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ほんのうっすら雪を冠した本堂の屋根 / 自室の窓から見たサクランボの花と雪 マウスを載せれば写真が変わります
 夜半の嵐も収まったかと夢うつつに思いながら目を覚まし、窓の外を見たら、屋根にうっすら雪化粧がほどこされていました。なごり雪・・・。
 昨日から雪の予報が出ていましたが、まさかこの時期に積もるとは思ってもいませんでした。
 雪は10時前には融けて消えましたが、日中も時々ちらつき、予想最高気温は7度と、真冬に逆戻りしてしまったようです。
 朝一番に写真を撮りに境内を一周したら、久しぶりに手がかじかみ、石畳の上についた膝には間髪を入れずに冷たさが伝わってきました。
 鉛色の空には外へ出るのを誘われる人もいないのか、訪れる人のほとんどない境内はひっそり静まりかえって、小さなお堂の修理をする鎚音だけが境内に響いていました。
 

        出  し  穴  を  離  れ  ず  に  ゐ  る  地  虫  か  な       粟津松彩子  



染井吉野の蕾も少し膨らみました / 縦皮桜の蕾からは花色が マウスを載せれば写真が変わります
 最近になって、「桜はまだかぁ? 桜はまだかぁ?」「いつ咲きますか?」というお問い合わせを、皆さんからたくさんいただきます。
 何度も申し上げますが、「まだまだです!」。
 京都の開花予想日は3月31日ですが、桜の蕾はご覧のような状態です。染井吉野の蕾はふくらんで来ましたが、まだ花色は見えません。江戸彼岸系の「たて皮桜」や枝垂れ桜には、ピンク色が見え出しました。山桜系は染井吉野より蕾が堅いようです。
 昨日・今日の冷え込みで開花日は遅れ、4月にずれ込むかも知れません。
 見頃は、休日で申し上げると、4月9・10日です。すでに2・3日でご予定を立てられた方、大変残念でしたぁ!
 桜の話題にはまだ早いですが、花見に入洛を予定されている方に参考にしていただければと思い、取り上げましょう。
 京都の地元紙が、「京の桜、見るならどこで?」とアンケートをしたところ、1番が哲学の道で26%、2番が円山公園で24%、その後、嵯峨・嵐山、祇園白川、京都御苑、平野神社、府立植物園となっていました。
 哲学の道は、全長2キロの道のりに約600本の染井吉野が植わっていて、はらはらと散った花弁が水面に浮かぶのもまたすこぶる絶景です。
 ある満開の日にここを訪れた人を数えたら、3万5千人にも昇ったとか。舗装していない道なので、ご近所は砂埃が大変らしいです。
正面参道の散り椿。夜半の嵐の仕業?  マウスを載せれば写真が変わります
 京都の桜といえば円山公園と連想する人も多いかと思います。でも、あの桜はお世辞にも姿がいいとは思えませんし、夜などは騒々しくて酔っぱらいも多く、食べ物の臭いがあたりに充満していて、ボクは花見に行きたいとは思いません。
 昼間に散策されるなら、蹴上のインクライン付近や、そこから琵琶湖疏水べりを西に向かい、美術館〜みやこメッセ〜京都会館〜鴨川までのコースはいかがでしょう。哲学の道より人が少なく、ゆっくり散策できる穴場です。
 桜の蕾がようやく膨らんできたばかりだというのに、二条城や平野神社が今日から、将軍塚大日堂庭園、祇園の白川南通や四条〜五条間の高瀬川沿いが明日から、それぞれライトアップを始めます。嵐山商店街などは、造花の桜を歩道沿いのポールに付けたとか。桜同士が相殺しそうです。みなさん、ホントに桜がお好き。
 桜の季節は、秋ほどではありませんが、道が混雑します。それを計算に入れて、お花見計画をおたてください。

満開近し 山茱萸の花  マウスを載せれば写真が変わります
 山茱萸さんしゅゆや自坊のサクランボは、いつもの年だったら彼岸のお中日には見頃を迎えますが、今年はようやく今日になって満開になりつつあります。
 「あの行事にはあの花」というのが、皆さんにもありませんか? 例えば、入学式といえば桜。そんな連想が、また私たちの心を豊かにしてくれる気がします。そういえば、去年の入学式には、桜の花はありませんでしたね。
 椿の花を見ると、子供の頃、学校の帰りに椿の花の蜜を吸ったことを思い出しますし、藤の花を見ると、そこに集まってくるブンブンを捕った記憶が蘇ってきます。銀杏ぎんなんや椎の実、ユスラウメなどは美味しかったですが、グミはえぐかった・・・。今の都会の子供たちには、そういう記憶がまったく作られないのではないかと思うと、とてもかわいそうな気がします。
 今日から「愛・地球博」が始まりました。「自然の叡智(Nature's Wisdom)」がテーマで、「『自然の叡智』に学んで創る新しい文化・文明の在り方と21世紀社会のモデルを、世界中の人々との多彩な交流を通じて実現する」というのが趣旨だそうです。でも、リニアモーターカーや楽器を演奏するロボットは科学博みたいで、あまり自然の叡智とは関係なさそう・・・。花に季節を感じたり、ドングリ拾ったり、虫を捕ったりする方が、よほど自然の叡智を体感できるように思えます。
 さぁ、来週の更新では、桜の花を一輪でもご覧いただけるでしょうか。できるかなぁー できないだろうなぁー。ちょこっとできるかもなぁー。


       山  茱  萸さんしゅゆ  や   ま  た  た  く  た  び  に  花  ふ  え  て      森  澄 雄