなに輝かない。雪解け水には何か秘密があるのだろうか?」と、また不思議に思いました。
 本堂の前の、下足を脱ぐ簀の子すのこが柱に立てかけてありました。雪を吹き飛ばそうとした甲斐もなくずぶ濡れになってしまい、参拝の方の靴下が濡れるといけないと思って、外したのでしょう。
 参拝客の姿を見かける度に、職員がスリッパを持って、「これをお履きください!」と駆け寄っていました。何と親切なお寺なんでしょう! 自寺自賛。参拝客が多いと、こういうわけにはいきません・・・良いような悪いような。

     本堂裏に差し込む光 / 大晦日の晴れ舞台を待つ鐘楼堂   マウスを載せれば写真が変わります
 雪解け頃の空気は実に澄み渡っていて、塵一つ含まれていない気がします。雪が空気中の塵をすべて吸着して降り落ち、とける時には塵も一緒に水に流してくれた。そんな気がして、息をするのに何のストレスも感じません。やっぱり、雪解けには不思議な魅力があります。
 本堂をグルッと1周しましたが、石畳やまだ掃除しきれないままのもみじの枯れ葉がキラキラ光り、本堂の大屋根から落ちてくる雪解け水の音が意外なほど大きく、溝を流れるその水が水紋を作りながら光っていました。
 極楽の八功徳水で満たされた極楽の池の上には、金銀宝石で飾られた楼閣があると聞きます。その楼閣の飾りが風に揺られて妙なる音を立てているような、阿弥陀仏の発する無量なる光が差してきているような、そんなイメージに浸りきり、本堂を1周するだけで我が身が浄化されたようにも感じました。
 せっかく素晴らしい法悦に浸りきっていたのに、屈強なる別の職員から、「ウコンの芽が出てるので、持って帰ってください! 焼酎に漬けるといいですから」と声を掛けられ、一気に現世利益の境地に引き戻されました。
 雪解けは素晴らしいなぁ、不思議だなぁ。また、雪が降ってくれないかなぁ。


      少し雪をかぶった十月桜 / 千両の実は何処へ?   マウスを載せれば写真が変わります
 今年もあと2日となりました。何だか、お盆を過ぎ、お彼岸を過ぎると、後はあっという間だったような気がします。
 今年のお寺の行事は、大晦日の「除夜会じょやえ」と除夜の鐘で終わり、元旦早朝の「修正会しゅしょうえ」と続きます。除夜の鐘が終わってから修正会まではわずか数時間。除夜の鐘の後片付けをして、修正会の準備もしなければいけない若手は、ゆっくり寝ていられません。中堅のボクは、しばし寝られます。
 除夜の鐘は、真如堂一山の僧侶が撞いた後、参詣された方々に撞いていただきます。おそらく400〜500人の方がお越しになるので、4〜5人で1撞きになります。
 天台宗の僧侶用の数珠は、1周108つの珠でできています。それとは別に20珠と10珠の房が付いていて、それらを駆使すると3000まで数えられる仕組みになっています(1周108つですが100と数えます)。実に合理的に出来た「数」をかぞえる「珠」です。
 かつてはこの数珠を使って除夜の鐘を数えていましたが、最近は『紅白歌合戦』の続きのように、カウンターで数えるようになりました。ちょっと情趣に欠けます。
 鐘は12時頃から撞き始めて1時過ぎ頃には終わります。どなたでも撞いていただけますので、お誘い合わせの上、お越しください。もちろん無料。薬湯のお接待もたぶんあります。

      雪解けの、秋明菊の遅れ花 / 椿の花も濡れて   マウスを載せれば写真が変わります
 「今日の散歩道」も、今回が今年最後の更新となりました。
 数えてみると、このページは今年52回更新しました。更新のために準備した写真は1550枚。それを選ぶために、実際には7〜8千枚以上の写真を撮っているでしょう。デジカメだからこそなせる技です。
 満足のいく更新ができた時もありますが、ネタ切れ、時間切れ、準備不足、「また同じことを書いてる」などということが大半。お恥ずかしい限りです。
 それにも懲りずにご覧くださった皆さん、今年1年、本当にありがとうございました。
 来年も皆さまのお越しを心からお待ちしております。来る年が皆さまにとって幸多き年となることを祈念して、今年最後の更新を終えさせていただきます。ありがとうございました。




      ま  い  に  ち  が  初  め  て  の  年    暮  れ  に  け  り        千葉皓史