11/4版
今日は高気圧に覆われ、快晴とまではいきませんが、穏やかに晴れています。最高気温は24度と、ここ数日の中では最も高い予想で、しばらくは最高・最低気温ともに平年並か平年より高い見込みだそうです。
その前に、このページではカエデとモミジを区別していますが、植物の分類ではカエデもモミジも同じ種類として扱われています。 園芸の世界では、イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジなどのように、葉が5つ以上に深く切れ込んでいるものを“モミジ”と呼び、それ以外のトウカエデ(切れ込みが3つのもの)などを“カエデ”と呼んでいます。 芽吹きの様子も、新緑も、そして紅葉の具合も、モミジとカエデでは違うので、ここでは区別しています。 さて、境内の紅葉も、本堂前あたりは、とても綺麗になってきました。「花の木」などカエデの紅葉がモミジに先駆けて進んでいるのにあわせて、桜の紅葉がピークを迎えているためです。 「花の木」は、天辺の紅葉がピークを少し越えて散り始め、赤い色が下の方の枝まで降りてきました。下の方の葉はだいたい緑色の中に、赤や黄色の葉が入り交じってきて、美しい景色を見せてくれています。 「花の木」の紅葉は、ここ1週間がピークかも知れません。
カミキリムシが木の幹に穴を開けて、そこに蟻が入っているのか、モミジの水を吸い上げる力が落ちているようです。加えて、今年雨が少なかったこともあって元気がないために、“弱って”紅くなっているという感じです。 弱っている木はいち早く偽りの紅葉の姿を見せ、そのまま樹全体が枯れていくことさえあります。 本堂の南では、やはりカエデの木が先駆けて紅葉し、モミジはまだ薄黒い緑色、桜もこのあたりはあまりきれいに紅葉していません。日当たりの関係でしょう。 同じ木でも、葉によって紅葉しているもの、していないものが見られますが、これには日当たりが大きく影響しています。日当たりのよい葉は早く紅葉しますが、日当たりの悪い葉は紅葉が遅れ、時には紅くならずに茶色くなって枯れてしまうことさえあります。 本堂の南側では、目のさめるように美しい紅葉は例年あまり見られません。 数年前、JR東海のCMに出たのは本堂の南側ですが、よく見ると、「どうしてこんな場面を撮るのだろう・・・」と思うほど、黒ずんだ紅葉でした。
ここもあまり日当たりがいいとは言えませんが、水分も適当にあって、木自体が元気なように見えます。 この場所の見どころは、何と言っても“散り紅葉”“敷き紅葉”です。散って地面に落ちた紅い葉が、紅い絨毯を敷き詰めたように積もり、素晴らしい景色になります。 しかしそれも長くはもちません。落ちた葉が水分を失ってカラカラに乾いてしまうまでに、そう長くはかかりません。 紅い落ち葉の敷き詰め具合と、葉の新鮮さとの兼ね合いで、本当に美しい“散り紅葉”“敷き紅葉”に出会えるのは、2〜3日間もないかも知れません。 この光景は、自由に散策できる参道からも見られますが、拝観コースの中、本堂の回廊から見下ろすのが一番きれいだと思います。 美しい紅葉に出会える可能性が高いのは、“散り紅葉”“敷き紅葉”を除いて、よく晴れた日
本当に綺麗な紅葉に出会えるのは、住んでいるボクでさえ10年に1度程度。今年は残念ながら、その“1度”ではなさそうです。 木によって一番美しいタイミングはそれぞれ違いますので、「いつが一番見頃ですか?」と聞かれると、「えーっと、花の木は11月中頃ですし、本堂の裏は12月です。他の木は・・・」と、ズバッと言い切ることは難しいものです。 桜の花と違い、紅葉は20日間ほど楽しめます。皆さんご遠方から日程をやりくりしてお越しになるわけですから、その時に出会った紅葉が「最高だぁ!」とご自分に言い聞かせてください。 ただ、10月に雑誌の真っ赤に染まる紅葉を見て急いでお越しになり、真っ青なモミジをご覧になって帰られた方は、11月の後半にもう一度挑戦なさってはいかがでしょうか。
でも、そのために「きれいだなぁー」と思う写真が選外となってしまうのも残念です。これからの季節、きれいな部分だけ切り取った写真なら、いくらでも撮れるのですが・・・。 今日の更新の最後に、お気に入りの1枚を。3日前の夕方、出かけようと本堂の前を歩いていて、思わず「おおっ!」と声を上げてしまった素晴らし夕焼けの写真です。 小さいデジカメしか持っていませんでしたが、一刻も早く写真を撮ろうと本堂の階段を駆け上がり、夢中でシャッターを切りました。夕焼けの紅が黒に変わるまで、3分とかからなかっったでしょう。 思いがけず素晴らしい夕焼けに出会って、その夜は、ウキウキした感動が心の中から消えることがありませんでした。 皆さまがお越しになる時も、素晴らしい紅葉に出会われますように・・・。まだ早いですよ! 7日は早くも、立冬です。 村 々 の そ の 寺 々 の 秋 の 暮 鷹羽狩行 |