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春も深まったこの頃、鶯の鳴き方が上達してきました。 他の鳥の鳴き声はわからなくても、鶯の鳴き声が「ホーホケキョ」であることを知らない人はおられません。この鳴き声、実は「ホーホ」は鶯が息を吸う時、「ケキョ」は息を吐く時に出る声なのだそうです。 この囀りは求愛行動で、適当な相手が見つかれば山へ帰って巣を作り、卵を生むのだそうです。ということは、いつまでも「ホーホケキョ」と鳴いているのは恋人が見つからない鶯。そう思って聞くと、どこか悲しげですね。 「ケキョケキョ」という「谷渡り」と呼ばれる鳴き方は、緊張して息を吐き続けている時の声で、敵の注意を引きつけながら、抱卵・育雛している雌に危険を知らせるため。1日16時間ぐらいの間に3千回ほどもの囀りを繰り返すのだそうです。 せっかく相手を見つけても、そんな苦労が先に待ち受けているとは・・・最初からそのことを聞かされていたら、「モーケッキョウ!」と鳴いたことでしょう。
ただ、桜の蕊やもみじの花の赤い色がまだ目立っていて、新緑の黄緑色一色というわけにはいきません。いろいろな色が混ざっている様は、ちょうど点描画を近付いて見たときのような感じ。遠目には緑色でも、よく見るといろいろな色が配置されているというようなもの。複雑な配色が景色に深みを与えてくれています。 「桜」に関係する季語は、初桜、夕桜、山桜、桜吹雪、若桜などたくさんありますが、ボクは「桜 「桜は花に 春が来たと人々が喜んでいるちょうどその時に一気に咲く桜は、ずいぶん得をしている気がします。人々はその花の下で浮かれますが、常日頃、花に関心を示さない人が桜を意識するのは、おそらくこの時限り。人は樹下を去り、また次の年に花が咲くまで、人は桜のことを忘れてしまいます。
花を咲かせてくれた後の花軸が、ポトッ … ポトッ … と落ちてきます。風が吹くと、ポトッ ポトッ ポトッと霰のように降ってきます。今こそが「桜蕊降る」頃です。 ボクは頭に毛がありませんので、ダイレクトに頭に花軸が当たります。頭に当たって弾んで落ちた花軸を見て、「あっ、虫じゃなくてよかった」と胸をなで下ろします。 ぜんぜん風流ではない「桜蕊降る」ですが、季節の移ろいを文字通り“肌で感じる”頃なのです。 人 絶 え て 桜 蕊 降 る 石 畳 長門美熙子
真如堂でも、鐘楼の回りの八重桜「関山」が、今ちょうど盛りです。 残念なのは、この頃になると境内を訪れる人もすっかり減り、今日の拝観者も20名程度。境内を散歩されていても、鐘楼の回りで咲いているこの花に目を向ける人は少なく、せっかくの桜がかわいそうな気がします。 「関山」は珍しい桜ではありませんが、真如堂の木は鐘楼の石の基壇の下に植わっていて、基壇に上がると頭の天辺から足元までスッポリと桜に包まれたような感じになります。おまけに背景には三重塔が入りますので、写真を撮るには絶好のポジションです。 もし、近々お越しになるご予定があるなら、ぜひとも鐘楼に足をお運びください。
境内を歩いていると、椿の赤や白、山吹の黄色や白、新緑の黄緑、カエデの実やもみじの花の赤、桜の蕊の赤、桜の桃色などが目に飛び込んできます。 あっちの赤、こっちの黄色などを、1つの画面に収まるようにうまくレイアウトして見せてくれる目と頭の働きは秀逸という他ありません。 「目に比べたら、カメラは不自由な道具だなぁ」と、よく思います。 いま目の前に見えているものすべてを写したいと思っても決して叶いませんし、あの花とこっちの木を一つの画面に入れたいと願っても、合成しない限り不可能です。要らないものまで写ってしまうくせに、湧き起こる感情を写し込むことはできません。 特に春は、そういうもどかしさを感じる季節。青葉若葉、百花繚乱の世界が広がっています。2次元のディスプレイをご覧になるより、どこかにお出かけになって、目前に広がる360度の世界を、風や匂い、寒暖とともに体感されてはいかがでしょうか? どんな小さな緑の中にも、大きな春のいとなみをお感じになるでしょう。 昨日は百穀でした。草木を育てる春雨がよく降る季節です。お天気も不安定ですから、春雨に濡れてお風邪を召されませんように。 野 遊 び の ふ た り は 雨 の |