10/13版
日射しが強く、建物や木々の作る影がくっきりと地面に映っていて、暑さから逃れるためにその影の中に入り込んでしまいたいと思うほどでした。 人って、晴れると家の中でじっとしていられなくなり、出かけたくなるようですね。今日は平日にもかかわらず、まだ紅葉しているわけでもないのに、普段よりもずっと多くの方が境内にお越しになりました。 帽子をかぶったり、日傘をさしている人も多く、「寒露」を過ぎた秋の後半というよりも、5月の連休のような気配です。 平均気温の推移を見ると、これから冬に向かって最高気温が毎日0.2度ほどずつ下がって行きます。暑いと汗をかいたり、気持ちいいと喜んでいられる日も、もうそんなに長くは続かないでしょう。今のうちに大いに楽しまなきゃ、もったいない!
梢の下を歩いていると、葉と葉の間から日が射してきて、自分の顔がまだら模様になっているのが想像できます。 今日の境内に溢れていた光は‘静’ではなく‘動’、‘点’ではなく‘面’で、視覚だけではなく、五感をフル動員してはじめて受容できる気がしました。余計な思考を止めてその空間に身を置き、風や匂いを感じつつ、光の織りなす景色に心を遊ばせる・・・生きている喜びを享受できる瞬間といっても過言ではないでしょう。 カメラを持って境内に出た瞬間に、「あっ、今日はダメだ。この雰囲気はボクには写せない」と思いました。こんなに晴れているのに、あっさり負けてしまって、写真を撮る気が失せてしまうなんて・・・。 同じ晴れている日でも、今日は今日、明日は明日。同じ日でも、朝、昼、夕方、みんな違います。写真でお伝えできない分、皆さんに来ていただいて体感していただくより、しかたがありませんね。 でも、同じ景色を見ても感じ方は人それぞれ。「なんだ! つまらないじゃねえか!」と怒らないでくださいよ。 秋 風 に さ そ は れ た れ ば 道 に を り 今井杏太郎
しばらく姿を見せなかったミーコが、また本堂前に戻ってきました。縄張り争いに勝ったのでしょうか? お弁当やおやつを食べている人のそばにちゃっかり座って、「ニャァ〜」と猫なで声を出したり、真夏によくやっていたように、石灯籠の火袋に入ってうたた寝したりしていました。 火袋に入っているミーコを見た人たちは、「わぁー、かわいい!」「あんなところで猫が寝ている!」などと歓声をあげ、何人もの人がミーコにカメラを向けていました。ミーコは寝ているだけで人気を博するのですから、楽なものです。何だか得意顔をしているようにも見えました。 日当たりの良いほうを求めてか、右の灯籠、左の灯籠と移動しつつ、カメラを向けて近付いてくる人に、高いところから「ニャァ〜」と叫んでました。
三井高利氏は、伊勢・松坂から江戸本町に出て「越後屋」呉服店を開き、現金掛値無し、反物の切り売りなどの新商法を導入して繁盛し、両替商も開業して幕府御用達の商人にもなった、今の三井グループの源となる人です。 高利氏はその不遇時代、家庭の中に平和を求め、令室かね様との夫婦仲もよく、実に10男5女もの子供に恵まれました。高利氏の成功の裏では、内助の功も大きかったのでしょう。 5月の高利氏と今日のかね様の法要は、「長素絹」という裾の長い衣を着用します。1メートルほど床を引きずって行道したりするので、時々、裾がどこかにひっかかって、後の人に外してもらったり・・・。普段と違う心配りが必要です。 14日〜16日は、「 この法要の時は、本堂内の荘厳を模様替えして、「引聲塔」という、経巻と四仏を祀った塔を正面に据えます。また、衣もこの時しか着用しないもの。すべてが普段とは違います。 引聲は本堂の板の間をゆっくりと行道しながら経を唱えます。少し前までは足の裏から冷えが伝わってくる感触がありましたが、今では冷えを感じることがなくなりました。ボクがこの法要に出仕するようになって約25年。そんな短期間で温暖化が進んだのでしょうか?
韓国では彼岸花のことを「 相思華」とも呼ぶそうです。花も葉も同じところから出てくるのに、花が咲く時期と葉が出てくる時期がずれているために、決して出会うことはない。花は葉を想い、葉は花を想う・・・なんとチャーミングな名前でしょう。でも、ちょっと悲しい恋ですね。 日本でも「葉知らず」「葉知らず花知らず」などという別名がありますが、韓国のネーミングのほうが断然ステキです! 他の草たちはこれから冬になると枯れていきますが、彼岸花の葉はこのまま冬越しをして、来春までの間、光合成をした栄養分をせっせと球根にため込みます。誰にも邪魔されずに、日の光を独り占めするなんて、なかなかの‘知能犯’ですね。 天気予報では、週末も週明けも、晴れマークが踊っています。さぁ、じっとしていられません! 美味しいものもいっぱい! いってらしゃい! 朝晩の冷え込みに、風邪をひかれませんように! 栗 ご は ん 飛 行 機 と ん で 雲 と ん で 中原幸子 |