12/20版
つい先日まであまり寒くなかったので、天気予想では雪がちらつくとは言っていたものの、まさか積もるとは思っていませんでした。 少し明るくなるのを待って、早速、カメラを持って境内へ。 地面にはさほど積もってはいないものの、建物の屋根や、木々の枝は綿帽子に覆われていました。 カメラを持った人たちや、いつもの犬の散歩の人たちで、紅葉シーズンの終わった境内が少し賑やかでした。 それでも時おり陽がさし始め、次第に雪は融けて、今年の初雪も屋根に白く残る程度となりました。 つい1ヶ月前は境内全域が真っ赤で、押すな押すなの人並みが境内を埋め尽くしていました。 今日は、その頃とはまったく違うモノトーンの水墨画に近い世界が目前に広がっています。 紅葉の頃にお越しになった方が、今日の境内をご覧になったら、その歴然とした違いにびっくりされることでしょう。 去年の真如堂の初雪は、12月13日でしたが、今年は紅葉同様に少し遅くなりました。 この雪で新幹線や高速道路にも影響が出ているようですが、これからの季節、遠くに出かける時には雪のことも頭の隅に置かなければなりませんね。 中途半端に積もった雪と紅葉シーズンに踏み固められたぬかるんだ赤土で、滑ったり、転けたりされている方もおられました。 本堂前の白砂に積もった雪にも次第に足跡が増え、水墨画のような幽玄な風景は次第に崩れていきました。 初雪の楽しみは、ごく短い時間に消えていきました。 窓を開けて雪を見た時、「しめた! 更新ネタができた! 赤い紅葉と白い雪…」と真っ先に思いついたのが、この写真のような光景でした。 陽がさしてくれれば、もっと綺麗な色が出るのですが、また写真を撮りにいって転けたり、カメラを濡らしたりするのが心配なので、諦めました。 全山真っ赤な紅葉は、それは素晴らしいですが、置き去りにされたようなわずかな赤いもみじ葉もステキです。 紅葉の盛時には、注目されがたい大勢の中の一葉ですが、今日の紅葉はなおさらスポットライト浴び、わずか数十枚の、そこそこ色合いでも、ちやほやされます。ずいぶん、得してます。 冬 紅 葉 冬 の ひ か り を あ つ め け り 万太郎 今までは日が短くなる一方でしたが、これからは段々長くなっていきます。太陽がよみがえる日です。 古代の人たちは、冬至に向かって日が短くなっていくことを、太陽の力が弱まり、人間の魂も一時的に仮死すると考えたようです。 弱った太陽を炉の火などを新しくすることによって復活させ、仮死した魂にも新たな生命力を与えようと行事の一つが「冬至風呂」。新しい火でお風呂を沸かし、新しい力を得た湯に柚子を入れて、その精によって衰えた体に新たな生命の復活を念じたのです。 柚子ゆずには、蜜柑やレモンの約3倍のビタミンCが含まれ、柚子の精油が身体に刺激を与え血行を盛んにし、身体を温めてくれるそうです。 柚子湯のいわれを聞くと、たとえ入浴剤の「ゆず風呂」で成分は補えたとしても、生命の復活という点では力量不足だと思われませんか? 柚を買ってきましょう! リッチな気分になること、請け合いです。 高い値段にもかかわらず売れている「京野菜」に「鹿ヶ谷かぼちゃ」という瓢箪型の南京があります。 大文字山の谷から法然院のあたりを「鹿ヶ谷」といいますが、南瓜を作っている様子などまったくありません。それもそのはず、現在、鹿ヶ谷かぼちゃの主産地は、京都府北部の綾部市付近。 江戸時代文化年間、粟田村(現東山区粟田口)の人が、津軽から持ち帰えった南瓜の種を鹿ケ谷の農家に分けたのが始まりとか。京野菜の南京とはいうものの、そのルーツは津軽にあったのです。 今は主に料亭や観賞用に使われているようですが、ボクは食べて美味しいと思ったことはありません。 愛宕念仏寺の羅漢さんも、真っ白な綿帽子をかぶっておられることでしょう。 今年もあと10日あまり。年末年始、皆さまもご多忙のことと思います。 インフルエンザも流行し始めました。 どうか、今年締めくくりの数日を、健やかにお過ごし下さい。 |