11/1版 



「花の木」と十夜法要の角塔婆、縁(善)の綱
 さぁ、今日から11月。いよいよ紅葉の季節が近づいてきました。
 普段は静かな境内が一転して、“繁華街”と化する季節。この連休は、きっとその序章となるでしょう。

 朝、写真を撮りに境内を散策しました。この1週間で、もみじはかなり色づきました。
 「紅葉の具合はいかがですか?」と尋ねられたら、応えに窮する気がします。
 今年の紅葉は、一言でいうなら「バラバラ」。
 銀杏は天辺までまだ真っ青。桜は紅葉して、たくさんの葉を毎日落としています。カエデは、木の上の方からかなり色付いています。
 問題はもみじです。

三重塔脇のもみじ。こっちはまだまだ青いです
 総門から本堂正面に到る側のもみじは、多くが先の方から色が変わってきています。でも、おなじイロハモミジでも、まだまだ緑色の木もあれば、かなり紅くなってきている木もあって、どれが標準なのかわかりません。
 異様に紅葉が進んでいる木や枝は、虫に食われて樹幹が痛み、根からの水分や栄養補給が順調ではない木でしょう。「大丈夫かい?」と声をかけてやりたくなります。
 本堂の裏側はまだまだ緑色で、紅葉の兆しもほとんど見られません。
 まぁ、勤労感謝の日の連休の頃にお越しになれば、ある程度の紅葉をご覧いただけます。ただし、境内も、京都市内も、最も混雑し、ボクなどは絶対に外出したくない日です。

本堂北側のもみじ。紅くなっているのは、少し弱った木です
 ご参考までに、京都の過去30年の平均紅葉日は12月1日。これは標準木の葉っぱ全部が紅くなった日ですから、郊外の少し冷え込むところはもう少し早くなります。
 ちなみに、去年の紅葉日は11月21日。小雨が影響したため、こんなに早くなったのでしょうか。
 去年のような美しい紅葉を今年も見ることができるでしょうか? いつが見頃でしょう? さっぱりわかりません。

 LiveCamera の画像にも、紅葉の気配が漂うようになってきました。「今年は行けないなぁ」と残念がっておられる方、雰囲気をお楽しみ下さい。境内の混み具合もなんとなくわかりますよ。


赤く色づいたサンシュユの実
 本堂裏の薬師堂の前に植わっている山茱萸サンシュユの実が赤く色づきました。
 グミのような形をした実ですが、そのまま生食するのには向いていません。鳥も食べませんから、美味しくはないのでしょう。
 でも、乾燥させて煎じたり、焼酎などに漬けて飲むと、補腎、強壮作用があるそうです。
 今年は、実の付き具合がよくありませんが、赤く光沢のある実が青空によく映えます。
 ところで、山茱萸と言えば宮崎県椎原村の『ひえつき節』。焼畑で収穫した稗をつく作業歌で、那須大八郎と鶴富姫の悲恋が歌われています。
 その歌詞に「 にわのサンシュの木 なる鈴かけて すず鳴るときゃ 出ておじゃれよ」と歌われているのは山茱萸だと思っていたら、歌詞には「山椒の木」と書いてあります。おぼえ間違いかなぁとさらに調べたら、一般には山茱萸よりも山椒のほうが馴染み深いので、民謡協会では山椒に統一しているとか。そんなアホな。

 山茱萸の近くの生け垣にお茶の木にも花が咲いています。白い2〜3センチの花ですが、黄色い雄しべが花の割に大きく、煮ぬき卵の黄身のようで、どこか美味しそうです。
  寄 り て 見 る 茶 の 花 の しべ う ひ う ひ し    山口誓子

 吉祥院では、4日前にご近所の奥さんたちが来てくださって、大菊の花の下に花弁を支える「輪台」を付けてくださいました。そろそろ菊花展の準備が完了です。
 この菊は、40数年前から毎年、住職が丹誠込めて育てているものです。

吉祥院の菊
 菊は年中、手間のかかる植物です。住職は、昼間は他の用事があってなかなか手入れに打ち込めないので、朝早くと夕方暗くなるまで世話をしています。菊が枯れた冬も、堆肥を作るための枯れ葉を集めと、年がら年中、頭の中は菊・菊・菊。
 子どもの頃からそれを見てきたボクには、とても菊作りを受け継ごうとは思えません。
 大菊や小菊、嵯峨菊、珍しいところでは今年初お目見えの中国の菊などが、これから1ヶ月ほどの間お楽しみいただけます。
 菊と紅葉、本番はまだもう少し先ですから、焦らないでも大丈夫ですよ。

 写真が多く、大きく圧縮率が低くて、遅い回線でご覧の方には迷惑なページでゴメンナサイ。  綺麗な光景をお見せするにはこれぐらいでないと……ぜひとも、ブロードバンドになさってご覧ください。