12/2版 




        午 後 の 境 内      マウスを載せれば写真が変わります
 今年の紅葉が楽しめる最後の土日。境内にはたくさんの人が繰り出し、先週の土日や勤労感謝の日にも引けを取らないぐらいの賑わいで、とても12月とは思えない光景です。
 車も多く、不慣れな係員の誘導が余計に混乱に拍車を掛けて、時折、けたたましいクラクションの音が聞こえてきます。
 午前中は晴れ間が見えたものの、午後からは曇り、夕方には少し時雨れました。風が少し強く、体感温度は低めですが、散策する気を削ぐほどではありません。ただ、曇り空では、名残りの紅葉の色も映えず、最後の紅葉の美しさを堪能していただけないのが残念です。
 境内は、風に煽られて枝を離れざるを得なくなった葉がどんどん降ってきて、いくら掃除をしても追いつきません。せっかく、早朝1〜2時間かけて落ち葉掃除をしたのに・・・。「こりゃぁ、明日の掃除が大変やなぁ」と、職員と顔を見合わせました。


     吉祥院前の敷き紅葉 / 塔の脇の集められた落ち葉    マウスを載せれば写真が変わります
 今年の紅葉は例年より少し遅れ気味でしたが、11月後半以降には綺麗になってくれるのだろうと期待していました。でも、結局、目の覚めるような澄んだ赤い色を見せてくれることなく、濁った赤色のまま、あるいは枝に付いたまま縮れて、終わっていこうとしています。
 「うわぁー、きれい!」という声を聞く度に、「こんなものと違うのですよ、真如堂の紅葉は」と、心の中で突っ込みを入れてしまいます。
 今年の紅葉は、点数を付ければ70点程度でしょうか。「うわぁー、めちゃくちゃ綺麗やなぁ・・・」と絶句するような紅葉には、今年はまだ出会えていません。おそらく、出会えないまま終わっていくでしょう。
 11月15日〜末日までの過去30年の最低気温の平均は6.5度ですが、今年は9.1度と、2.6度も高めでした。最低気温が10度を越す日が5日もあり、27日などは最低気温が14.3度もありました。寒気の南下がほとんどなかったためで、汗をかく日の多かった11月でした。
 紅葉の色が冴えてくるには、最低気温が5度程度になる必要があると言われていますが、気温を見る限り、もみじに「綺麗になってくれ!」というほうが酷な気がします。
 また、9〜11月の雨量も、平年の7〜8割ほどしかなかったようです。
 気温や雨などの条件が揃って、本当に綺麗な紅葉に出会えるのは10年に1度程度。今年の紅葉でも及第点をつけてあげないといけないのかも知れません。



        あ  た  ゝ  か  き  十  一  月  も  す  み  に  け  り       中村草田男




     本堂裏の敷き紅葉 / 今が見頃ですが・・・本堂裏     マウスを載せれば写真が変わります
 11月半ば、落ち葉が増えだしてから毎朝、境内の落ち葉掃除を続けてきました。掃除をしながら、落ち葉の種類、量、場所などで、紅葉の進み具合を感じてきました。
 最初は本堂前の「花の木」がいち早く散り始め、同じくカエデ類が散り出しました。続いて、本堂前庭両脇のもみじが散り始め、そしていまは吉祥院の前の竹垣の中のもみじや銀杏が半分以上散りました。
 紅葉の綺麗な年は、落ち葉も綺麗なものです。かえでの落ち葉は、赤、朱、黄と美しいものでしたが、もみじは大方が縮れていて、みずみずしさがありません。
 「12月に入ってからは、本堂裏のもみじが綺麗です。紅い絨毯じゅうたんを敷いたようなもみじの落ち葉が素晴らしいです」と皆さんにPRしてきました。
 その本堂裏も、3日ほど前から落ち葉が増えて、‘敷き紅葉’状態になってきましたが、ほとんどの落ち葉が乾燥して縮れ、枯色がかっていて、まったく瑞々しさがありません。
 例年は、乾燥してきて色が悪くなってきた頃にブロアで吹き集めてしまうのですが、初めからそんな色では仕方ありません。せめて、来られる人の多い3日の日曜までは見どころを残しておくべく、‘落ち葉バスターズ’にも遠慮して貰いましょう。

       台杉と紅葉 / 鐘楼堂前の紅葉      マウスを載せれば写真が変わります
 都合により更新を1日遅らせましたが、今日も朝から多忙で、早朝と午後の写経の会の合間を縫って、そそくさと写真を撮りました。
 午後はいつものように変装している時間がなかったので、僧衣姿のまま、小さいデジカメを持って境内をウロウロしました。
 僧衣姿でいると、「綺麗ですねぇ」と話しかけられたり、道を尋ねられたりして、なかなか写真が撮れません。
 「すみません! 一緒に写真を入ってもらえませんか!」と初老の女性たちに駆け寄られ、有無を言わさず真ん中に立たされて、引きつったような笑顔で‘パシャ!’。
 一組にお付き合いすると、「すみません。こちらもお願いできますか?」と、カップル、ご夫婦などに次々頼まれ、しまいには何組かが並んで待っておられるような始末。「雰囲気ある写真が撮れたねぇ」などと言いながら去って行かれました。何だか紅葉の中の狸の置物にでもなったような気分でした。

  照り葉越しの三重塔 / 本堂右裏。日が照ればまだ綺麗なのに・・・ マウスを載せれば写真が変わります
 小さな子供には、「あっ、お地蔵さんがしゃべってる!」と言われました。子供には「あの人、禿げている!」とか「毛がない!」とも言われることがあります。制止する親もあれば、黙って強引に手を引いて遠ざかる親もいます。
 正直な子供の口に戸は立てられませんが、前回の更新で多くの人が塔を見て「あっ、五重塔」と言うように、子供には丸刈りで小太りな人は、お地蔵さんに見えるのでしょうか? これって、‘法則’? 有り難いお地蔵さんに間違えられるのなら、素直に喜ぶべきなのでしょうか?
 人も多く、僧衣では寝ころんだり高いところに登ったりして写真を撮ることも出来ず、結局、通り一遍の写真となってしまいました。
 そうそう、デジカメで写真を撮る坊さんが珍しいのか、ボクの撮影風景を写真に撮っている人もいました。どこかのブログに使われているかも知れません。


   朝の本堂横参道 / 本堂回廊から見る三重塔   マウスを載せれば写真が変わります
 紅葉見物の喧噪も3日の日曜日で一段落。寺々のライトアップなども終わり、南座では「吉例顔見世興行きちれいかおみせこうぎょう」も始まって、京都の街は師走の光景に様変わりしつつあります。
 秋の観光シーズンが終わって落ち込む観光客を誘致しようと、「京の冬の旅」が間髪入れずに始まり、まずは定期観光バスの特別コースなどがスタートしました。9日からは、「嵐山花灯路はなとうろ」も始まります。
 イベント流行で観光客が増えるのを喜ぶ人も多いでしょうが、張りぼてや見せかけばかりの‘京都らしさ’が横行している気がします。観光客の人が‘京都らしい’と感じるものと、本物とはかなりズレがあるようにも思えます。
 「師走」の語源は、僧侶がお経をあげるため、あちこちの家々を忙しく走りまわった「師馳しはせ月」だという説もあります。真如堂もこれからはすす払いなどの歳末〜迎春準備の行事が増えて、走り回ることも多くなっていきます。もう1年も終わって行くのですねぇ。えらいこっちゃなぁ。
 その前に、まずは大量の落ち葉掃除。もうしばらくは、‘落ち葉バスターズ’のフル稼働です。



         役   僧   の   青   き   頭   巾   や   冬   木   立       北園克衛