6/24版
東京は、今日、今年初めて最高気温が30度を超えたとか。うらやましい・・・。 雨も少し降りましたが、梅雨に相応しい量ではありませんでした。ニュースでは梅雨前線がいったん消えると伝えていますが、春以来の小雨もあって、四国などでは水不足が日に日に深刻になっているようです。 今日は曇っているので、日射しは厳しくありませんが、風もなくて蒸し暑い、いかにも京都の夏といった日になりました。 境内の木の下にいても、少しも涼しくありません。人通りも少なく、本堂前の白砂の上は今日まで毎日ため込んだ熱気にあふれているようで、一刻も早く通り過ぎたいと思いました。 変装して写真を撮っていたら、中年のご夫婦に、「沙羅双樹はどこですか?」と尋ねられました。本堂の前のほうから歩いてこられたようなので、「本堂の前にありましたでしょう」と答えると、「えっ、あれだけですか? もっとお茶を飲んだりする・・・・」と、一心に奥さんが説明されましたが・・・。 この方々は大きな勘違いをされているのでは・・・。
本堂前の沙羅は先週と比べて、咲いている花の数も倍近くに増えました。今月いっぱいぐらいは楽しませてくれるのではないでしょうか。 菩提樹は、花が終わって、代わりに実がいっぱい付いています。樹の下には“不良品”でしょうか、実のほとんどついていない浅黄色の細長い葉のような形の 見 て 覺 え 見 て 覺 え 今 日 沙 羅 の 花 後藤夜半
西洋アジサイの「ハイドランジア」とは「水の器」という意味だそうですが、これは形が水を入れる容器に似ているからとのことで、水好きとは関係なさそうです。 今は梅雨を代表する花となった紫陽花ですが、花びらが4枚というのは数が悪い、花の色が変わっていくのは無節操・移り気、花が散らないのは潔くないなどと評されたこともあったようです。言いがかりですね。無節操・移り気という評価とは逆に、一つの花でいろいろな色が見られるのは「一粒で2度おいしい」得をした感じを与えてくれます。 紫陽花が赤・紫・青など多彩な色になるのは、アントシアニンというブルーベリーなどにも含まれる色素と土中のアルミニウムなどによる微妙なバランスの作用ですが、どうして咲いている間に色が移ろうのか、その理由や仕組みは解明されていないのだそうです。 また、買ってきた真っ青な紫陽花を庭に植え替えても、翌年はきれいに発色しないことがありますが、この花色変異も謎だそうです。 綺麗なものには謎が多い? 人も謎めいているほうが魅力的に見えたりしますね。
境内に写真を撮りに出たついでに、黒谷との境界を越えて、 咲いていました、蓮2輪! 「紅領中」と「誠蓮」という種類でした。 紫雲石さんでは20鉢ほどの蓮が栽培されていますが、種類はみな違っているようで、それぞれに名前を書いたアクリル板がぶら下げられています。どこからの到来物であるかを書いた板もあり、それを見るのも興味が惹かれます。 「紫雲石」はお寺の通称名。大きくなるまで、ボクはこの寺の本当の名前を知りませんでした。 法然上人が比叡山を下り、この丘で半畳程の大きさの白河石に腰を掛けて念仏をお称えになると、にわかに紫雲がたなびき光が満ちたといいます。上人はここで草庵を結ばれたのが、後の「白河禅房」、今の「金戒光明寺」です。 その白河石を、後に「紫雲石」と呼ぶようになり、お寺もその名で呼ばれているのです。
今日、通りがかりにお話しした翁が、「今年は花が多いですね」とおっしゃっていましたが、ボクも同感です。菩提樹も沙羅も、みな見事。木槿にも期待が持てます。 千葉県・笠森寺伝来の あちらこちらで天然記念物や絶滅危惧種などに指定されていますが、ボクの実感では、その質強健にして、繁殖力の強い木です。あまりに枝を張って他の木々の成長を妨げるので、花が終わったら強めの剪定をしなければいけないとも思っています。 満開になるのは今月末頃でしょうが、南側の枝に花が咲くので、植わっているのは吉祥院の塀の外ながら、咲く花は自坊側からでないと見られません。ご覧になりたい方は、どうぞご連絡下さい。 25日、京都の最高気温は35度になるそうです。聞いただけで目が回ってきそうです。全国的にも気温の高い日が続きます。皆さま、どうかご自愛下さい。 山 門 の 日 に 老 鶯 の こ だ ま か な 原 石鼎 |