訪れる人もまばらで、静かな境内 |
お天気が1週間続きました。残念ながら、それも今日からは崩れるようで、早朝は快晴でしたが、だんだん雲に覆われてきました。
西日本では、向こう1週間も前線が停滞して曇りがちの天気が続くという予報。気象庁は今日、九州、中国、四国地方の梅雨入りを発表しましたが、近畿地方も間もなくでしょう。
梅雨入りは、九州南部以外は1週間ほど早いようですが、その分早く明けてくれるでしょうか? 梅雨明けだけは平年並なんて最悪ですもの。
境内のもみじは、新緑の名残をまだ少し残していますが、鬱陶しい空もあって、木の下は少し暗いほどです。その他は、わずかにサツキが咲いているだけ。めぼしい景色がありません。
も の の 音 木 下 闇 ま で 来 て 消 え る 比 奈 夫
本堂前の蟻の巣 / 蟻の巣だらけの石畳(右奥に1匹飛んでいます) |
毎年夏になると、本堂前の手水舎の前あたりを掘り返し、赤い土の小山をいっぱい作る蟻がいます。
体長は4ミリほどで、羽根を持っているので、動きが素早く、じっと見ることができません。
何とか写真を撮ろうと巣の出入り口をアップにして待ちかまえていると、出て行こうとする蟻は少しだけ顔を出してあたりの様子を伺い、大丈夫だと判断すると、ぶっ飛んで出て行きます。顔を出した時にこちらが動くと、慌てて顔を引っ込めてしまいます。
帰ってくる時も、一目散に穴の中に飛び込んでいきますので、結局、1枚のアップも撮ることができませんでした。
雨が降るとこの巣は流れたり、埋まったりしてしまいますが、またすぐに赤土色の小山が出没します。境内でもこの蟻が巣を作るのは限られたこの場所だけ。日当たりもよく、石畳に覆われているのが好都合なのでしょうか。こんな人の通るところに巣を作ったら、すぐに踏み潰されるのになぁ。
長い間しゃがみ込んで蟻を見ていたら、参詣の人に奇人を見るような目で凝視されました。
蟻 の 国 の 事 知 ら ず 掃 く 箒 哉 虚 子
櫨の花 / 鬱そうと茂る櫨 |
自坊の吉祥院の前に、櫨の木が2本離れてあります。樹高が7〜8メートルほどで、細長い葉が生い茂っています。
その櫨の木の側を通ると、ブーンという音がしてきて、日によっては20メートルほど離れていてもその音は聞こえるぐらい。正体不明のその音に、「えっ、何だろう?」といぶかしく思われた方がおられたかも知れません。
今、櫨の木は小さい花を枝いっぱいに咲かせていて、香りもなかなかのもの。樹の下の土塀の瓦には蜜の跡が点々が付いていて、触るとベタベタします。
ブーンという音は、この蜜を集めにやってきている蜜蜂たちの羽音なのです。近所にいる蜜蜂たちはきっと総動員。何百匹もいるでしょう。
高いところにしか枝がなく、そのうえ花も小さいので、写真を撮るために土塀の上に登って花に近づいていたら、体長5セントほどもある大きな蜂にストーカー行為をされ、危うく土塀から落ちるところでした。大スズメバチの女王さまかも知れません。羽音が尋常ではありませんでした。
室生寺 五重塔と六地蔵 / 金堂 |
更新ネタに窮した時は、話題を外に…。
昨日、奈良県の室生村に行ったついでに、初めて室生寺に参拝しました。
昭和を代表する写真家、リアリズム写真の巨匠 土門拳氏は、ボクの大好きな写真家です。ここ室生寺は土門が愛してやまなかった寺で、彼は40年にわたってこの寺に通い詰め、それは車椅子生活になってからも続けられたといいます。「雪待ち」で、門前の定宿に何泊も待ち続けたこともあったそうです。
ボクの室生寺への憧れは、その土門の写真を通じてのものでした。「女人高野 室生寺」という石碑も、有名な五重塔も、仏さまも、みな土門のレンズを通して見た覚えのあるものでした。
6年前、この寺を象徴する五重塔は台風によって大きな損傷を受け、五層すべての庇が壊れてしまいました。その光景をテレビで見た時、ボクは大きな衝撃を受けましたが、昨日出会った五重塔はすっかり修復を終え、端正な姿を見せてくれました。金堂の仏さまたちも、実に「見ごたえ」のある、有り難いお姿でした。
奈良の寺々には京都は違った趣がありますが、同じ奈良でも東大寺や興福寺といった大寺とはまた異なる風情が、木津や加茂、室生の寺にはあります。
室生寺を実際にこの目で見て、土門拳が通い続けた気持がわかったような気がしました。
紫陽花「七段花」 |
さて、境内に戻りましょう。境内の紫陽花も、少しずつ咲いてきています。
桜の開花も早かったですが、花菖蒲も早く、紫陽花も右へならえで少し早い様子。紫陽花で有名な藤森神社も、公開を例年より1週間早めたそうです。
梅雨入りも早く、今年は何もかも早めシフトですね。
もうすぐ更衣の時期です。学生服などは、最近あまり厳密に更衣の時期をいわなくなったそうですが、天台宗の僧衣は6月1日、夏衣に変わります。紗などの透けた衣に替わるわけです。
5月も中旬になったら、冬の僧衣を着ているのが堪らなくなってきます。地球温暖化で暑さ前倒しになっているわけですから、更衣時期も早めシフトにならないでしょうか。
次の更新までに、近畿地方も梅雨入りするでしょう。また、暑くてジメジメする季節の到来です。
気分まで湿気てしまわずに、カラッといきましょう!
春 と 夏 と 手 さ へ 行 き か ふ 更 衣 鬼 貫
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