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緑陰でも日傘を手放さない女性たち
 「梅雨入りを返上されてはいかがでしょう」と、気象庁に一筆啓上申し上げたい1週間でした。好天に恵まれて有り難かったです。
 その好天もそろそろお仕舞いでしょうか、台風が近づいてきています。前回の更新の時も台風が来ていました。今年は、台風の来参が頻繁です。
 何でも今度の台風は、南海上の海水温が高いため、勢力があまり衰えないで日本列島に接近してくるとのこと。年に1つ来るか2つ来るかというほどの大きな台風です。週明けの接近が心配です。
 それにしても、暑い。連日30℃を超えるようになりました。湿度がさほど高くないのがまだ救いですが、こう暑くてはたまりません。もう真夏の様相です。
 これで雨が降り、ベタベタまつわりつくような湿気が満ちてくると、京都も本格的な梅雨です。それも勘弁願いたいです。


境内から見る夏空
 21日は夏至です。「冷蔵庫の日」だそうです。なるほど。
 北欧各国では夏至をお祝いする行事が盛大に行われます。暗く長い冬が続く北欧では、太陽の恵みを最も長く受けられるこの日は、殊の外うれしい日なのでしょう。
 日本でも、陰陽では「陽」の気がもっとも強くなる日、神道でも天照大神の力がもっとも強くなる日とされるそうですが、特別な行事や風習がほとんどないので、そうと知らなければ何の感興もなく過ぎてしまいます。
 梅雨のまっ只中で、太陽が燦々と照りつけることが少なく、実感がわかないからでしょうか。冬至には行事があるのに、夏至はかわいそう…。
 伝統行事ではありませんが、環境省が呼びかけている「CO2削減・百万人の環」キャンペーンで、東京タワーや道頓堀のグリコのネオン、全国の夜景スポットライトやライトアップなどを消したり、部屋の電気を消してロウソクの明かりで過ごそうというイベントが、20日を中心に行われるようです。
 点灯して目立つのではなく、消して「何だろう?」と注意を惹くところが愉快です。

     夏  至  今  日  と  思  ひ  つ  つ  書  を  閉  ぢ  に  け  り       高浜虚子


わずかに咲く沙羅 / わずかになる菩提樹の実 (OnMouse)
 沙羅(夏椿)の花が咲き出しました。今日見に行ったら3輪だけ咲いていて、2輪の散った跡がありました。
 咲いていた花は、いずれも雄しべの先が褐色になっていて、いつものような清楚さに欠けています。雨が少ないからでしょうか? 少し…、いや、かなりがっかりです。
 一方の菩提樹には、早くも実が付いていました。こちらもボクが知る限り最悪の花付きでしたから、当然、実の付きも散々。どこになっているか、目を凝らしてよほど探さないとわかりません。
 本堂の職員さんが、「何人ものお参りに人に、『菩提樹の花を楽しみに来たのに…』と言われました」と嘆いておられました。よく咲いている年は我が事のように鼻高々でしょうが、悪い年は「菩提樹のことは聞かないでください」と言いたい心境でしょう。もちろん、誰のせいでもありません。


吉祥院の栴檀葉の菩提樹
 本堂前の菩提樹は不調ですが、自坊の栴檀葉の菩提樹(モクゲンジ)は満開。レモンイエローの花です。
 ただこの花、南を向いて(門内方向)咲いているので、門の外からは花が咲いているのがまったくわかりません。「あの花は何ですか?」と、今日自坊を訪れてくださった方に尋ねられるほど、門の中からはよく目立っています。樹高も7〜8メートルあります。
 この木は千葉県の笠森寺から実をいただき、大きくなったもので、繁殖力が旺盛なので、ひこばえがいくらでも出てきます。
 不思議なことに、同じモクゲンジでも少し違う木が境内にはあと2本あります。1本は鐘楼の左手前にある大きな木。こちらは9月頃に花が咲くことや葉の形(栴檀葉ではない)、実の色などから見て、オオモクゲンジ(タイワンモクゲンジ)ではないかと思います。もう1本は、ボクが地中海の某国から持ち帰った実から発芽した木。こっちはまだ幼木で花が咲いたことがありませんが、葉などはモクゲンジと同じですが、DNAはどこか違うでしょう。花が楽しみです。
 さわやかな花色ですが、たくさんの人に気づいていただけないのが残念です。


紫式部の花
 紫式部の花が咲き出しました。小さくてかわいい花です。南天といい、どうして雨の多い梅雨期に咲くのでしょう。こんな時期に咲いたら、実が付きにくいじゃないですか。
 話はまったく飛びますが、一昨日東京に行ったついでに箱根に泊まり、昨日箱根の金時山〜明神ヶ岳を歩いてきました。
 富士山を見たいと思って行ったのですが、残念ながらほとんど見えず。でも、山には様々なウツギ、コアジサイ、ヤマボウシ、エゴノキ、シモツケ、ヒトリシズカ・・・などが咲いていて、時鳥と鶯が、道すがらずっとつき合ってくれました。
 やはり、「こんな雨の多い時期に花を咲かせるのは、どうしてなのだろう」と思いながら歩いていましたが、花がもし話せたら、「雨の多いこの時期に山に登るアンタも好きねぇ」と、逆に言われているかも知れません。今日、足は筋肉痛、頭皮は日焼けでヒリヒリ。きっと頭は一皮剥けます。

     え  ご  の  花  真  盛  り  な  る  み  ど  り  か  げ     高浜年尾

     ほ  と  と  ぎ  す  鳴  き  て  遠  め  く  山  の  滝      飯田蛇笏


 さて、どうか皆さま方も台風への備えを十分になさってください。