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    まだ静かな朝9時過ぎの境内。紅葉は朝か夕が美しい。    マウスを載せれば写真が変わります
 朝夕冷え込むようになって、紅葉が進んできました。
 桜やカエデの紅葉は、すでにピークを少し過ぎた感じで、たくさんの落ち葉が地面を覆うようになってきました。
 もみじも木によっては真っ赤ですが、多くはまだ枝先の色が変わってきた程度です。
 正面参道から上がってくると、まず総門を入った駐車場の奥の黄色いカエデの紅葉に目を奪われるでしょう。
 駐車場係の人に、「あの木は何ですか?」と尋ねたら、「“唐かえで”です。“トウ”というのは中国の“唐”です」などという答えが返ってきます。落ちてる葉と、図鑑で見る“唐かえで”の葉とは、少し形が違っていますが・・・。
 石段の両側のもみじは、枝先こそ赤いものの、中のほうはまだ緑です。上がりきったところの茶所の前の少し色付いたもみじが、朝の光に透かされて出迎えてくれるでしょう。朝9〜10時頃限定です。
 真っ赤な紅葉も綺麗ですが、赤や緑が入り交じった紅葉も深みがあって美しいものです。

     「花の木」は見頃をちょっと過ぎた感も。今年はイマイチ。    マウスを載せれば写真が変わります
 本堂を真正面に見て、まず目を引くのは手水舎の向こうにある「花の木」。最近、この木は枝振りが不格好になってきた上に、今年の紅葉は赤・黄・緑のグラデュエーションにはなりませんでした。この木の紅葉が本当に美しいのは、10年に1度程度かも知れません。
 「花の木」の右手にあるカエデの多くは朱色や黄色、山吹色に変わり、あるものはすでにほとんどの葉を落としました。このあたりは落ち葉も多く、落ち葉を踏みしめて初冬の風情を味わうことができます。落ち葉の中のベンチで時間を過ごすのも、素敵です。今朝は、料理に使うのだと、綺麗な落ち葉を選んで袋に入れている人がおられました。
 本堂の左奥や池の周りには、真っ赤になっているもみじがあります。こんなに早く真っ赤になるのは、たいてい木が弱っているのです。来夏を越せるかどうか・・・。
 本堂の真裏のもみじはまだ真っ青。このあたりが美しく紅葉するのは、境内でも一番遅く、例年12月初旬頃です。
 白川通から東参道を上がって来られた方が先ず目にされるのは、この本堂裏の光景です。今日も、紅葉風景を期待して上がって来られた方が、第一声、「あー、まだ青いよ!」と落胆の声をあげておられました。



       眞   青   な   る   紅   葉   の   端   の   薄   紅   葉          高浜虚子




落ち葉の中のベンチでくつろぐ / まずは記念写真。「はい、3枚撮りま〜す!」 マウスを載せれば写真が変わります
 境内を訪れる人も、日ごとに増えています。18日からの1週間が最も人出が多く、23日の勤労感謝の日、例年、人出がピークに達します。
 朝7時頃、カメラを持った人たちが、まだ朝日の差してこない、少し薄暗い境内に現れ始めます。紅葉した枝に陽が当たり出したら、大急ぎでそっちへ移動。しばらく木から木へと渡って行かれます。
 毎日犬の散歩に来る人やお参りの人は、そんな人たちに「邪魔だ!」という目で睨まれて、本当にお気の毒。どっちが邪魔なのでしょうか。
 8時半頃になると、最初のツアーが本堂の裏手からやってきて、ガイドさんが、「はい、自由時間は後から取ります! まず、記念写真を撮りますので、こちらに集合してくださ〜い!」と叫びます。
 どこのホテルに宿泊されているのでしょう? 朝食は7時? 遅くとも8時には出発されているはずです。あるいは、京都駅集合の日帰りツアー?
 ひな壇に並んだツアー客への写真屋さんの説明に耳をそばだててみると、今、ここで写真の申し込みを受け付け、バスの中で添乗員さんがお金を受け取って、東福寺に着いた時にお渡しするのだそうです。この後、永観堂に寄るのでしょうか? さしずめ、「京の紅葉の寺巡りバスツアー 真如堂〜永観堂〜東福寺」御一行様?

色とりどりのカエデの紅葉 / カエデやもみじの混色模様   マウスを載せれば写真が変わります
 時間が経つにしたがって人の数は増え、午後になると真如堂とは思えないほどの人が境内にお越しになります。ピークは2時頃でしょうか。
 薄暗くなるとさすがに人の姿は消えていきますが、たまに暗い境内を歩いている方がおられます。闇を求めるカップルならいざ知らず、中高年の女性たちや親子連れでは、わざわざリスキーな暗い境内を歩く必要がありません。
 おかしいなぁと思って、「どこかお探しですか?」と尋ねると、「ライトアップはどこでされているのでしょう?」という問い。「永観堂と間違っておられるのではないですか?」と言うと、「えー、そうなんですか!」と驚いた様子で顔を見合わせておられました。真如堂がライトアップなどするわけがなく、こっちがビックリします。
 真如堂から永観堂へ徒歩で行く最短コースには、人気のない真っ暗なところを通らなければいけません。躊躇しつつ、地元の女性なら避けるようなその道を教えてあげると、怖いものなどないという勇ましい後ろ姿で、闇の中に消えて行かれました。
 ライトアップ見たいの一念、闇をも貫くです。


   百日紅の木肌ともみじの紅葉 / 塔に迫るカエデの紅葉   マウスを載せれば写真が変わります
 5日に始まった「お十夜」も15日に結願を迎え、多くの人が参詣されました。
 今年の結願大法要は晴天のもと執り行われ、稚児や僧衆が境内を練り歩きました。
 また、この日に限って、参詣の方々には本堂の正面の一番高い位置にある御厨子のところまでお上がりいただき、ご本尊とわずか2メートルほどの距離で縁を結んでいただきます。
 私どもでも、ご本尊を拝することができるのは年に数回。しかも、そんなに近くで拝むことができるのは、本当に有り難い機会です。
 ご本尊の端正で清らかな御尊顔を拝すると、ボクは胸のあたりが熱くなってくるのを感じます。博物館などにお出ましの時には、はっきりとお姿は見られるものの、そんな感じは起きません。本来まします場所で、間近にご本尊を拝することができるなんて、誰が考えた素晴らしいアイデアなのかと思います。

         朝日を浴びる「花の木」 / 櫨の紅葉も美しい!    マウスを載せれば写真が変わります
 お十夜が終わると、残すは年末の行事のみとなりますが、その前に紅葉。お十夜の参詣者より紅葉見物の人のほうが圧倒的に多いのは、ちょっと複雑な気持ちです。
 紅葉は、お十夜に御姿をお見せになった阿弥陀如来の余薫かも知れません。最近、言うことが坊さん臭く? らしく? なったと思います、我ながら。
 かつて、お十夜の頃には冷え込みも厳しくなって、床の板の間の冷たさが堪えたものです。ところが今年の結願大法要の御練りなどは、汗が滲むほど。これでは紅葉も進みません。
 境内の紅葉は、「花の木」などはピークを過ぎたものの、主力のもみじはこれからです。一番の見頃は、11月末〜12月初め。テレビの紅葉特集やツアーなどはずいぶん早くから催されていますが、最近の京都の紅葉のピークは11月下旬以降と覚えておいてください。


   朝日の当たる苔の上のカエデの落ち葉2種   マウスを載せれば写真が変わります
 喧噪の度合いを増す境内ですが、場所によっては落ち葉が降り積もり始めました。
 落ち葉掃除もそろそろスタート。いまはカエデの葉が主流ですが、カエデの葉はもみじと比べると水分が多いのか少し重く、銀杏の葉はそれよりもずっと重みがあります。
 毎朝の落ち葉掃除は結構な重労働ですが、これから次第に落ち葉が増え、そして減っていく頃には季節は師走も半ば。また、静かな境内が戻ってきます。
 22日は「小雪」。落ち葉に夜露や霜が付き、それらが朝日を浴びてキラキラ輝く様は、決して紅葉にも引けを取らない美しさです。早朝のまだ静かな時間、そんな光景に出会うとホッとします。
 あたたかい今年、そんな日がやって来るにはまだまだかかりそうです。



        一   枚   の   落   葉   と   な   り   て   昏   睡   す         野見山朱鳥