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古都を喧噪と混乱に陥れたブッシュ来日禍も過ぎ、京都はいよいよ紅葉期の観光シーズンのピークに突入しました。都大路も急に渋滞し始め、「どこにも行きたくない」「出かけたくない」と引きこもる京都人が増える季節の到来です。
比良山系では、昨日、今季の初冠雪を観測。平年より4日早く、暖冬だった昨年より19日早かったそうです。 今朝は素晴らしい快晴でしたが、午後からは曇り、少し時雨れてきました。前回の当ページに、時雨が降ると紅葉が色鮮やかになってくると書きましたが、最低気温、時雨れなど、紅葉の条件も整ってきたように思えます。 境内の紅葉も、加速度的にスピードを上げて進んでいます。 正面の階段を登り切った茶所の前や三重塔、手水舎あたりの紅葉は、今が盛りと申し上げても差し支えないでしょう。 カエデの木の大半はもうすでにピークを過ぎてたくさんの葉を落とし、もみじの木も赤や橙色に染まっています。 天気のいい日の朝夕などは、実に素晴らしい紅葉が目に飛び込んできます。
残念ながら、今年の紅葉は現時点ではよくないと申し上げざるを得ません。 昨日出会った写真家の方が、「『素晴らしい紅葉ですね』と観光で来られた方に言われたのですが、今だけ見ている方には綺麗かも知れないですが、ずっと見ている我々からするとちょっとねぇ・・・。今年の紅葉はよくないですね」とおっしゃっていました。 「今年の紅葉はどうですか?」とボクもよく聞かれます。せっかくお越しの方に「よくないのです」と言ってガッカリしていただくのは申し訳ないのですが、真如堂の紅葉がこんなものだと思われても困りますので、「今年はちょっと調子がよくないようですね。本当に綺麗なのは10年に1回ぐらいですから、またぜひお越しくださいね」などと申し上げることにしています。 10年に1回ぐらい紅葉の美しい年があれば、5年に1回ぐらいはどうしようもない年もあります。ひょっとしたら、今年はその5年に1回ぐらいの年かも知れません。南無阿弥陀仏。
裏側の基調はまだ緑で、ところどころに赤や黄色が見える程度です。例年、本堂裏は紅葉が遅く、12月に入ってからの敷き紅葉が見どころです。 南側は何とも汚い色合いになってきています。赤黒いというのか、濃緑赤というのか、的確に表す言葉を知りませんが、ここはまだどうしようもない状態です。 本堂前を除けば、境内の紅葉はまだ3〜4分といったところでしょうか。やはり、今月末を待たないと本当に綺麗な紅葉は見られないのかも知れません。 日 お も て に あ れ ば は な や か 冬 紅 葉 日野草城
これがピーク時には3000人近くもになります。閑散期は拝観者1桁という日も珍しくない真如堂にとって、その数は明らかにキャパを超えています。 拝観受付や朱印に追われて境内の掃除まで手が回らないというので、今朝は自坊の回りを掃除したついでに、本堂前まで“ブロア”という風でゴミを飛ばす機械を使って掃除をしました。 まだ十分な光が境内に満ちてこない時間にもかかわらず、本堂前には三脚を広げたカメラ翁たちが陣取っていました。毎年の光景です。 掃除の邪魔になっていても平気。いえ、彼らからすると、せっかくカメラをかまえて待っているのを邪魔をする憎き輩? 参詣の方がファインダーの中に入ると舌打ちしたり、「そこー ちょっとどいて!」などと怒鳴る傍若無人な光景が、今年も横行するのでしょうか? 「日本を背負ってきたような定年を過ぎた人たちが、平気でマナーを守らなかったりするんだからなぁ・・・」と、また毎年ながらの愚痴が出ます。腹を立てないようにしようっと。
でも、こんなふうにバギーが並ぶのを境内で見るのは初めて。保育士のような人がいましたから、やはり保育園の遠足でしょうか? 2才ぐらいの子供たちの多くは、落ち葉の中を走り回ったりしていましたが、ほんのわずかな子供とお母さんたちは、境内のベンチの上で、画用紙に枯れ葉を貼り付けていました。せっかく自然の中にいるのだから、机の上の工作などやめて、大いに走り回りましょう! 隣に陣取った縁もゆかりもなさそうな年輩女性たちが、「おいくつですか?」「あ、そんなことしたら危ないわよ」などと、おばあちゃん風を吹かせていました。
これでは追加の写真が撮れません。当てが外れてしまいました。 想像するに、境内にいた人たちも、蜘蛛の子を散らすように帰って行かれたのではないでしょうか? 今夜はライトアップに出かけようと予定していた人も多いかと思います。寒くて時雨れていても、折角ですから、頑張って行ってください! しばらくお天気も良さそうですが、時雨れ対策はお忘れなく。 老婆心ながら、京都の紅葉期の混雑はきっと想像されている以上です。新幹線や飛行機に乗り遅れられないよう、少々遠回りになっても、バスより地下鉄などのご利用をお勧めします。 佳き日をお過ごしください。 塔 し の ぐ も の の な け れ ば し ぐ れ け る 上田五千石 |