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台風通過直後 風雨はさほど強くありませんでした ライブカメラの位置より
 今朝7時半頃、台風10号が京都市近辺を通過しました。時折、少し強い風が吹き、雨も一通り降りましたが、思ったほどではありません。折れた小枝などもほとんど落ちていませんでした。
 被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。
 帰省やご旅行の出足をくじかれた方々も、大変ですね。

 3日から4日間続いた35℃以上の酷暑も、台風の到来で小休止。でも、台風が去った後は、どうなるのだろうと考えると、ゾッとします。
 昨日8日は立秋でした。いつもながら、秋とは名ばかりで、一番暑い頃です。1994年の8月8日、京都では最高気温が39.8℃を記録し、4日連続で39℃を超えました。

     そ よ り と も せ い で 秋 た つ 事 か い の     鬼 貫

 真夏日の日数は、過去30年の平均で、東京45日、名古屋57日、福岡53日に対し、京都は66日。
 「京都の夏は暑い」とよく言われます。住んでいると、「暑いなぁ…こんなもんかなぁ」と納得さされてしまいます。でも、やっぱり本当に暑いのですね。しかも、真夏日も熱帯夜も、増加傾向です。

 そんな酷暑の京都の街を、汗を拭き拭きガイドブックを見ながらを歩いている人を見ると、「気の毒に…」と思いますが、着物を着込んで走り回っている坊さんを見て、向こうも「暑いだろうに…」と思っておられるかも知れませんね。
 そうなのです、よりによって1年で1番暑い時に、お盆がやってきます。明日10日、本堂ではお盆の大法要が行われます。

あらゆる精霊をまつった三界万霊供養塔 と 阿弥陀如来露仏
 お盆は、正式には「盂蘭盆うらぼん」といいます。
 「さかさづり」を意味するインドの言葉が語源で、長い間子孫に供養されないで逆さ吊りの苦を受けている死者の霊に飲食を与え、その苦しみから救おうとする、インド・中国・日本の思想・習俗が入り交じってできた行事です。
 『盂蘭盆経』には、お釈迦さまの弟子の目連尊者が、餓鬼道に落ちて苦しんでいる自分の母親を、お釈迦さまの教えに従って、雨期の修行を終えた多くの僧侶に、飲食物や果実、水・灯明・寝具供養することによって救ったと書いてあります。
 『盂蘭盆経』には、その日が7月15日と書いてあり、東京はその通り、京都では月遅れで行うわけです。もっとも、このお経は中国で成立したと言われていて、7月の北インドはまだ雨期が始まったばかりなのですが…。
 京都の街では、この時期、「こんなに坊さんがいるの!」というほどのお坊さんとすれ違います。棚経に檀家の各家を回っておられるのです。中には、ロン毛の坊さんまで…。ボクも昔はそうでした…。
 「棚経」というのは、位牌を安置しお供えをした精霊棚の前でお経をあげることですが、今は特別に精霊棚を設けるお家も少なく、ほとんどは仏壇の前でお経をあげます。この習慣は江戸時代の初期に檀家制度とともに一般化したのですが、檀家制度は、その家がキリスト教信者ではないと寺が証明するために、江戸幕府によって作られたもの。
 何だかいろいろ妙なところがありますが、それはさておき、久しぶりに故郷へ帰られる方も多いでしょう。どうぞ、お墓まいりに。


咲き出した吉祥院中庭のタマアジサイ 蕾は3センチほどの球形。庭で咲く一番遅い紫陽花
 話が“暑さ”に戻りますが、京都では熱帯夜が年間20日以上。暑さに快眠を妨げられることもしょっちゅうです。
 窓を開けても涼風はなく、エアコンのタイマーが切れたら目が覚める…そんな繰り返しです。
 「扇風機をつけっぱなしにして寝ると死ぬ」という話をお聞きになったことがありますか? 「そんなことはないだろう」と高をくくっていてはいけません。本当に死んでしまうことがあるそうです。
 雪山で遭難した時、「寝てはいけない!」と必死で起こすシーンがよくドラマなどにありますが、寝てるい間、人間は体温調節機能が低下します。そんな時に冷たい風を体に直接あびると、体温を奪われ、脱水症状を起こしたり、ひどい時は心臓麻痺で死んでしまうことがあるそうです。最近は皆さんエアコンかも知れませんが、エアコンでも風を直接体に当てるのは危険だそうです。
 暑いからといって、ビールをたらふく呑んで扇風機の前でうたた寝…ダメですよ。ボクのことですか?

     秋 立 つ や 皆 在 る こ と に 泪 し て     耕 衣

 長崎・広島の原爆記念日、終戦記念日、お盆と、亡き人を思い出すことの多い立秋の頃。
 いのちの系譜が自分の中に受け継がれ、また同時代の人々に支えられて生きていることに感謝して涙する。いのちあることの有り難さをしみじみ感じる季節です。