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 日なたはまぶしいほどの陽射し / 若葉の下の真っ赤な服の女性 マウスを載せれば写真が変わります
 連休まっただ中の快晴の日。雲一つありませんが、スッキリした青空ともいえません。そんな空からでも、まぶしい陽射しが照りつけ、気温も26度近くまで上がって、少し動くと汗をかきました。
 今日の境内では、日傘の女性を何人も見ました。今年初めてのような気がして、一気に夏が来たように感じました。
 京都では、先週頃からお天気が安定してきて、この連休は晴天に恵まれました。その晴天も6日を最後に崩れ、以後1週間は、曇か一時雨の日が続くそうです。好天の連休、恩恵を被った方も多かったのではないでしょうか。
 今日は子供の日。様々なイベントも多く、上賀茂神社では競馬会が執り行われるなど、神社の神事や祭礼もたくさん催されたようです。でも、最近は鯉のぼりを見かけることが少なくなりました。少子化のせいでしょうか、住宅事情でしょうか、少しさみしい気もします。

掌を合わせる人、おしゃべりする人 / 穴を掘る子、ペットの話に夢中な大人 マウスを載せれば写真が変わります
 真如堂では連休に因んだ特別な行事はありませんが、連日の好天もあって散歩や観光にお越しになる方が多く、境内に人影が絶えません。
 いつもの休日と少し違うのは、家族連れなど“1団体”の人数が多いこと。1人で歩いておられる方は稀で、たいていは2〜4人連れ。多い場合は6〜7人連れで、家族や気のおけない人同士のように見受けられました。
 さすがに子供の日らしく、子供たちの姿も多く、時々歓声が聞こえていました。
 陽射しを避けて木陰のベンチを探して座る人も多く、本堂の階段は談笑する人が一時、一定間隔で人が並んで座る“鴨川の河原状態”になっていました。
 何もないけれどのんびり過ごせる空間、それが真如堂の真骨頂。連休は、その本領をいかんなく発揮したように思えます。



       端   午   の   日   森   は   年   輪   加   へ   た   り       村越化石




 一番晩熟だった菩提樹の若葉 / 夕暮れに透かされる沙羅樹の若葉 マウスを載せれば写真が変わります
 境内の木々の新緑も、一番晩熟だった菩提樹を含めて、すべて出そろいました。
 いち早く若葉を出したもみじは、すでに花を咲かせ終わり、緑も日に日に濃くなってきています。「花の木」たちも、ピンクの種をぶらぶらさせています。
 もみじの葉をよく見ると、樹液のような何かが付いたようにまだらに光っています。そう、少し前までは垂れた鼻が乾いて光っている子供がいましたが、あんな感じ・・・といっては譬えが悪いでしょうか。もみじが放った蜜が、自らの葉に落ちて着き、鈍く光っているのです。
 「この蜜は、メイプルシロップのように、甘いに違いない」 そう思って、よく光っている葉を数枚舐めてみました。思った通り、ほんのり、しかし確実に甘い!
  真如堂名産“もみじシロップ”はいかが? 皆さんも、光っているもみじの葉を見つけたら、舐めてみてください。ただし、葉を千切ってはいけません。枝に着いたままの葉をペロッと舐めてみてください。また、黄砂や他の花粉などが着いているかも知れませんので、ご承知おきください。

   本堂前のつつじと新緑 / 駐車場横のつつじ    マウスを載せれば写真が変わります
 甘いと言えば、この時期、つつじの蜜が筆頭でしょう。つつじの花の元を吸うと、甘い味がするのをご存じですね?
 境内でも平戸つつじが咲き出しました。でも、今年は開花が1週間ほど遅れていて、自坊の前の大つつじは、例年なら連休には咲いているのに、今年はまだ花の色さえ見えてきません。藤、自坊の前の招霊おがたまや卯の花などを見ても、すべて遅れています。春になっても冷え込む日が多く、桜が長持した反面、他の花は遅れているのでしょう。
 話をつつじに戻しますが、ボクはつつじの花の付け根のほうに蜜が溜まっていると思っていましたが、そうではないのですね。
 つつじの花には、上の花びらにだけ斑点がありますが、これは「蜜標(ハニーガイド)」と呼ばれる、昆虫を誘い、蜜のありかを教えるガイドをするためのものです。つつじの蜜は、どうやらこの蜜標付近の花びら側から出ているのだそうです。

      つつじとシャガ / 目にも鮮やかなつつじ     マウスを載せれば写真が変わります
 「よし、一度その部分を舐めてみようかな」と思いましたが、さらに調べているうちに、ビックリするようなことを知り、止めました。
 つつじの仲間は毒を持っているものが多いのだそうです。そういえば、馬酔木もツツジ科です。レンゲツツジは、蜜にも毒があるというのです。ボクが蜜を吸おうとしたのは平戸なので大丈夫だとは思いますが、「つつじの蜜を吸って倒れた」などと報じられる事態を想像して止めました。
 「つつじ」は漢字で書くと「躑躅てきちょく」。これは「行き悩む」「行きつ戻りつする」「足踏みをする」「うずくまる」などという意味で、羊が毒のあるつつじを食べてそういう症状におちいったことから、中国でつつじの名前の字として使われるようになったのだそうです。馬酔木と同じような症状ですね。
 知らなかったつつじの秘話? 一つ賢くなりました。これからは、ボクもやたらと吸ったり食べたりしないように心掛けることにします。


  卯の花。風が止んだ瞬間に / もみじ千本!?  マウスを載せれば写真が変わります
 ♪ 卯の花の匂う 垣根に 時鳥ほととぎす 早も来鳴きて 忍び音もらす 夏は来ぬ ♪
 今日は旧暦の4月8日。卯の花の咲く月なので、4月を「卯月」というといいます。卯の花が咲き、「トッキョキョカキョク」「テッペンカケタカ」と鳴いているかどうかはわかりませんが、明日6日はまさに「夏は来ぬ」です。
 「木の花は梅の濃くも薄くも紅梅」という清少納言は、卯の花のことを「品おとりて何となけれど、咲く頃のをかしう、杜鵑ほととぎすのかげにかくるらんと思ふにいとをかし」などと、品格はないけれど咲く姿と時期に趣があると書いています。誉めているの? 腐しているの? これこそ“卯の花腐し”かな?
 余談ですが、清少納言は「説経師は顔よき、つとまもらへたるこそ、その説く事のたふとさも覚ゆれ(お説教をする僧は美男がいい。顔をじっと見つめていればこそ、その説くことの尊さも感じられる)」と書いておられます。お好きなことをおっしゃる女史です。
 太古の弥生人たちにとって、桜と卯の花は、苗代作りや田植のタイミングなどの農耕の時期を教示するもので、その咲き具合で稲の豊凶を占ったりもしていたそうです。
 卯月8日、灌仏会もかつては今日行われていたわけですが、初夏の様々ないのちが躍動するこの時期のほうが、よほど「花祭り」にふさわしいとも思えます。
 さて、連休疲れの方は、菖蒲湯に入ってリフレッシュして、残された2日をお楽しみください。お休みではない方は、来るべき休日のプランを立ててお楽しみください!



        押  し  あ  う  て  又  卯  の  花  の  咲  き  こ  ぼ  れ      正岡子規