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今日もまだ人影まばら    マウスを載せれば写真が変わります
 また寒い日が戻ってきました。朝早く降っていた雨も昼前にはあがり、晴れてくるのかと期待しましたが、午後からはまたどんよりしてきて、時おり時雨れています。
 強い寒気が南下してきて、週末はさらに冷え込むとか。まだまだ春浅しです。
 先日、1回目の桜の開花予想が発表されました。
 それによると、東日本や西日本の「1〜2月の気温は、変動が大きかったものの平年並に推移しました。また、3月の気温は平年並と予報されています。このため、東日本・西日本の開花は平年並か平年より遅い地点が多い見込みです」とのこと。
 ボクは、「この前まで暖冬だって言っていたじゃないの!! 平年並って!?」と、思わず突っ込みたくなりました。
 開花予想を細かく見ると、関東甲信地方は平年より2〜5日遅め、
まだものめかぬ沙羅/冷たい春雨に、傘をさす人、ささぬ人   マウスを載せれば写真が変わります
東海はほぼ平年並、近畿は平年より多少早め、中国・九州はやや遅れ、四国はほぼ平年並といった感じで、京都は近畿唯一の平年並、3月31日の開花予想です。
 去年、京都は3月24日に開花宣言が出ました。京都気象台の標準木は、どうも一般的な桜より早咲きの傾向があるのかなという気がしています。開花宣言が出ても、京都市内のどこにも桜は咲いていない、そんな経験を毎年するからです。
 桜の開花は、標高が100メートル高くなるにつれて、2〜3日遅くなります。真如堂は気象台よりちょっと高い。本当に開花し出すのは、フライング気味の気象台の開花宣言日より2〜3日後。満開になるのは、開花してから約1週間。そんなこんなを総合的に判断して、真如堂境内の桜(染井吉野)の開花は、4月2日、ピークは4月9・10日頃。これが、今年第1回目のボクの桜予想です。  


        も  の  の  葉  の  ま  だ  も  の  め  か  ぬ  余  寒  かな      千代女



幅4メートル 縦6メートルの大涅槃図   マウスを載せれば写真が変わります
 大涅槃図の拝観が、1日より本堂で始まりました。
 この涅槃図は、三井家の女性たちの寄進により、宝永6年(1709)に海北友賢や僧厭求によって制作されたものです。
 海北派は海北友松を始祖とする江戸期の画派で、京都画壇の名門です。友松の後、友雪−友竹−友泉−忠馬−友三−友徳−友憶と続きましたが、友松・友雪の後はあまりみるべき作品がないといわれています。友賢は友雪の門人で、直系ではありません。
 厭求は、江戸時代の浄土門の高僧。京都で生まれ、17才で江戸に赴いて、深川で修行をしている時に明暦の大火に遭い、その惨状に無常を感じて大衆救済に立ち上がりました。その後、全国を行脚して過ごし、82才で亡くなるまで、生涯定住されなかったといいます。
 「性甚だ寛宏にして宗派に拘泥せず・・・阿弥陀経を写すこと一千部、弥陀の尊号を書する十万 部、仏菩薩の像を画くこと其の数を知らず」(『望月佛教大辞典』)と、様々な宗派の寺々に巡遊・滞在し、厭求作といわれる仏画や仏像が各地の寺に現存しています。
 真如堂の涅槃図は、当時人気の高かった厭求をプロデューサーとし、海北友賢を実際の画工として制作されたものでしょう 。
 「真如堂の涅槃図には猫が描かれています」と、さも珍しいことのように紹介されることがあります。
 涅槃図に猫が描かれない理由としては、「釈迦の入滅に間に合わなかった」とか、「お釈迦さまのお母さまが捧げた薬を取りに行くネズミが襲われないため」とか、様々なことが言われますが、いずれも定説ではありません。
涅槃の頃にはやっぱり馬酔木  マウスを載せれば写真が変わります
 真如堂の涅槃図には犬が描かれていないけど、どうして犬のことは語られないのだろう? 猫が描かれていないことを問題にしだしたのは、猫好きの人だったのではなかったのだろうか? と、不思議になってきます。
 猫が登場する一番古い日本の文献は、『日本霊異記』だそうです。『源氏物語』『枕草子』『更級日記』などにも猫は登場しますが、もっぱら深窓のやんごとなき人たちの間で愛玩されていたようです。その頃の猫はとても高価で、もちろん放し飼いではありません。
 江戸幕府は「猫をつないではいけない」「猫の売買を禁止する」というお触れを出し、それ以後、猫は外を自由に闊歩できるようになったとか。
 涅槃図に猫が描かれるようになったことと、猫が自由に行動し、人々の目に触れることが多くなったこと、猫が大衆の愛玩動物になったということは関係があるのではないだろうか? 涅槃図の作者たちも、人気の出て来た猫を描かざるを得なくなったのではないか? ・・・ 秘かにボクはそう思っています。
 涅槃図については、また次回も取り上げさせていただきましょう。

境内ただ一つ咲いているサンシュの花  マウスを載せれば写真が変わります
 ほぼ毎日、「サンシュユはまだかぁ・・・ あー、まだだったぁ・・・」と偵察に行っていましたが、今日、ようやく咲いている唯一の花を見つけました。
 まだ「咲いている」というのは気がひけるほどの咲き方ですが、梅、馬酔木と来たら、桜が咲くまでにサンシュユに登場して貰わないわけにはいきません。
 寒い中、しゃがみ込んで草引きをしていた職員さんに、「今年はサンシュユが遅いねぇ」と話していたら、「そこに1輪だけ咲いていますよ」と言われ、「あれほど毎日見ていたのに・・・負けた・・・先に見つけられた」と敗北感を味わいました。
 去年のサンシュユの実付きはかなり悪かったのですが、今年の花付きもよくありません。木によってはほとんど花がついていません。小さい花が枝一杯に咲いてこそ目を引くサンシュユ。今年は、どうやら、残念っっっ!!
 見頃は、20日頃です。
スミレが満開!/気がついたら咲いていたハコベ  マウスを載せれば写真が変わります
 最近、本堂の前に脱いだ靴が所在不明になるケースが続いたとかで、拝観される時には靴をビニール袋に入れて持っていただくようになったそうです。
 「犬じゃないのですか?」と職員さんに聞いたら、「両方ともなくなるんです」とのこと。なるほど、犬じゃないなぁ。カラスもそこまではしないでしょうし、ミーコでもないでしょう。
 女性用のロングブーツもなくなったそうですが、所業の主は女性? サイズは合ったのかな? それとも、すね毛の足に履いてみたいという御仁かな?
 持っていった人も、今頃、窮クツな思いをしているでしょう。今からでもお返し下さ〜い!
 明日、5日は啓蟄です。今度の寒さを超えたら、かなり春に近づきそうな気がします。ボクも這いずり出そうかなぁ。


      カ  メ  ラ  構  え  て  彼  は  すみれ  を  踏  ん  で  い  る      池田澄子

      足  も  と  に  あ  り  し  し  あ  わ  せ  花  は  こ  べ       北 さとり