3/19版
今朝の京都市内を遠望すると、西山は少し霞んでいますが、ビルなどははっきり見えています。昨日の午前中の雨が、黄砂や花粉混じりのほこりっぽい空気を一時的に鎮めてくれたのでしょうか。もっとも、昨日から今日にかけては黄砂は観測されていません。 昨日、東京と横浜、静岡でも、桜の開花が宣言されました。京都は、3回目の開花予想では26日の開花。境内の桜の蕾からも、ピンクの花色がこぼれてきました。 吉祥院の門内のサクランボは、彼岸の中日を待たずに散り始めていますが、サクランボの状態から判断すると、去年より3〜4日、あるいはもっと早く季節が進んでいます。 去年の開花日は28日。でも、その日、境内の桜は1輪も咲いてなく、「気象台は、開花すると予想をした日にあわせて開花宣言を出したのではないか」などと囁かれもしました。 今年の開花予想はなかなかいい線行きそうです。ひょっとしたら今年は、開花宣言より先に咲き出すかも知れません。 三重塔南側の枝垂れ桜は、染井吉野より数日早く開花。来週初めには咲き出しそうな気配です。 本堂南側の春日局お手植えの「縦皮桜」。江戸彼岸桜の一種のようですが、染井吉野より花が小振りで、花の色も少し白っぽい、清楚な感じの花です。 ボクの一番のオススメは、この「縦皮桜」です。染井吉野のように枝からこぼれ落ちんばかりには咲かず、枯淡の味があるように思います。染井吉野とほぼ同じ頃には咲くでしょう。 来週のこのページは、桜の開花だよりをお届けすることになりそうですね。 もみじの新芽も吹き始めましたが、これはまだ気が早い木だけ。 カエデの木は、芽吹きに先駆けて、小さく真っ赤な花を咲かせています。光の当たり具合によっては、ビックリするほど綺麗ですが、旬はここ数日でしょう。 「もみじとカエデ、どう違うの?」という方がおられるかも知れません。植物学的にはどちらもカエデ科ですが、園芸の世界では、葉が5つ以上に切れ込んで掌状のものが「もみじ」、それ以外の、切れ込みが3つのものは「カエデ」と区別します。わかりやすく言えば、イロハモミジのようなものを「もみじ」、カナダの国旗のような葉が「カエデ」です。 もみじとカエデ、樹形も葉も樹皮も、結構異なるように思うのですが、植物学的に同じ科なのは合点がいきません。ですから、このページでは、両者を区別しています。 ついでに言うなら、桜とバラが同じバラ科だというのも納得できません! お彼岸は、他の仏教国では行われていない日本独自の行事で、聖徳太子の頃から始まったといわれています。 春分の日、太陽が真西に沈む日は阿弥陀さまのおられる西方極楽浄土を念じるのにふさわしい、昼と夜の長さが同じ日であることが仏教の説く「中道」の教えに通じる、などから起こったとも言われます。 春分・秋分の日は、日本標準時の兵庫県明石市を基準に考えられているのでしょうから、南北に長い日本の各地では必ずしも昼夜の長さが同じにならないでしょう。 日の出・日の入りとは、太陽の上辺が地平線に接する瞬間ですが、よく考えると、出る時と入る時では、太陽1つ分が移動する時間だけ、昼が夜より長くなります。 また、実際はまだ0.6度ほど地平線の下にある太陽が、空気が原因で、昇ってきたように見えてしまう現象があるそうなのです。仮に、昼と夜が同じ長さだとしても、その現象のために、微妙に長さがずれてきます。しかし、ご来光とかいって拝んでいるのが、実は浮き上がって見えていた虚像とは…ショック。 理科が大の苦手だったボクは、この説明を書くだけでかなり消耗してしまいました。美術は得意でした…念のため。 彼岸の入りを前にした先週の日曜日頃から墓参の方々が見え始め、入りの17日を過ぎてからは、多くの方がお参りに来られています。 明日のお中日はお参りがピークに達し、境内に入り切れない車が寺域外の道に溢れだして、挙げ句の果てには警察が出て取り締まりを始める始末。 最近毎年のことなので、それを避けて他の日にゆっくり墓参をしたいという方が、お中日以外の日にお越しになることも増えました。 それでも、各塔頭のお彼岸法要はやはりお中日。今日は自坊でも、法要の準備ととその後のお供養に差し上げる精進のちらし寿司作りに、朝から大勢のお手伝いの方が来てくださって大忙しでした。 ベンチに腰掛けてお弁当を食べる人も、そこかしこ。そのおこぼれを狙って、宿敵ミーコは、ベンチからベンチへハシゴをしています。 ベンチに座った人を見つけるやいなや、側に行って、「ニャァ〜ォ ニャァ〜ォ」。本当に欲深い、かわいげのない猫です。 さて、気を取り直して、JR東海新幹線京都駅の2階コンコースがリニュアルして、鯖寿司や湯葉、生麩、京野菜などの「京老舗の味コーナー」がオープンしたそうです。 老舗も、今のご時世にお高くはとまってはいられません。このコーナー、お土産に“生もの”を買うには便利でしょうね。でも、先ずは京都に着いた時に寄って、何があるのかを下調べしておいた方がいいかも知れませんよ。 春の京都、皆さんのお越しをお待ちしています。東京方面からお越しの方は、多少京都の方が寒いとお考えになったほうがいいでしょう。 |