12/15版
お昼前から日が差し始め、張り付いていた枯れ葉はカラカラに干されて、今度は風の思うがままに翻弄されていました。 境内ではまだ名残の紅葉が見られます。往時のようなきらびやかさはありませんが、静かに語りかけてくれるような紅葉です。しかも色は今のほうが冴え、わずかに残る紅い葉でも、陽の光を受けた時にはハッとするような感動を与えてくれる気がします。 往時を「饒舌」と譬えるなら、名残の紅葉は「寡黙ながら雄弁」。それを往時のように人混みの中で見るのではなく、独り占めできる。名残の紅葉ならではの‘特典’です。
落ち葉の掃除はかなり進みました。‘敷き紅葉’を見ていただくために意識的に残してあった場所や手が回らずに集めて積んだままになっている枯れ葉の‘山’などが残っている他、毎日少しずつ散ってくる紅葉などを掃除するために、お天気さえよければ、境内のあちこちから落ち葉を吹き飛ばすブロアの音が聞こえてきます。 落ち葉掃除は実に爽快! 落ち葉は濡れてさえいなければいとも簡単に吹き飛ばせるので、熟練の腕でブロアを使いこなして集め、運搬袋に詰めたり軽トラックに乗せて、邪魔にならない場所に山積みして腐らせます。 ブロアで吹き飛ばせば、落ち葉はなくなってスッキリする。その明快さ、成果が一目瞭然なところが、落ち葉掃除の醍醐味です。 まだしばらくは楽しませて貰えます。やってみたい方、おられませんか? ストレス解消にもってこいですよ! 遠 い 木 が 見 え て く る 夕 十 二 月 能村登四郎
そんな紅葉でも、「わぁー、すごい!」「きれいだなぁ!」と歓声をあげている方もたくさんおられましたが、ボクは事ある度に、「今年はダメです」「今年は綺麗じゃないです」と腐してきました。余計なことを言わないほうがよかったと悔いています。 今年の9〜11月は、寒気の南下が一時的で、移動性高気圧に覆われたため、晴れて暖かい日が多く、秋雨前線の活動が弱くて雨が少なかったようです。また、今年の年平均気温は、統計を開始した1898年以降11番目に高い値となる見込みだそうです。
はたして来年は綺麗な紅葉が期待できるのでしょうか? 日本の年平均気温は100年あたり1.07度の割合で上昇していて、特に1990年代初め以降、高温になる年が多くなっているそうです。地球温暖化の影響と、数年〜数十年間隔で繰り返される自然変動が重なったのがその原因だそうですが、地球温暖化が簡単に止まるとは考えられず、自然変動もいつまで続くかわかりません。 昨日のことは忘れても、昔のことは覚えているボクですから、例えば見習僧だった30年前、「11月15日のお十夜の結願の時には、参道を登り切ったところのもみじが真っ赤に色付き、その枝の下を通って御練りをしたなぁ」などという記憶は鮮明です。
しかも、紅葉する時期が遅くなっただけで、時期が来れば綺麗になるかというとそうでもなく、どうやら紅葉にもタイムリミットがあるようです。いつまでもダラダラと温かいと、紅葉は綺麗になることを諦めて、枝に付いたまま枯れてしまったり、紅くならずに茶色くなったりして散り、毎年冬至の頃には落ち葉掃除もほぼすべて終わる気がします。 残念ながら、来年の紅葉が綺麗だといえる明るい材料はどこにも見つかりません。せめて、充分な雨が降ってくれますように。 ただ、紅葉を見るなら、少々ピークに遅れたとしても、11月末〜12月初めが絶対お勧めです。勤労感謝の日前後は、紅葉ではなく人を見に行くようなもので、道は混雑、ホテルは取れず。いいことはほとんどありません。 「京都の紅葉は11月末〜12月初め」と、来年の紅葉見物の時には思い出してくださいね!
真如堂でも、昨日、1年を締めくくる「 本堂の大掃除は毎年決まった日に行われるわけではなく、今年は21日。主に若い?僧侶の手で行われます。もちろん、ボクも参加します! 「40、50は鼻たれ小僧」という世界ですから。 最後に大晦日に除夜のお勤めをして鐘を突けば、今年の公式行事は終わりです。 各塔頭では、それぞれお餅つきや大掃除、迎春準備などが行われます。ボクも11月から年始用の護符作りや墓参の方のための経木を書く作業の真っ最中。「お正月が来るのを手ぐすね引いて待っています!」などと、いつか言ってみたいもの。‘師走’だけに、毎日走り回っています。 ただでさえお忙しい時、ノロウイルスに呪われないようにしないといけません。皆さんも、ご用心! 遠 ざ か る 人 と 思 ひ つ 賀 状 書 く 八牧美喜子 |