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    木下闇を歩く二人 / 時には激しく    マウスを載せれば写真が変わります
 今日は、朝から雨が降ったり止んだり。少し明るくなったかと思って油断していたら、突然、強い雨が降ってきたりします。更新の写真を撮るにも、傘が欠かせませんでした。
 四国では大雨洪水警報が発令され、近畿地方でも今夜から明朝にかけて雷を伴った激しい雨が降ると予想されています。何やらもう梅雨のまっただ中のような感じです。
 境内の新緑は雨に洗われて綺麗ですが、枝が幾重にも重なったところは薄暗く、雨の重みで枝が垂れてきて、女性がひとりで歩かれるのには少し気味が悪いかも知れません。
 そんなお天気にもかかわらず、境内を訪れる人は意外におられ、一組が帰られてしばらくしたら、また別の方の姿が見えるという感じ。今日の拝観者数は、2桁を達成したかも!?
 拝察するに、中年女性のお二人連れが多い様子。中高年女性が多いのは、京都を訪れる観光客の特徴の一つ。他にも、日帰り観光が宿泊の3倍、10回以上京都を訪れたことのあるリピーターが6割を占めているという特徴がみられるそうです。
  雨に洗われた緑うつくしい境内 / 両側から緑が迫る正面参道  マウスを載せれば写真が変わります
 そういえば、この僧坊をお訪ねくださる方にも中高年女性のリピーターが多く、特に「あそこのスイーツが美味しい」というような情報については、きわめて念入りな事前調査をしてこられます。ただし、ガイドブックの記事や風聞が情報源で、結構ハズレも多いようです。
 今は初夏の修学旅行シーズンまっただ中。バス停も修学旅行生だらけ、金・銀、清水は当然。先日は、修学旅行の行列が錦を‘占拠’していました。
 修学旅行生と中高年女性を満載したバスは、きっと想像を絶する賑やかさでしょう・・・乗りたくありません。



        青   時   雨   こ   こ   ろ   曇   れ   ば   歩   き   け   り      大木あまり




         緑の精が出てきそうな樹下    マウスを載せれば写真が変わります
 21日は二十四節気の「小満」。木々の新しい葉は出そろって生い茂り、次第に充実して緑を濃くしています。『暦便覧』に、「万物盈満えいまんすれば草木枝葉繁る」と記す通りです。
 若葉は柔らかく、当然、虫たちにとっても美味しいはず。
 少し風のあった数日前、もみじの木の下を歩いていたら、首筋に違和感を覚えました。何気なく手をやったら、自分の体の一部とは違う‘何か’に触れた感覚が伝わってきたので、反射的に払い除けました。落ちたものを見たら青虫。「毛虫でなくてよかったぁ・・・」と、胸をなで下ろしました。
 ボクは今までにチャドクガ、イラガ 、アメリカシロヒトリなどの被害に何度も遭ったことがあります。ひどい時は1ヶ月ほど腫れが引きませんでした。それに比べたらただの青虫は実害もなく、気持ちが悪いだけで済みます。
 去年の秋は、そんな毛虫たちも近年に稀なほど少なくて安堵しましたが、

   菩提樹の蕾と「真如堂」の額 / 病葉はらはら散る    マウスを載せれば写真が変わります
平素は毛虫などを見つけると、「一寸の虫にも五分の魂」などという言葉はどこへやら、今までの仇を討つかのように、急いで薬散機具を持ち出して退治します。新緑と共に、そんな季節もやってきてしまいました。
 仇といえば、昨春に野良猫の仔‘さくら’を拾って飼うまで、ボクにとっての野良猫は、庭を荒らしたり金魚を食べたりする憎き仇でした。一転して猫フェチになった今は、野良猫さえもかわいく思えるようになってしまいました。
 しかし、いくら何でも毛虫は御免です。『毒虫の飼育・繁殖マニュアル』というマニュアル本が市販されています。「蓼食う虫も好きずき」というのでしょうか、どんな人がお求めになるのでしょう。毛むくじゃらの人でしょうか?

 先週も載せた吉祥院の門前の大つつじが、そろそろ満開を迎えます。今年は、ひときわ色が鮮やかな気がします。
 正面参道を上がった茶所あたりにいると、甘い匂いがしてきました。まわりに香るような花はなし。明らかに、大つつじの裏に咲いている唐種招霊からたねおがたまの匂いです。鼻を付けて嗅いでもほとんど匂わない時があるかと思えば、30メートルほども離れた茶所の前までも匂ってくるなんて、不思議な花です。
 境外では桐の花が咲き、竹の葉が‘秋’を迎えて黄色くなってきていました。松も花を咲かせ、新芽を伸ばしています。

      満開の吉祥院の大つつじ / モクゲンジの幹に棲む苔と茸   マウスを載せれば写真が変わります
 走り梅雨で雨が多くなってきたので、茸たちの活動が盛んになってきました。写真の茸は、空気が乾いたときは傘を縮め、小雨が降ってくると傘を精一杯広げていました。茸の生きる術を見た気がしました。
 樹齢50〜60年を数える染井吉野に、コフキタケやベッコウタケなどの茸がはえる症状が全国に蔓延しているそうです。木の傷や剪定跡から胞子が入り込み、ヒートアイランド現象などで繁殖しやすくなっているとか。茸は人間社会に譬えるなら村上ファンド? あっという間に乗っ取られて、踏み台にされてしまいます。何のこっちゃ。
 暑くなったりヒンヤリしたり、気候が不順です。ご自愛ください。



        な   つ   か   し   き   遠   さ   に   雨   の   桐   の   花       行方克巳