10/7版
明日からの連休を前に、境内の人影も少し多めですが、傘をさしての観光は少しお気の毒です。 本堂の階段に腰掛けて、静かに雨を見ていたり、強くなってきた雨をやり過ごしている人もおられました。雨はやっかいですが、またしみじみ感慨深くもあります。 週間予報では、今日・明日は雨で、日曜日には回復して、体育の日は曇り。昨日は快晴でしたが、その前の2日は雨。「秋に3日の晴れなし」と言いますが、本当に秋晴れは長続きしません。東京のデータでは、「今日は秋晴れだなぁ」と思っても、60%はその日限りなのだそうです。 かつての「体育の日」、10月10日を「晴れの特異日」だと思っておられる方も多いと思いますが、10月の晴れの特異日は16日と23日だけです。雨の特異日は13日で、わずか3日違いで晴雨の特異日が交代するのも不思議に思えます。それだけ天気が変わりやすいということでしょう。 雨 だ れ の 棒 の 如 し や 秋 の 雨 高野素十
また、社寺などが10・11月だけの特別拝観などを始めるなど、秋の観光シーズンの幕開けの月でもあります。 明日からの3連休は当然ホテルが満室状態ですし、時代祭などが行われる次の連休のホテルの空室状況を予約サイトで調べてみたら、空室があるのは1泊81000円のスイートルームだけでした。11月も休日前後は、もうほとんどのホテルが満室近い状態でした。 でも、10月は紅葉にはまだまだ早く、これといった花も咲いていません。ピークは、やはり11月半ば以降ですが、これでもかというほどの人が押し寄せるその時期は、とてもゆったりした気分で観光を楽しめる時期ではありません。 紅葉をご覧になるなら11月。静かに特別拝観をご覧になるなら10月。あっちを立てればこっちが立たず。何を最優先にするかでしょうね。
でも、それをご覧になって、「あっ、急がないと!」と焦る必要はありません。 これといった被写体に乏しい今の時期、写真を撮る人は、他を抜きん出て紅く染まったもみじやカエデがあれば、どうしてもそれにカメラを向けがちになります。でも、それに惑わされてはいけません。 先日来、「もう紅葉していますか?」と何人かの方に聞かれましたが、「紅葉しているわけないでしょ! まだ10月じゃないですか!」とキッパリお答えしました。 毎週しつこく申し上げますが、もみじの紅葉の見頃は11月20日を過ぎてから。今年は平年より遅れることや大混雑に巻き込まれるのを少しでも避けたいのなら、狙い目は11月末〜12月初めです。 さぁ、すぐにホテルを押さえてください! 秋 の 箱 何 で も 入 る が 出 て こ な い 星野早苗
「秋に美味しくなるものは?」とちょっと思い浮かべてみただけでも、あれもこれもと、片手では足りなくなってきます。 俳句の世界に「秋渇き」という季語があります。夏の暑さに疲れがたまって夏バテした人たちが、秋の涼気に食欲をそそられ、何でもおいしく食べられて、食べても食べても食欲は満たされずお腹が空く。「食に渇く」という意味のようです。 「私は、春渇き、夏渇き、秋渇き、冬渇き。年がら年中、食に渇いています」という方もおられるでしょう。お大事に。 お釈迦さまは、苦しみのもとは「渇愛」だとおっしゃいました。喉の渇きにも似た根源的な欲望、執着が、あらゆる場面で次から次へと現れて、私たちを苦しめるのだと説かれました。それを捨て去って悟りに到達する方法が、お釈迦さまの最初の説法であり、仏教の根本です。 秋の食べ物は美味しい、お酒は美味しい。「食べたい・・・いや、我慢しなきゃ」という秋渇きも苦の始まり。渇きにまかせていては、成人病になってしまいます。 「秋渇きぐらい克服できないでどうしますか!」という言葉が、ブーメランのように戻って来そうな秋本番です。 銀 杏 を 拾 ふ 大 き な お 尻 か な 星野恒彦 |