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  萩一輪、一輪ほどの秋 / 誰も来ない境内で呆然たるミーコ  マウスを載せれば写真が変わります
 夜来の雨が、一気に涼しさをもたらしてくれました。
 7月25日以来38日間続いた真夏日も、ひとまず今日で途切れました。今日の最高気温は29度と、一気に2週間ほど季節が飛んだ感じです。夜の寝苦しさもなくなってきて、今日から9月が始まることもあり、よりいっそう秋を意識します。
 昨夕から今朝10時頃まで断続的に降った雨は、27日に続く恵みの雨でした。カラカラに乾いた大地を充分ではないものの潤し、木々を安堵させてくれました。
 雨があがってすぐに境内に出ると、職員さんが枯れ枝を手にいっぱい拾っていました。それだけ拾っても、まだあちこちに枯れ枝がたくさん落ちています。枯れていた枝が雨で重く脆くなって落ちたのでしょう。頭の上に落ちてきていたら大事になっただろうと思えるような、太い枝もありました。
 ボクもカメラ片手に枯れ枝を拾い、人目に着かないところに放り投げました。でも、その枝は誰が最終処理するの? 「ちゅ〜うと半端やなぁ」というボヤキが聞こえてきそう・・・ゴメンナサイ。


  夕方の塔のシルエットと秋の雲 / 夕陽さすもみじ葉  マウスを載せれば写真が変わります
 晴れた日なら早朝から鳴いている蝉の声が、今朝は雨が上がっても一声も聞こえてきません。聞こえてくるのは、草むらに源を発する虫の声だけ。盛夏の頃なら、雨が上がったら間髪を入れずに鳴き出す蝉も、もうそこまでの力を持っていないのでしょうか。
 お昼頃になって、ようやくツクツク法師とミンミン蝉が鳴き出しましたが、どこかうら悲しく聞こえてしまいます。
 学校の夏休みも昨日で終わり。まだしばらく暑さはぶり返しますが、「夏も終わったなぁ」と実感した1日でした。



        雨  降  つ  て  一  足  飛  び  に  秋  口  ヘ         近藤一鴻





‘真如堂の珍木’として将来有望?/忘れられて濡れたハンカチ。お尻の主は誰か知りませんか?
 境内に人影は見えません。うろついているのは、枝を拾っている職員とボク、そしてミーコ。枝拾いの職員も、今日は庭の説明係の当番だったそうですが、誰も来なくて暇で仕方がないので、‘現場放棄’したのだそうです。
 先日、今年の日照りも原因して枯れてしまった桜の木を切り倒しました。「完全に枯れてから切らないと、『かわいそうなことをした』なんて、通りがかりの人に言われるよ」と、しばらく様子を見ていましたが、実にあっけない最期でした。
 その木の、腐った幹が土のようになっている高さ1メートルほどの穴に、くすのきひのきの芽が出て、少し大きくなっていました。
 「将来、この木が大きくなったら、‘真如堂の珍木’として、人を呼ぶかも知れないなぁ」と、その木々を温存できる場所に鋸を入れました。幹の大半は腐って虚になっていて、「よくこれで今まで生きてきたなぁ」と思えるほど。
 はたしてこの‘珍木’は大きくなってくれるのでしょうか? 今日見たら、鹿沼土などが加えてありました。本気で‘真如堂の珍木’にするつもりだな!


  「盗人萩」という名にしては地味な花 / 露不足の露草   マウスを載せれば写真が変わります
 今日の更新は「秋の訪れ」をテーマにしようと思いましたが、うまくいきません。萩、尾花、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗・・・境内で見られるのは、萩や尾花、葛などですが、萩もまだ本格的には咲いていません。花らしい花は何もない境内です。
 先日、剱岳〜立山に登ってきました。この冬は雪が多く、高山植物も例年より1ヶ月以上遅れているそうで、今はたくさんの花が見頃を迎え、まるでお花畑の中を歩いているようでした。
 その感動が2日経ってもまだ冷めず、写真を整理するたびにまた蘇ってくるものですから、境内に細々と咲いている花を見ても、あまり心が動きません。
 境内を2周ほどして、やっと盗人萩と露草の写真を撮りました。雨が少なかったので、露草も元気がありません。


    貧乏蔓の花は黄金色? / 貧乏の種     マウスを載せれば写真が変わります
 ボクの部屋の窓から、椿の垣根に絡んで花を咲かせている薮枯やぶからしが見えます。別名「貧乏葛びんぼうかずら」。なーんにもないので、とうとうこんなものまで撮ってきました。
 藪を枯らしてしまうほど繁茂すると付けられた名前です。貧乏葛というのも、この蔓が繁って木が枯れ、家が貧乏になるとの意味だそうです。
 確かに、抜いても抜いてもいつの間にかまた生えてきます。でも、一所懸命生きているのに、ちょっと気の毒なネーミングではありませんか?
 話が逸れますが、「はびこる」と入力してみてください。「蔓延る」と変換されるでしょう? 「そうかぁ! ‘はびこる’というのは、まさにこの薮枯らしのような処し方なんだ」と実感しました。気の毒といいながら、なんのフォローにもなっていません。
 目立たないですが、このオレンジ色のが花。花後に緑色の実ができ、黒く熟して順次落ちていきます。そしてまた貧乏が生えてくるのか・・・貧乏果てなし。どうする、次期首相候補たち。



         住  職  の  俳  諧  狂  ひ  や  藪  枯  ら  し         市堀玉宗