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   境内の染井吉野、開花第1号!? / 1週間後は花のトンネル  マウスを載せれば写真が変わります
 一昨日から、時雨れたり、晴れたり、雪がちらついたりと、まるで2月頃のようなお天気です。今朝、西や北の山にはうっすらと雪化粧が施されていました。
 午後からは晴れるという天気予報に、またもや裏切られました。時々日がさす程度で、窓の外からは風切り音が聞こえてきます。
 写真を撮るのに、雲が切れて日が差すのを待っていましたが、待ち時間のほうが長く、日が差したと思ってもほんの一瞬。夕方近くになって、少し晴れ間が多くなってきましたが、あたりはすでに薄暗くなりつつありました。
 そんなに寒い中、職員の一人が石畳の間の草を引いていました。「寒いですから、他の作業をされたらどうですか? 風邪ひきますよ」と忠言しましたが、結局、午後はずっとイヤホンでラジオを聞きながら草引きを続けておられました。
 寒い日ではありますが、春休みに入ったこともあり、境内を訪れる人は結構おられます。今日が最後の特別公開日となった大涅槃図を拝観する方の靴が、ほぼ途絶えることなく本堂の前に並んでいました。今日の拝観者は60名。真如堂にしては、かなり多めの数字です。

        あたたかそうに見えても寒い境内 / 「花の木」の花    マウスを載せれば写真が変わります
 こんなに寒が戻る日が続いても、桜というのは膨らみだしたら止まることができないのでしょうか、江戸彼岸系の縦かわ桜や枝垂れ桜は日に日に花数を増やしています。
 染井吉野もようやく蕾の先がピンクに染まってきました。「あと、1、2日はかかるかなぁ」と思っていたら、本堂前の白砂のところで出会った別の職員が指さしたその先に、2輪の染井吉野が咲いていました。
 その後境内を見て回ったところ、2本の木にそれぞれ3輪ずつの開いた桜花を見つけることができました。
 京都の気象台は27日に標本木が開花したと発表しましたが、これではまだ開花したとは言えません。私の独断で、今年の真如堂の染井吉野の開花は、明日4月1日とさせていただきます。



          太  陽  に   し  ろ  が  ね  の  環   春  北  風      森 澄雄



         三重塔横の枝垂れ桜は7〜8分咲き=満開?     マウスを載せれば写真が変わります
 どうして桜の花は、人の心を引きつけるのでしょう。
 ようやく、外を歩いても心地よく感じられる季節が訪れ、その季節の到来と時を同じくして一気に咲き始める桜。山桜などを除いて、葉が出る前に蕾が出ては日に日に大きくなり、あっという間に枝一杯の花を咲かせます。
 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」と、桜の花は一気に咲いては散っていく。桜の花は咲き出してから約10日間で終わってしまいます。
 爛漫たる春を待ちわびた人の思いが、桜への愛着をいっそう駆り立て、一気に咲いて散っていくそのあわれさが、世の移ろいの速さや栄枯盛衰の情を誘うのでしょうか?
 染井吉野は、条件の同じ地域なら、ほぼ同時に咲きます。クローンの悲しさです。しかも花期が短いとあって、同じ時期、同じ場所に花見客が集中するため、新入社員が初仕事として、早朝からビニールシートを広げて場所取りをしなければならなくなるわけです。
 真如堂には、染井吉野が約40本、山桜系が約5本、江戸彼岸系が3本、八重桜が約10本ほどあり(さっき数えてきました)、まず塔の横の枝垂れ桜が咲き出し、少し遅れて「縦かわ桜」。そして、染井吉野、山桜と続き、かなり遅れて八重桜が咲きます。

        本堂横の「縦かわ桜」は2〜3分咲き       マウスを載せれば写真が変わります
 染井吉野だけならわずか10日間ほどしか楽しめませんが、いろいろな桜があることでほぼ1ヶ月の間、桜が楽しめます。
 今はほとんどの桜が染井吉野になって他の桜を凌駕してしまいましたが、江戸時代、例えば東京の上野などは、「彼岸桜より咲き出でて、一重・八重追々に咲き続き、弥生の末まで花のたゆることなし」と、やはり1ヶ月以上、桜が楽しめたようです。隅田川や飛鳥山でもそうだったようです。染井吉野も、罪なことをしてくれたものです。
 最近は「満開宣言」なるものが出ますが、ちなみに満開の状態とは花芽の8割程度が開花した状態のことで、その頃のほうが本来の花弁の色などを見ることができて一番美しいのだそうです。ハラハラと散る桜を杯に浮かべて花見をしたいという方は、「満開」発表の2〜3日後がよろしいようですよ。
 真如堂の染井吉野の見頃は、4月8・9日頃です。枝垂れは、ここ数日が見頃です! 市内の名所も、今度は桜にあわせたライトアップなどが目白押しです。


      まだ見頃。本堂裏のサンシュユ / レンギョウの花     マウスを載せれば写真が変わります
 あと数日で桜に主役の座を譲らざるを得ない山茱萸さんしゅゆですが、本堂裏ではまだ存在感を保っています。馬酔木あせびも、まだしばらくは見頃が続きます。
 花の少ない時期に目を楽しませてくれた山茱萸、馬酔木、椿などを、桜ばかりではなく、ぜひご覧になってください。
 花や紅葉の時期になると小さなものに目が向かなくなりがちですが、今日、石畳を歩いていると、石と石の間の目地部分に、3センチほどの細いものが目皿に溜まった毛のように集まっているのに気がつきました。よくみると、去年できたもみじの種の軸です。
 苔や地面の上などを見てみると、やはりあちこちにありました。雨に流されて集められたのです。白っぽいもみじの種もたくさん落ちていて、場所によっては小さく細い芽がいっぱい出ていました。
 芽吹きの準備を始めるここに来て、もみじは去年の“遺物”を自らの体から切り離して整理したようにも思えました。
 今日発表された1か月予報では、4月の気温は平年より「高い」とか。春は駆け足で過ぎていくのでしょうか? お天道さま、せっかくの花をゆっくり咲かせてあげてください。


     雪柳は風の日には撮りがたい / 落ち椿と実生の桜草  マウスを載せれば写真が変わります
 明日は4月1日、エイプリル・フール。子供の頃は、ちょっとした嘘をついて、「ウソやでぇー。今日は四月馬鹿やん。嘘を言うてもええ日なんやでぇー」などと、悪たれていました。
 エイプリル・フールの起源はフランスにあるとも、インドにあるとも言われます。インドでは3月末に1週間の修行をして悟りの境地を目指しますが、その期間が終わればすぐに元通りになって迷いが生じることから、それを揶揄して「揶揄節」と呼んだと言われます。1週間で悟れるなら、聖人だらけになってしまいますし、ボクが1週間の修行をしても10分で元に戻ってしまいますよ。それこそ揶揄されるべき?
 在家の仏教徒が守るべき基本的な五つの戒律「五戒」に、「不妄語戒−嘘をつかない」というのがあります。エイプリル・フールに使う“嘘”は、人生を豊かにするジョークではないでしょうか? 五戒には触れますまい。
 せめてつきたや、人を幸せにする“嘘”を。


        万  愚  節   恋  う  ち  あ  け  し  あ  は  れ  さ  よ      安住 敦