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「薫風南より来り、殿閣微涼を生ず」と唐の詩人は詠いましたが、よほど軒の深い建物でないと、今日は「微涼を生ず」わけにはいきません。 境内を訪れる女性のほとんどは、日傘を持つか大きなつばの付いた帽子をかぶっておられますし、タンクトップを着ておられる姿を見ると、「あー、気持ちがいいだろうなぁ」とも思えます。 この時期の平均の気温や最高気温は、毎日0.1〜0.2度ずつ上がり、5月の初めと終わりでは4度ほど違います。それも梅雨に入って少し緩やかになりますが、今度は湿気が余計に暑さを助長します。 今日の最高気温は28度。気持のいい季節から、蒸し暑い夏へ移り変わる予行練習とも思える日です。 夏 め く や 素 足 の 裏 に 庭 の 土 渋沢渋亭
晴れた日の新緑はなおさら綺麗。若葉の間からこぼれてくる陽の光は実にやわらかで、そこをすり抜けて地に写った光の模様がゆらゆらと動くさまを見るのも、実に気持安らぐ光景です。 昨日、庭木の剪定をしましたが、今春になってから伸びた枝の長いことにビックリしました。 今は柔らかい日陰を作ってくれるもみじ葉も、梅雨の時には木の下闇を作り出し、他の草木の生長も妨げるかと思うと、今のうちにちょっと剪定しておきたいという衝動に駆られ、少し太い枝も切り落としました。 料理人が飾り付けに一色添えるために欲しがるような、鮮やかな緑のもみじでした。
園芸店や花屋に並んでいるのは、いかにも豪華な紫陽花。ほとんどは、もともと日本に自生していたものをヨーロッパで品種改良して日本に逆輸入した西洋紫陽花(ハイドランジャー)ですが、境内にはもっと詫びた感じのする額紫陽花などのほうが似つかわしく思えます。 今、漢字の表記に使われる「紫陽花」は、もともとは白楽天の詩の中に出てくる、日本の“アジサイ”とは別の植物の名前です。 詩の注釈には、「招賢寺に山花があったが、その名を知る人がいなかった。色は紫で、気香しく、芳麗にして愛すべく、仙物に類する。よって紫陽花と名づける」とあります。それを平安時代に
雪の下と紫陽花では似ても似つかないような気がします。桜がバラ科などというのは不思議な分類の筆頭です。 鬱陶しい梅雨は嫌ですが、紫陽花は雨のよく似合う花。でも、これから1週間の天気予報に、雨マークが付いている日はありません。 紫陽花の本番は、もうしばらくしてからです。 ちなみに、花言葉は「移り気」「冷淡」ですって。 紫 陽 花 や 己 が 気 儘 の 絞 り 染 小林一茶 |