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    若緑には赤い傘が似合うだろうと待ちましたが・・・    マウスを載せれば写真が変わります
 何とか持ちこたえていた空でしたが、正午の時報と同時に雨が降り出しました。しとしと雨は、夕方5時過ぎにはあがり、西に傾いたお日様から日が差してきました。今日の雨はこれで一段落。
 今朝、九州南部が平年より3日、昨年より16日早く梅雨入りをしました。九州北部も、早ければ31日頃に入梅する可能性があるとか。九州北部と中国・近畿の入梅は、平年値では1日しか違いませんので、近畿も6月に入ると同時に梅雨入りするのかも知れません。
 でも、もう何日も前から、すでに梅雨入りしているような天気が続いています。5月1日〜22日の西日本の日照時間は平年の66%しかなかったとか。京都特産の宇治茶も、4月からの日照不足と低温で生育が遅れ、新茶が1週間から10日ほど遅れて、生産量も少ないようです。

  まだ雨が降っていなかった午前中の本堂前     マウスを載せれば写真が変わります
 本堂の職員さんたちとも、「今年は・・・」というような話をよくします。
 今日も一人が、「今年はもみじの葉っぱが多いですよ」と言うのです。ボクが「そうですかぁ」と賛同してないような返事をすると、「ここらあたりではわかりにくいですが、涅槃の庭のもみじを見ると、じぇったい(訛ってます)多いですよ」と主張。はいはい、うけたまわりました。
 去年、菩提樹はたくさん実を付け、大豊作でしたが、一昨年は極端な凶作でした。去年は山茱萸さんしゅゆの実付きもよくありませんでしたし、馬酔木は今年、花数が少なかったように思います。椿がよく咲く年もあれば、つつじがよく咲く年もあります。もちろん、紅葉にも当たり外れがあります。
 晴れもよし降ってもまたよし。善きにつけ悪しきにつけ、四季折々、「今年は・・・」という話ができる環境にいるということの有り難さを、しみじみ感じています。  



        万  緑  を  吹  き  な  び  か  せ  て  雨  来  た  る      池口美奈子




 雨に濡れ風に揺れるもみじ葉 / 西多摩伝来のウチワカエデの若葉 マウスを載せれば写真が変わります
 ‘変装’をして写真を撮りながら、いろいろな人に見つかり、出会い、話をしました。
 本堂前の手水舎で大きな‘声’を出しながらうがいをするいつもの巡査は、茶所の薄暗い腰掛けに座って、白いお仕着せのカッパの上着を横に置いて呆然としておられました。彼にとっても、この境内は憩いの場のようです。
 「ちょうどいい被写体だ!」と喜んだ修学旅行生には、「スミマセ〜ン、シャッターを押してもらえますか?」と頼まれ、ボク自身がシャッターを押す機会を逸しました。
 トイレからボクの横を通って本堂に戻っていく途中の職員さんが、くびすを返してボクのところへ来て、何やら小声で話し出しました。何やら秘密話かと耳を傾けてみたら、本堂の鳩のよく留まるところにマグネットを置いてみたところ、昨日は来なくなったという報告。一昨日、本堂の軒下に鳩が留まって糞をするけれど、どうにか忌避する方法はないかと聞かれたので、テグスを張るか、マグネットを置いてみたらどうかとアドバイスしたのでした。何の話かと身構えたじゃないですか!

   縦皮桜のさくらんぼ / 弱ったもみじの木の根元に出た茸    マウスを載せれば写真が変わります
 毎日散歩をされているご婦人に、「吉祥院さんの前の蒲公英たんぽぽは‘やさしい’と思ったら、蒲公英ではないのですね。あれは何という花ですか?」と尋ねられました。「吉祥院さんに聞いたら何でもわかるので」と言ってくださるのですが、実はボクも少し前に何という花だろうと思っていたのでした。「調べておきます」と調べた結果、「大地縛りおおじしばり」。遠目には蒲公英と見間違える花です。またご報告しなければ。
 塔頭の青年僧には、夏のサマースクールに適した施設はないかと聞かれました。現役を離れて10数年。「わっかんないなぁ」。
 萩の新芽が伸びてきているのが気になって、カメラを置いて新芽の先を摘んだり、枯れ枝を折ってみたり・・・やっぱり、カメラを持つより剪定バサミのほうが性に合っているみたいです。
 少し薄暗くなってもう後がなくなった3時半頃、ようやく本腰を入れて写真を撮りました。遅い!


 雨に濡れるやまぼうしの花 / 日に日に濃くなる早咲きの紫陽花の青 マウスを載せれば写真が変わります
 4月の桜、5月には藤やつつじ、牡丹などの花を愛で、今はサツキや花菖蒲、睡蓮へと季節が移ってきました。もうしばらくすると、紫陽花の季節が始まります。
 先日、京都府立植物園の森の中を歩きました。ほんの少し歩いたり、風が吹いたりするたびに、いろいろな木の香りが漂ってきました。椎の花の生臭い匂い、樟の樟脳臭、枯れ葉の朽ちる匂い、どこからか漂ってきた甘い匂いの元を尋ねましたが、わかりませんでした。
 境内を歩くときも、犬にでもなったようなつもりで、匂いを追い求めながら歩いてみても面白いかも知れません。椎の花や樟、唐種招霊からたねおがたまもまだ匂っています。草刈り直後草むらに入ると、いきなり草いきれに包まれます。
 もうしばらくすると、はぜの花の香りがしてくるでしょう。菩提樹の花が咲くまで、あと2週間ぐらいかかるでしょうか。いずれも、香り高き花です。
 紫陽花の花が咲きそろう頃、気がつけば、もみじの葉も一人前に緑が濃くなっているでしょう。そんな時期ももうそう遠くはありません。



        霧   深   く   恥   じ   ら   ふ   ご   と   く   山   法   師       菖蒲あや