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花の木の色が少し変わってきました。右端の桜の葉は毛虫に食べられました/盗 人 萩(OnMouse)
 朝、本堂で大きな法要がありました。じっとしているとさほどでもないのですが、お経を読んだりすると、たちまち汗が吹き出してきました。湿気が多くて蒸し暑い日です。
 毎週到来していた台風も、今のところ太平洋上にも発生していません。
 「異常気象」という言葉が今年もあちこちで聞かれますが、毎年そんなことを言っている気がします。
 先日、今世紀末には地球温暖化が進み、最高気温が30度を超える真夏日が年間に100日以上ある地域が全国的に広がって、夏の降水量も2割近く増えるという予測が発表されました。
 それによると、夏(6〜8月)の最高気温は20世紀末と比べて4・4度上がり、北海道を除く大半の地域で、真夏日が今よりも50日から70日増えて、年間120日程度となる。梅雨時期に前線が停滞しやすく
   正面参道前に萩の大株 / まだ咲き続けている木槿    マウスを載せれば写真が変わります
なって夏の降水量が増え、現在は1年に1日あるかないかという激しい豪雨も、地域によっては1日〜10日程度に増加する……云々。
 こんなことを聞くと、熱帯のスコールを連想します。今年の夏は、夕立というよりもスコールと呼んだほうがいいような雨に幾度も遭いました。これからは、それが当たり前のようになっていくのでしょうか。
 四季の移ろいも崩れ、花の咲く時期がどんどん変わってきたら、暦の二十四節気も、俳句の季語も意味がなくなってしまいます。
 食べ物では、すでに旬が失われつつある気がします。松茸は秋でなくても売っているし、秋刀魚も生でなければいつでも食べられます。
 いつでも食べられるというのは、たとえば冬に病人に「スイカが食べたい」と言われた時には助かるでしょうが、常には有り難さも半減する気がします。

          萩   の   寺       マウスを載せれば写真が変わります
 彼岸花はそろそろ終わりです。20日の彼岸の入りを待たずに終わってしまいます。こんなことは今まで経験したことがありません。
 さて、そろそろ萩の満開が近づいてきました。ここ1週間が見頃でしょう。十五夜は、今月28日ですが、何とかその頃まで保ってくれるでしょうか。
 真如堂の近くにある「萩の寺」の萩も咲いてきました。
 「萩の寺」は正式には迎稱寺で、京都では珍しい時宗のお寺。その西に大興寺(臨済宗)、極楽寺(時宗)、東北院(時宗)と4カ寺が並んでいて、「四軒寺」と呼ばれています。
 真如堂とこの4ヵ寺は寺町今出川にあった時に共に焼失し(1692)、翌年、一緒に現在の地に移転してきた「仲」なのです。
 「萩の寺」と呼ばれるだけあって、古びた15メートルほどの土塀沿いに咲く萩は、高さなども揃ってお行儀よく伸び、さすが。「今年も負けたなぁ」と思います。

      地  図  に  見  る  明  日  行  く  と  こ  ろ  萩  の  卍       池田澄子


     ススキの穂と花  マウスを載せれば写真が変わります
 鐘楼脇には、先日来、 オオモクゲンジの花が咲いています。6月に咲く自坊のモクゲンジと同族ですが、こちらは今頃咲くのです。違いは、葉にギザギザがあるかないかで、フウセンカズラのような実がなるのは同じです。
 かなり高いところに咲いているので、木の下に小さな黄色い花がびっしりと散っていなければ、開花に気付く人はおられないかも知れません。
 これだけ説明しておいて写真が載ってないのは、うまく撮れなかったからです。モクゲンジと同じような花ですから、どんな花かお知りになりたい方は、当ページの 6/18 をご覧下さい。

 ススキが穂を出し、花を咲かせていました。ススキの花をこんなにまじまじと見たのは初めて。花といっても花びらはなく、雄しべと雌しべだけで、近づいてみないと開花しているとは気付きません。お米の花とよく似ていますね。
 ススキの葉で手を切ったりされたことはないですか? ススキの葉の縁には透明なギザギザが付いています。その成分は、なんと珪酸体というガラス成分。ススキの葉は、ガラスの刃をしたカミソリのようなもの……切れて当たり前です。
 境内のススキもだんだん減ってしまいましたが、ススキにお団子はお月見の定番。お月見の話は、また次回に。

       人  皆  は  萩  を  秋  と  い  ふ
            よ  し  我  は  尾  花  が  末  を  秋  と  は  言  は  む        万葉集

     初収穫の大砲ドングリ(マテバシイ) / 芙蓉の花と蟷螂  マウスを載せれば写真が変わります
 マテバシイの実が落ちていました。今年初めて見た実、とても嬉しいです。
 マテバシイは、春に咲いた花が受粉して実となり、どんどん成長して、翌年の秋に熟して落ちてきます。この実は小さいほうですが、3センチ余あります。
 弾丸に似ているので、「大砲ドングリ」と呼んでいました。子供の頃は秋になると毎日拾いに行きましたが、今でも落ちていると拾わずにその場を去ることができません。多い時にはズボンの両ポケットいっぱい拾い、宝物のように大切にとっておきました。
 実を横に切って中身をほじくり出して笛にしたり、軸を付けてコマにしたり、いろいろ遊べる大砲ドングリです。
 椎の実も落ち始め、先日拾って食べてみました。懐かしい味です。しばらくは、ドングリや椎の実を探して拾いながら散歩をするのが楽しみです。
 芙蓉の花の写真を撮っていたら、葉の裏にカマキリが隠れているのを見つけました。蝉などでも生け捕りして食べてしまうどう猛なカマキリ。
 祇園祭には「蟷螂山」という山鉾があります。「蟷螂の斧を以って隆車の轍を防がんと欲す(カマキリが斧で大車を防ぎ止めようとする)」という中国の故事がもとで、足利義詮の軍を迎え撃って戦死した公家 四条隆資の武勇ぶりを蟷螂の姿に重ね、四条家の御所車に蟷螂を乗せて巡行したのが蟷螂山の起源だそうです。
 カマキリは、自分の力のほどを超えても大敵に立ち向かうということですが、ボクが棒の先で突くと、カマキリも鎌を振り上げて威嚇してきました。まさに「蟷螂の斧」。
 「人様に向かってくるなんて、この身の程知らず!」

     挑   み   ゐ   し   青   蟷   螂   の   眼   な   り   け   り       石塚友二



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