11/29版 



人気のない朝一番の濡れた境内
 11月も明日で終わり。
 師走間近の今日は雨。時折、雨脚が強まり、音を立てて降ってきます。
 紅葉も、休日で考えると、どうやら今日・明日が最後。せっかく、入洛される方には気の毒なお天気となりました。

 雨のお陰で、いつもは早朝からカメラマンで賑わう境内もひっそり。ようやく9時頃になって、紅葉見物の人の姿が目立つようになってきました。
 この雨ではカメラが傷むし、欲しい色もでないでしょうから、カメラマンの皆さんは自宅待機といったところでしょうか。
 ボクも更新の写真を撮りに境内を巡りましたが、雨からカメラを守るのに気をつかいました。


たくさんの葉を落としたもみじ
 本堂より西側(正面側)のもみじが、26〜27日頃から急に散り出しました。
 今年の紅葉は、例年よりかなり悪く、近年まれに見る美しい紅葉だった去年と比べると、その差は歴然としています。「冷夏の年の紅葉はよくない」といわれますが、的中したようです。
 毎年、紅葉を見て、「わぁ、綺麗だなぁ」と目を奪われ、息をするの忘れてしまうぐらいの瞬間があるのですが、今年はそんな瞬間にまだ出会っていません。
 「あ、今がピークだなぁ」と感じる時も今年はなく、今振り返って考えると、急に散り出した3〜4日前が、お天気との兼ね合いからも、今年のピークだったのかも知れません。もみじの色は今日の方が綺麗だと思いますが、‘葉抜け’状態の木も増えてきましたから…。


濡れ落ち葉も綺麗ですよ
 「わぁー、きれい!」とはしゃぐ観光客に、犬の散歩に毎日境内を訪れる人が、
 「真如堂の紅葉は、こんなものじゃないですよ。今年は本当に悪いんです。初めて見る人はこれでも綺麗だと思えるでしょうがねぇ」とガイドをされていました。
 まるで、ボクの言葉のよう。
 「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに…」というCMがありましたが、たまに見る人には美しく、いつも見ている人にはそれなりの紅葉です。


赤と緑の本堂裏 11/28
 境内の紅葉の主役は、これから本堂裏へと移っていきます。
 本堂裏は、例年では12月に入ってから紅葉のピークを迎えます。今年も例外ではありませんが、すでに赤くなっている木とまだまだ緑色の木が混在しています。
 本堂正面側でもそうでしたが、裏側でも、紅葉がピークに達する前に葉が茶色く枯れてきている木があります。
 本堂裏の紅葉を期待していましたが、こちらもやはり不調です。

 とはいうものの、来週いっぱいは「それなり」の紅葉がお楽しみいただけます。
 そろそろ焼き芋ができるだけの落ち葉が集まり始めました。うまくいけば、焼き芋にもありつけます。「それなり」の今年は、せめて焼き芋を楽しみにしましょう。
 今年のサツマイモの出来はどうなのでしょうね。紅葉より、そちらの方が気になり出しました。


水の中で再び生気を取り戻したもみじ
 このページでは、単純に綺麗な紅葉の写真より、境内の様子をできるだけお伝えできるようなものを心掛け、たとえば本堂や三重塔などの建物がどこかに写っているようにしています。
 でも、それと、ハッとする光景とは時々一致しない時もあります。
 この写真などはどこで撮ったかわかりにくい写真ですが、今朝、「わぁー、きれい!」と思った光景です。
 枯れて枝から落ちてきたもみじ葉が、溝の水に再び精気を与えられ、赤さを取り戻しているように思えます。
 訪れる人にとっては迷惑な雨ですが、雨の日には雨の日なりの紅葉があります。美しさ、静けさ、空気があります。
 水路を流れる落ち葉が、やがて何かに引っかかって、おおきな落ち葉溜まりを作る…それを崩して流してやる…などということも雨の日の楽しみです。
 落ち葉が一面に敷き詰められて、赤い絨毯のようになる敷き紅葉。それも少し雨が手助けしてやった方が綺麗です。

吉祥院大屋根の上から見た境内 11/28
 雨の日には、雨なりの楽しみを見つけると、晴れた日よりかえって楽しいものです。
 ただし、足元に注意しないと、落ち葉で滑って転けることもありますよ。

 一昔前、「濡れ落ち葉族」という言葉が流行しました。定年退職をして家で何もすることがなく、払っても払っても奥さんにまとわりつく。
 濡れ落ち葉、本当はすごく綺麗なのですが…。

 紅葉ばかりではなく、他の写真が撮りたかったのですが、カメラが濡れて故障しないかと心配になり、やめました。

 もう一度、PR。来週いっぱいは「それなり」の紅葉がお楽しみいただけま〜す。