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         拝観はせず、しゃべって、またしゃべっての女二人   マウスを載せれば写真が変わります
 梅雨の晴れ間。スッキリした晴天ではありませんが、雨の続いた後は、中途半端な晴れ間でもうれしく感じられます。
 少し動くと汗がにじんできますが、木陰に座っていると、そよそよと心地よい風が吹いてきます。
 本堂脇の池の端にあるベンチに腰を掛け、ビバルディの『四季』を、小さなカセットレコーダーがビリビリいうほど音量を上げて聞いているお年寄りがおられました。
 それとなく見ていると、靴を脱いで中を掃除して履き直し、膝丈のズボンを腰まで降ろして下着を上げ、しっかりズボンをはいて身支度を整えられました。まるで、リセットするかのようでした。
 そして、曲が終わると、機械を小さなショルダーバックに入れ、正面参道を帰って行かれました。
 きっと素晴らしい時間を過ごされたのだろうということが、出立の時の表情から容易に想像でき、何だかこちらもうれしくなってきました。
 いつもより、なおさら人影が少なく思える境内。拝観者は、昨日2人、今日6人。
 そんな時は、思い思いの時間を過ごすには最適です。ゆっくりされたい方は、虫除けをご持参でどうぞ。

     木槿に日傘は似合うかも / 夕方、いのちを終える前の木槿花  マウスを載せれば写真が変わります
 沙羅や紫陽花の花も終わりです。
 これからの境内の主役は、木槿むくげ。総門付近では、いま7〜8種類ほどの木槿が咲き、日に日に花数を増やしています。
 写真を撮りに来られた人は、他にめぼしい被写体がないので、どうしても木槿に集中してしまいます。今日も、一番よく咲いている株の前で、長い間、三脚を据えて陣取っている人がいました。
 ボクも撮ろうと思ったのですが、なかなかその場が空かないので、いったん自坊に帰り、お茶を飲んでからもう一度その場に行ったら、今度は別の人が撮っていました。
 少ない被写体。今日の更新も、四苦八苦です。


         寝  こ  ろ  ぶ  を  禁  ず  寺  院  の  夏  座  敷      田宮真智子



       夕方、散歩を終えて帰る人 / 振り返ればこんな景色?  マウスを載せれば写真が変わります
 京都の街は、日に日に祇園祭の雰囲気が濃くなってきました。10日から鉾や山が建て始められ、鴨川では神輿洗も行われます。
 祇園祭というと、京都全体がその雰囲気に包まれると思っておられる方も多いのではないでしょうか?
 日本3大祭に数えられる祇園祭も、直接関係のある人は、八坂神社の氏子区域や鉾・山のある町内など、ごく一部の人に過ぎません。
 「祇園祭でお忙しいでしょう?」と気を遣っていただいても、なーんも忙しくありません。
 でも、直接関係なくても、旅行・観光業界など、この時期大忙しの人はたくさんおられます。仕出し屋さんなども、そんな忙しくなるお仕事の一つでしょう。
 祇園祭は「鱧祭」とも呼ばれます。京都では祇園祭のご馳走に鱧を食べることが多く、宵山前後には需要がピークに達して、京都の卸売市場には1日約8トン、2万匹が入荷するそうです。
 入荷する総量は15年前と特に変わっていないそうですが、最近は活け鱧が増えて、“しめた”鱧が減っているそうです。
 スーパーで安く売っていた鱧を買ってくると、必ず後悔します。身は結構厚くボリュームはあるのですが、ゴムのようであったり、カスカスだったり、生臭かったりします。新鮮さに欠ける鱧は、食べられたものではありません。鱧は、生きのよさや品質が、他の魚よりも如実に味に反映される気がします。
 活け鱧が増えているのは、何とか美味しい鱧を食べたいという志向と、京都観光・京料理ブーム、そして流通させる技術の進歩なのでしょう。
梅雨に元気な茸たち   マウスを載せれば写真が変わります
 鱧の旬は7月。脂がのって骨が柔らかくなり、皮が薄くなります。
 あまり栄養があるようには見えませんが、タンパク質が豊富。細かく切った骨も食べるわけですから、カルシウムもいっぱい。さらに、皮の旨味の部分には、軟骨や靭帯や関節を丈夫にするコンドロイチンが含まれているそうです。鱧君、なかなかやりますね。
 祇園祭の頃は、鱧の値段もピークに達します。需要が多くなって値が張っても、夏のご馳走に無くてはならないものだけに求めて、ますます値段があがるのでしょう。祭が終わると、一気に値段は下がってきます。
 鯖寿司も、祭などの“ハレ”の日に欠かせないご馳走です。冬が旬である鯖を、夏でも寿司にして食べるのは京都ぐらいだそうですが、祭には鯖寿司があるのが当たり前。祇園祭の頃には、鯖寿司も高くなる気がします。
 季節があり、それに因んだ行事があり、食べ物がある。京都って、日本って、素晴らしいですね。


          高   瀬   川   あ   さ   あ   さ   と   流   れ   夏   柳       石田文子