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もみじが覆い被さっているような正面階段
 台風が青空をもたらしてくれました。久しぶりに青い空を見た気がします。明日明後日、土日共に晴れるのは1ヶ月ぶりだそうです。
 あまりにも早い台風の到来でしたが、去年も5月末に台風が到来したのではなかったでしょうか。何事もなくてよかったです。
 境内のまだ若い葉をつけたもみじの枝は、雨が降るたびに重たそうに頭を垂れ、今朝もまだ雨粒をいっぱい付けて大きく曲がっていました。強い風が吹いた時には、たてがみを振り回しながら舞う『連獅子』のよう。折れやしないかと心配になります。
 今日は暦の「小満」。万物が元気に満ちて、草木の枝葉が生い茂る頃です。
 今年は雨が多く、梅雨の走りというよりは、梅雨入りしたかのような毎日です。稲を育て、草木を育てる恵みの雨ではありますが、せっかく新緑も美しく、外出するにも好季なのですから、もう少し青空を見せて欲しい気がします。

つつじと塔
 大阪管区気象台の過去30年の記録を見ると、例年5月中旬は少し天気が崩れる日が多く、下旬にはいったん回復して、6月の梅雨入りとなります。「晴れ」の出現率は、5月中旬51%(雨35%)、下旬58%(雨29%)、6月上旬37%(雨30%)。
 ちなみに、今年の4月は月間日照時間がとても多く、大阪や神戸、奈良では統計開始以来第1位、京都も第2位の多照だったそうです。4月に「晴れ」マークを使いすぎてしまったのかも知れません。
 大雨を覚悟していた今日の青空は、なんだかすごく得をした気分です。

       新  緑  の  風  に  ゆ  ら  る  る  お  も  ひ  に  て      飯田蛇笏



理不尽な名前をつけられた蛇苺
 花が少なくなってきた野に、かわいい赤い実を見つけました。蛇イチゴです。
 蛇が大嫌いなボクにとっては、とんでもない名前です。
 昔、中国で、苺のようには見えても甘みがなく不味いので、蛇でも食べるのだろうと「蛇苺じゃも」と名付けられたのがその名の起源とか。
 蛇はまずいものを食べるのでしょうか? どうやら、この草が蛇がいそうな湿気の多いところに生えていることから名付けられただけで、蛇が食べているわけではなさそうです。
 「毒があるから食べてはいけない」と、子供の頃に言われた方はおられませんか? 毒はありません。でも、スカスカの海綿状で、ほとんど味がしないそうです。
 朝、ボクがウォーキングをしているコースに、木イチゴがなっている場所があって、そこを通る時には1粒、2粒、口に入れてまた歩きます。実を取ろうすると、熟した実がポロッと落ちてしまうことがありますが、棘だらけの茂みの中に落ちてしまった実はもう取れません。仕方なしに、また別の実に手を伸ばします。
 今の子供たちは、木イチゴを食べることを知らないようで、採っているどうやらボクだけのようです。

ぽ  つ  つ  り  と   お  の  が  名  知  ら  ぬ   蛇  苺

     川 島 千 枝

木  苺  の  種    舌  に  旅    は  る  か  な  り

     千代田葛彦



日に日に綺麗になる紫陽花
 今、京都は春の修学旅行シーズンです。バスに乗っても町を歩いていても、それとわかる一団に会いますし、都大路を車で走っていても、大型バスや貸切タクシーに乗った修学旅行生を見ます。また、朝のホテルや旅館の前には、迎えのバスやタクシーが行列を作っています。
 昨日と一昨日、朝8時頃、境内から子供の団体らしい声がすると思ったら、「真如山荘」に泊まっていたとおぼしき修学旅行の小学生でした。
 京都市内には年間約100万人余のが訪れます。中には恐喝被害やトラブルに巻き込まれたり、修学旅行生同士の喧嘩騒ぎなどが起こることがあります。将来の京都観光のリピーターとなる修学旅行生が、悪い印象を持つことがないようにと、トラブルに巻き込まれた修学旅行生を、近くの店舗や旅館が助ける体制を関係機関が作ったりしています。
 小学生ではそういう心配は少ないでしょうが、真如堂の境内に泊まっていればなおさら安心。でも、夜の外出とか枕投げとかはできなかったかも。それは残念…。
 京都府南部の関西文化学術研究都市に、雇用・能力開発機構が昨年オープンさせた「私

柊南天の実。ブルベリーみたい
のしごと館」という施設があり、約700の職業に関する映像や資料、職業適性を知るシス テムがあって、「リカちゃん人形」づくりや声優体験、機械工作や家具組み立て、菓子製造、美容師など、約40種類の職業が体験できるそうです。
 入館者の7割が小学生以上の団体で、オープン以来、北海道から沖縄までの85の中学・高校が修学旅行で利用し、入館者は当初見込みを大きく上回ったそうです。公的施設にしては珍しいことです。
 お寺を回るより、そういうところのほうが、子供たちには面白いのかな? 「将来のために」という大人の配慮でしょうか?
 514種の職業を紹介した村上龍さんの『13歳のハローワーク』という本もベストセラーです。選択の幅が広がり、目標がはっきりしていいでしょうが、何となく世知辛い気もします。
 「私のしごと館」には、お坊さん体験コーナーは……ないですね。

 しばらく京都は晴天続きの予報です。お越しになりませんか? ただ、天気予報は最近よく外れます。まして、週間天気は…。