8/23版 



蜻蛉舞う夕刻の本堂前 石灯籠の影も長い
 つくつく法師の声が、他の蝉の声より目立ってきたような気がします。
 今日は処暑。「処」とは「やめる・やむ」の意味で、暑さもやわらぐ頃ということですが、実際、1年で最も気温が高くなるのは立秋から処暑までとか。
 その通り、今日の京都の最高気温はこの夏一番の36℃。今日を含めて4日間、35℃を超える日が続いています。
 暑さに体力が弱っていて、夏バテや食中毒にかかりやすい時期だそうですから、お気をつけくださいね。

 境内では、木槿の花が咲き続けています。
 百日紅の花が、ようやく満開になりましたが、花数は少なく、夏の太陽の勢いに明らかに負けています。「今頃暑くなっても…もっと早く暑くなってよ!」という百日紅の苦情が聞こえてきそうです。
 菩提樹の実の付きも、かなり悪いです。悪くて実が少ない分だけ、一つ一つの実が大きいです。今年の秋、この実を拾うのはかなり難しそうですよ。


境内の地蔵堂で行われまれた地蔵盆。参道には子供たちの書いた行灯が吊されています
 京都の街の辻々で、テントを張って、「延命地蔵大菩薩」などと書かれた赤い提灯をぶら下げた光景を見ます。「地蔵盆」です。
 24日が地蔵尊の縁日ですが、世話役の方々の人手の都合などもあって、多くはその前の土日などに地蔵盆を行います。
 地蔵盆といっても、京都以外ではあまり行われないので、ご存じない方も多いでしょう。一言で言うなら、子供のお祭りでしょう。
 町内にあるお地蔵さんの祠の前にテントを張ってりして場所を作り、お地蔵さんを洗って白や赤でお化粧を施しておまつりします。その前でお勤めや数メートルもある大きな数珠をみんなで念仏を称えながら回す「数珠回し」をした後は、大人が子供を遊ばせる趣向をいろいろと用意します。子供たちは、お菓子をもらったり、金魚すくいやゲーム、福引き、花火などに朝から夜まで興じるわけです。
 お地蔵さんは、釈迦滅後、56億7千万年に弥勒菩薩が現れて衆生を救って下さるまでの間、人間界のみならず、地獄・餓鬼・修羅・畜生・天の六道のすべてを救済してくださる仏さまです。「六地蔵」といいますが、六道の世界それぞれの苦悩を救済してくださる6体の地蔵菩薩のことです。
 大に多くの生命を育む力がされているように、お地蔵さまは慈悲深い仏さま。だから、子供を守ってくださると考えられるようになりました。地蔵盆も、子供たちの健やかな成長を願って、お地蔵さまの御前で行われるようになったのでしょうね。
 ところが、最近は少子化もあって、地蔵盆にお勤めに伺っても、集まっている人の中に子供は少なく、お年寄りが大多数。日程も縮小、行事も減る傾向にあります。また、都心部ではマンションが増え、このような伝統行事の継承も難しくなってきています。


処暑の空に揺れる尾花
 お盆や地蔵盆が終わると、お寺にも束の間の静かさがやってきます。
 京都の檀家寺は、宗派などによっても違いますが、毎日「月参り」をする習慣があります。檀家の家に命日に伺って、仏壇の前でお勤めをするわけです。
 今月はお盆の棚経で各家にお伺いしたので、自坊の吉祥院は、8月の月参りを基本的にお休みさせていただいています。
 この月参りも、家計の緊縮化や高齢化などもあって、微減傾向。葬儀や祭祀、埋葬に対する考え方も変わってきました。8月はそういうことをしみじみ感じる月でもあります。

      秋 暑 く 怠 け じ と す れ ば な ほ 暑 し    秋 桜 子




手前から 丸山 西穂独標(雲の中) 西穂 を望む
 お盆が終わって、山旅に行ってきました。高山〜新穂高温泉を観光し、ロープウェイから西穂へ、上高地へ降りて、松本・安曇野を観光。いつも、山に登り降りするために通り過ぎるだけの新穂高温泉や上高地、安曇野をゆっくり堪能し、また新たな感動がありました。
 足が不調なので無理をしないでおこうと思いつつも、帰ってきたら、また足に痛みが…。それも旅の余韻です。

 ところが留守中に、ホームページを設置しているサーバーのシステム改定のため、当ホームページの[落書き by 訪問者]や[お願い事受付所][懺悔の部屋]などが表示されないなどの事態に陥ってしまいました。
 作業は8月19日2時〜26日14時までかかるそうで、その間、こちらから皆さんにそのことをお知らせするすべもありませんでした。
 19日にはNHKテレビの再放送もあり、多くの方にお越しいただいたでしょうに、本当に申し訳ありませんでした。
 またのお越しをお待ちしています。