6/30版 



    「やっと着いたわねぇ」 / 「○×△*◇・・・♪☆*◇♂・・・」   マウスを載せれば写真が変わります
 週間予報でも、今日からしばらくは「雨」。今朝の天気予報でも、降水確率は午前中90%、午後は80%。それなのに! ぜんぜん雨が降りません。梅雨の天気は前線のわずかな上がり下がりで随分変わるらしいですが、それにしても外れすぎです。
 雨が降らなかった分だけ気温はしっかり上がり、湿気も多くて、蒸し暑い日になりました。
 真如堂にお参りになるには、どの方角からお越しになろうと、車に乗ってこられても、大なり小なり坂道を上がっていただかなければなりません。特に、白川通からの急坂を登るのは少し大変です。
 汗を拭きふき登って来られたご婦人が、本堂の中の涼しさに動けなくなり、真正面に陣取り、畳にどっしりお尻をつけてお喋りされていました。しばらく、貸し切り状態が続いていました。
 「本堂の堂守はいいなぁ」と、夏になると思います。本堂の中は、木陰とはまた違う、格別の涼しさがあります。でも、冬が近付いてくると、「気の毒に・・・ 寒いだろうなぁ」と、同情を覚えます。

     ‘シロクロ猫’の一壷天 / 衣食足りて礼節忘れた‘クロ’     マウスを載せれば写真が変わります
 暑いのは猫も同じ。
 草むらの中では、通称‘シロクロ猫’がお腹をベタッと地面に付けて涼んでいました。猫は涼しい場所を選んで昼寝しているのでしょうが、あの草むらには蟻やダニなどがいそうで、ジメジメしてもいるでしょうし、ボクなら御免被りたいです。
 自坊の腰掛け待合いは、最近、通称‘クロ’の定位置となっています。たいてい、午後からクロはお出ましになり、何時間も、長〜くなって寝ています。日が遮られ、風も通って、時にはボクが気まぐれにやるお八つにありつけるこの場所は、‘シロクロ猫’の寝ていた草むらより数段居心地がいいに違いありません。
 境内の野良猫でただ1匹、正式に?名前がついている三毛猫の‘ミーコ’は、時々、本堂正面に立つ石灯籠の火袋で寝ています。きっと、石が冷たくて気持がいいのでしょうが、石も夕方になると熱くなってきます。石の林立する墓所などは、夜に行ってもムッとする時があります。昼間熱せられた墓石が、夜になっても冷めないからでしょう。ある時は日陰の屋根の上、ある時は本堂の廊下、ミーコの定位置は、いまだにわかりません。
 猫に倣って、本堂の廊下などにお腹をペタッと付けて昼寝したら、きっと涼しいでしょうね。冷えてお腹が痛くなってしまうかも・・・更新ネタがなくなったので、猫の手を借りました。




        ま  ず  口  を  あ   け  て   暑  き  日  始  ま  り  ぬ      池田澄子




  赤ちゃんはくぐらなくていいの?−岡崎神社 / もう1回飛ぼう!−吉田神社   マウスを載せれば写真が変わります
 今日は6月30日。今年も半年が終わろうとしています。
 神社では、この半年の間、知らず知らずのうちに犯してしまった罪や過ち、心身の穢を祓い清めるための神事「夏越なごしの大祓」が執り行われています。
 神社の鳥居あたりにちがやで作った大きな茅輪ちのわが据え付けられ、それを「∞」の字を書くように左回り右回り左回りの順に3度くぐることによって、疫病や罪穢が祓われるといわれています。昔から茅には、災厄を除く神秘的な呪力が備わっていると考えられているのだそうです。
 南海に赴く途中の素盞鳴尊すさのおのみことを、粗末ながらもあたたかくもてなした蘇民将来そみんしょうらいへのお礼として、素盞鳴尊が蘇民将来の子孫を疫病から守ることを約束し、その目印として茅を腰につけさせた。それが芽輪の起源だとされています。
 あれっ? どこかで聞いたような話ですね。祇園祭に授与される護符や厄除け粽には、「蘇民将来子孫也」と書かれています。そう、明日から始まる祇園祭は素戔鳴尊(牛頭天王)を祭神とする八坂神社の祭礼です。梅雨のジメジメした頃、昔の人は疫病にかからないよう、一心に祈られたのでしょう。
 岡崎神社の茅輪の前にバイクで乗り付け、ヘルメットをかぶったまま写真を撮っていたら、女性から「こんにちわぁ」と声を掛けられました。見たら、3日前にお参りに伺った檀家のお嬢さん。変装してたのに、どうしてバレたのでしょう・・・。
 夏越祓に食べる菓子といえば「水無月」です。三角形の白い外郎の上に小豆をのせた菓子ですが、三角の形は暑気を払う氷をあらわし、小豆は邪気を払う呪力があるといわれています。
 スーパーで水無月を買ってきましたが、「これでは邪気は払えない」と思えるお味でした。


          満開のモクゲンジ / 毛が生えていたんだ・・・     マウスを載せれば写真が変わります
 自坊の栴檀葉せんだんばの菩提樹(欒樹。モクゲンジ)が満開です。
 この木は千葉県の笠森寺伝来のもので、今では7〜8メートルほどの高さにまで成長して、回りの他の木を圧倒しています。
 英名を‘Golden rain tree’というらしく、その名の通り、木の下にいると黄色い花びらがいっぱい降ってきます。また、蜜が甘いのでしょう、たくさんの虫が集まってきています。
 花が終わるとホオズキのような袋果が房状になり、秋になると褐色に熟して、その中に真っ黒く固い実が4〜5個ずつほど入っています。その実で数珠ができるというところから‘菩提樹’の名前があるのでしょうが、数珠にするには少し玉が小さいように思います。
 境内には、この木の他に、葉の形や花期の違う「オオモクゲンジ」が鐘楼近くにあります。また、ボクが10年ほど前に声明講演でギリシヤに行ったときに持ち帰った種から育てたモクゲンジがあります。この木はまだ花を咲かせたことがありません。はたしてただのモクゲンジでしょうか? 彫刻のように端正な花を咲かせるかも知れません。
 吉祥院のモクゲンジをご覧になるには、吉祥院の門を入って振り向いてください。南を向いて咲いているので、門外からはほとんど見られません。拝観料はいりませんので、ご安心あれ。


 なり急ぐ菩提樹 / 言葉を失ってしまいそうに美しい蓮の花  マウスを載せれば写真が変わります
 先週のこのページで「そろそろ終盤」とお伝えした菩提樹が、早くも実を結びました。いつもながら、この木の花から実への‘変わり身’の速さには感心します。まだ、花のカスをいっぱい付けたままです。
 昨日、輸入食料品の店で、「リンデンフラワー ハーブティー」を見つけて求めました。ドイツ菩提樹の花のハーブティーです。
 「欧米でベビーティーやナイトティーとよばれ、ほのかに甘く優しい味わいが特徴です。ゆったりと安らぎの時間に。蜂蜜、ミルクやレモンを加えてもお楽しみいただけます」とパッケージに書いてあります。ごく薄い色で、かすかに甘みを感じる、白湯に少し味が付いたような上品な味でした。菩提樹の花をお茶にして飲む・・・想像したことがありませんでした。
 黒谷の塔頭 西雲院さんの蓮の花が咲き始めました。暑い盛りに、清浄な気分を取り戻させてくれる蓮の花。ぜひとも、見せてもらってください。こちらも、もちろん無料です。


 かじると酸っぱいから‘酢漿草’ / 龍の花にしては控えめ過ぎです  マウスを載せれば写真が変わります
 今の時期、野に咲く花はあまり多くありません。その中で、鮮やかな赤紫色を見せてくれているのが紫酢漿草むらさきかたばみ(紫傍食)です。
 もし、近くにこの草が生えていたら、夜に懐中電灯を持って見に行ってみてください。3枚ある葉の裏同士をくっつけて‘就寝’していますので。傍食(片食)というのは、この就寝時に葉が半分に見える、葉の一片が食べられたように欠けて見えるという意味だそうです。
 ボクは子供の頃に、この草の軸を折って繊維を出し、‘草相撲’をよくしました。どこに強そうな酢漿草が生えているかはそれぞれ秘密で明かしませんでしたが、たいていは便所の汲み取り口の近くなどでした。
 また、龍の玉は豆鉄砲の弾として使いました。矢竹で作った銃身に龍の玉を入れて、空気の圧力でポーンと弾を飛ばします。実はコバルトブルーで鮮やかですが、花は実に控えめで見過ごしてしまいそうです。
 自然を生かした遊びがいろいろあった、生傷の絶える日はなかった子供の頃を、こういう花々を見ていると思い返します。
 梅雨はこれからが本番です。鬱陶しく、不順な天気が続きますが、どうかご自愛ください。沙羅の花は、まだしばらく楽しめますよ!



          草   笛   を   合   図   と   し   た   る   間   が   ら      高浜年尾