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冬晴れの境内。吉祥院の大屋根より。11/25の写真と見比べてみてください   クリックすると別画面で大きい写真が見られます

 日本海側を中心に、12月にしては記録的な積雪となっています。
 縦に長い京都府の北部、京丹後市弥栄町の山間部では2・5メートルの積雪を記録し、宮津市でも1・8メートルなど、軒並み1・5メートルを超えているそうです。
 京都市の市街地では雪は積もっていませんが、西北約20kmの高雄や中川などの山間地では、10日ほど前に積もった雪で、床柱などにも使われる北山杉5000本以上が折れたり裂けたりしてしまったとか。被害に遭ったのは伐採間近の木がほとんどだったそうです。
 週末の17日ごろからは数年に1度という強い寒気が流れ込み、大雪になる恐れがあるそうです。雪深いところにお住まいの方はどうかお気をつけください。

総門から覗いた人ひとりいない境内 / 紅葉の人波は何処へ マウスを載せれば写真が変わります
 いまだに紅葉を見せてくれていたもみじの色も、さすがに悪くなってきました。
 “敷き紅葉”となっていたもみじ葉も、まずは荒っぽい“大掃除”が終わり、踏み固められてテカテカ光るようになってしまった地面や剥げた苔が顔を出しました。
 落ち葉の山の中には、お菓子の包装紙やティシュー、髪飾りやハンカチ、そして煙草の吸い殻がたくさんありました。マナーの悪さはもちろん、枯れ葉に火が点いたらどうするのでしょう!
 枯れたまま枝に付いている葉がまだたくさんありますので、あと1回、2回は落ち葉の大掃除をしないと綺麗になりません。
 でも、枯れ葉を掃除したことで景色は一変し、すっかり冬の雰囲気になりました。葉を落とした枝越しに、向こうが見通せるようになりました。
 境内を訪れる人は稀。大方は墓参、配達、境内を通り抜ける人などで、観光と思われる方は、ほとんど見かけません。本堂の拝観者が1桁になる日もそう遠くないでしょう。
 本堂の職員さんに、「終わりましたねぇ」と言うと、「はい、終わりましたねぇー」とニコニコされていました。超多忙な1ヶ月の終わりです。

  
蒔絵のように赤や黄色を散りばめし / 散り忘れた紅葉   マウスを載せれば写真が変わります
 境内には、まだ綺麗な紅葉を見せてくれているもみじが数本あります。往時のような派手さはなく、日を透かして見た時に綺麗に見える程度ですが、それがまた情趣があって、ついカメラを向けてしまいます。
 今の境内の様子をお伝えするには、葉を落とした枝やカラカラに枯れて枝にしがみついているもみじ葉の写真のほうがふさわしいのですが、せっかくですから・・・。
 今の詫びた境内、これこそ“京都通”を自負する方にお見せしたい景色です。今なら写真も撮り放題。誰に邪魔されることもありませんよ!


          老  木  の  ふ  っ  と  木  の  葉  を  離  し  け  り       大串 章



  菩提樹ともみじ。枝に残っているのは枯れ葉 / 高いもみじの梢  マウスを載せれば写真が変わります
 “京都通”といえば、先日、京都検定(京都・観光文化検定試験)が実施され、1万人を超す人が受験されました。京都の歴史や文化、観光などの知識を問い、合格すれば「京都通」のお墨付きが貰えるようです。
 今年の試験問題はまだ知りませんが、去年の試験問題(3級)を見て、失笑してしまいました。
◇京言葉で、「どっちつかずで、とらえどころのない人」のことを何というか? ア、ミズナな人 イ、ジュンサイな人 ウ、カモナスな人 エ、ミョウガな人 − [イ]が正解ですが、今どきこんな言い方をする人がどこにおいやす?(おられるでしょう?)。「カモナスな人」は最高! ◇「エンバント」とは、( )という意味である。ア、あいにく イ、夜遅くに ウ、とりわけ エ、とっくに − こんな言葉、聞いたことがありません。野球用語かと思いました。正解は[ア] ◇子どもたちがじゃれ合って、あばれている時に、「そんなとこで、(  )たら、アカン。」と注意する。ア、ホタエ イ、ネブッ ウ、イノイ エ、ホカシ − そんなこと言うて、どこの子供がわかるの? 正解は[ア] ◇京都の人々が転居に際して、いつまでも栄えるようにという思いで植える植物は何か? ア、南天 イ、万年青 ウ、柊 エ、椿 − いつの時代のことえー? 正解は[イ]
 歴史や観光地の問題はいいとしても、生活や行事の問題は今の京都の人さえ知らない、していないことが多く、覚えていても役に立たないように思えます。
 さて、今年の問題はどうでしょう。見るのが楽しみです。


   通りがかる人が見上げていく総門横の橙 / 塔頭の花梨  マウスを載せれば写真が変わります
 本堂のすす払いも終わり、今年中の行事は大晦日のお勤めと除夜の鐘だけになりました。お盆を過ぎたら、あとはアッという間だったような気がします。
 22日は冬至。南京を食べて、柚子湯に入るという風習があります。境内にはいろいろな木があって、「あそこに柚子の木がある」「橙はあそこのを取ってくればいい」などと、季節に応じて狙われるものがあります。
 少し前までは柿なども子供たちによく狙われましたが、最近ではそういうこともすっかりなくなりました。狙われるのは、本堂前の菩提樹の実ぐらいでしょう。
 冬至は一年で一番昼の時間が短くなる時。最近は、朝遅くまで明るくならず、夕方になればすぐに暮れてしまって、すごく損をしたような気分になります。それも冬至で折り返しです。
 昔から「冬至冬なか冬はじめ」といいます。暦の上では冬の真ん中ですが、本格的な寒さはこれからです。
 まずは、すぐにやってくる大寒波にお備えください。


         少  し  づ  ゝ  用  事  が  残  り  日  短     下田実花