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桜は今が盛り。今朝あたりから、風に舞う花びらが目立つようになってきました。 毎年、満開の頃には、春の嵐が来ることが多いですね。 明日ありと 思う心のあだ桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは 親鸞聖人 夕べの雨は、桜花を一気に散らせてしまう無情(常)のものではなく、今週末にお花見の機会を残してくれました。以後しばらくはまずまずのお天気の予報。今年の桜は天寿を全うして、静かに散っていきそうです。 それはいいのですが、今年も満開が早すぎて、満開の桜の下で入学式の記念写真を撮ることは、叶いそうにはありません。学校の校舎には桜の花がよく似合うのですが。 日本には、野生種と栽培品種とを含めて300種以上の桜があり、その数は品種改良などによって年々増えているそうです。 300種以上といっても、野生種はわずかに10種ほどで、残りは交配や品種改良などによって人工的に作られた栽培種。栽培種の多さは、日本人がいかに桜を愛してきたかを物語っています。 津々浦々で栽培されている里桜の代表 染井吉野も、江戸時代に駒込染井の植木屋さんが大島桜と江戸彼岸桜を交配させて作ったものであることは、よく知られています。 「梅が香を桜の花に匂わせて柳の枝に咲かせたい」 改良するなら、もう少し香る桜が出来るといいのですが、そうなると桜の名所では咽せかえってたまらないかも知れません。 あるいは、さくらの「さ」は穀物の霊を表わす接頭語(五月女の「さ」も同じ)、「くら」は神霊が座る場所で、「さ+くら」で穀霊の集まる依代を表わすという説などがあります。 桜を見ると、辛く悲しい思いをされる人もおられます。 鹿児島・知覧。第2次大戦の時、特攻隊機が飛び立った基地のある町。桜の季節、出撃する特攻機には花が飾られ、女学生たちは桜の小枝を振って見送りました。町の人の中には、今も「桜はさびしい花ですよ」とおっしゃる方もあるようです。 帝国海軍の記章は「錨と桜」、陸軍は「星と桜」を組み合わせたもの。「同期の桜…見事散りましょ 国のため」と歌われもしました。 中世より、桜には死や無常のイメージが重ねられ、歌舞伎の舞台では満開の桜が、消えゆくもの、滅びの美、精霊の宿るもの、狂気などを象徴したりと、相反する生と死を一身に背負った花のような感があります。 ただ美しいだけではない何かを桜の花に感じるDNAを、私たちは持っているのかも知れません。 お芝居で、役者に声をかけるように頼まれている見物人役のことも「さくら」といいます。お店などで、客になりすまして品物を褒めるなどし、本当の客の買う気をそそるのも「さくら」。 「桜が咲くと人が集まるから」「さんざん賑わしておいてパッといなくなるのが、桜の散り際に似ているから」というのが語源らしいですが…。 ボクは最近まで、つぶつぶの道明寺で餡をくるんだものが桜餅だと思っていましたが、関東のそれはクレープのような焼き皮製の生地で餡をくるんだものなのですね。ビックリ! 関東の人の中には、つぶつぶしている関西の桜餅を、「ぼたもちの親戚」と思っている人もいるとか。ボクといい勝負です。 道明寺は、もともと戦国時代の頃などに、戦場に向かう武士たちの携行食であった「干飯」を砕いて粉にしたもので、粒子が荒いのが大きな特徴。この道明寺粉を水に漬けて戻してから蒸すと、つぶつぶの食感を残したままやわらかな生地となります。また、京料理などの材料としても欠かせません。 「目黒の秋刀魚」じゃありませんが、桜餅は道明寺に限ります!! 桜餅の桜の葉、実にいい香りですね。あの塩気が、餡の甘さを引き立たせます。現在、桜餅に使われる桜の葉はほとんどは大島桜の若葉で、その約80%が伊豆生産だそうです。 桜餅の葉を食べる、食べないという議論がありますが、あなたはどちらですか? どうでもいいことですが…。葉によって薄い厚いもありますし、軸がとんでもなく堅い時もありますので、ボクは葉に任せています。 桜 餅 食 べ て い ま い ち 葉 が の こ る 辻田克巳 4日は暦の上では清明。「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也」(『暦便覧』)。 「清浄明潔」、水と日(太陽)が大地を潤し、草木の芽も出てきて、何の草か、何の木かわかるようになる。まさにその通りですね。 春の観光シーズン真っ盛り。円山公園では1〜10日の夜、かがり火が灯され、岡崎の琵琶湖疏水では、京の春の新しい観光イベント「岡崎桜回廊十石舟めぐり」が5月9日まで行われます。舞妓・芸妓さんたちの艶やかな「都おどり」も、始まりました。 お花見の人出は、今日から土・日曜が最高でしょう。花に酔って、酒に酔って、人に酔う、渋滞に酔う日となるかも知れません。東山界隈は、いつものごとく、車が大渋滞するでしょうね。春の佳き日を、ご無事にお過ごし下さい。 8日は、お釈迦さまご生誕の日、「花まつり」です。 尼 様 の 来 て ゐ る 都 踊 か な 山内年日子 |