8/2版 



木槿はどうしてこんなに元気なんだろう…
 いよいよ8月。酷暑の月を迎えました。
 今日の京都の最高気温は34.3℃。数値的には平年を1℃上回っただけですが、この1週間で30℃を上回ったのが2日のみと、平年よりかなり涼しかっただけに、今日の暑さはかなりこたえます。
 京都では、7月の日照時間が過去最短で、平年の50%。全国的にも北海道の日本海側と南西諸島以外は平年以下。宇都宮などは、平年の31%しかなかったそうです。冷害が心配です。
 例年はもう咲いている百日紅も、今年は一向に花色が見えません。百日紅がよく咲く年は夏の暑さが厳しいといいますから、今年はやっぱり…。
 長期予報では、晴れる日が多いものの、天気が不安定で、曇りや雷雨になりやすいとか…お盆も次第に正念場が近づいてきているというのに…困ります。


本堂裏の緑陰。強い陽射しも地面に届く時にはやさしく

 本堂裏の緑陰にいると、木々の間で冷やされた涼風が通り抜けていきます。
 同じ境内でも、白砂や石畳のある本堂前は暑く、モミジなどが幾重にも茂る本堂裏は涼しくて、ほんのわずかな距離ながら、その違いに驚きます。秋の紅葉の色づきが、表と裏では1週間〜10日ほど違うのも、うなずけます。
 これで、蚊さえいなければ、別天地なのですが…。
 もう40年近く前にもなるでしょうか、近くに住む学生さんなどが、本堂内の一角を借りて、勉強をしている姿がありました。大きな本堂の中の涼しさは、また格別。実に、のんびりした時代でした。
 お盆の墓参の人たちが来られる頃まで、境内は訪れる人もまばらで、蝉の声がいやが上にも賑やかに感じられるでしょう。
 そういえば、蝉取りをする子供の姿さえ見かけませんが、子供たちはどこへ行ってしまったのでしょう。


空 蝉 を 百 集 め な ば 一 つ 鳴 か む     守一
 短い夏を予感してか、我先にと、蝉が這い出してきたようです。梅の木の下の紫陽花の葉に、10匹以上の抜け殻を見つけました。
 今、盛んに鳴いているのはアブラゼミ。時々クマゼミが鳴き、たまにヒグラシやミンミン蝉の声も聞かれます。
 今年は、クマゼミがずいぶん少ないような気がします。
 クマゼミは、太平洋側では神奈川県、日本海側では福井県以西に分布していますので、関東以北の方はご存じないのでしょうね?
 アブラゼミより一回り大きく、黒っぽく、羽根は透明。「シャンシャンシャンシャン」と大きな声で暑苦しく鳴きます。ボクの子供の頃は、アブラゼミより「値打ちもの」でした。
 最近は、温暖化の影響で分布域が北に広がり、東京近辺あたりでも見られるようになったといいます。
 温暖化が関係するかどうかはわかりませんが、京都でも、以前はそう易々と捕れなかったクマゼミが、年によっては捕っても捕ってもクマゼミばかりで、「なぁーんだ、またクマかぁ」という扱いを受けることさえあります。でも、今年は、クマゼミ君もお株を上げそうですよ。
 「暑い、暑い」と言っている大人に蝉の声は暑く、蝉を捕りたいと思っている子の耳には、値千金の声でしょう。

    う し ろ か ら 掴 む や う な り 蝉 の 声    除風

    森 の 蝉 涼 し き 声 や あ つ き 声        乙州

 自坊の吉祥院では、昨日からお盆の棚経が始まりました。送り火の16日まで、約250軒のお宅を伺って、各家の先亡精霊を回向させていただきます。
 “適当に”暑いお盆でありますように。雷さま、どうかお越しにならないで。