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この緑のどこかに蝉が…
 天気予報がコロコロ変わって、変わった予報すら当たらない…週間予報などはおそか、明日の天気予報さえあてにできないようなここ数日です。
 近畿地方は、平年では今日が梅雨明け。でも、ここ10年で見ると、一番早いのが94年の7月10日、遅いのが98年の31日。3週間も差があります。
 九州北部などは昨夜から大雨。いま梅雨明けしているのは、まだ奄美と沖縄だけ。今年はいったい何日に明けるのでしょう。
 感覚的には、祇園祭の山鉾巡行が終わったら、梅雨が明けて夏本番ですが、今年の祇園祭は夕立などもなく、巡行もカラッとしたお天気で、いつもの蒸し風呂のような祇園祭とは様変わり。京都じゃないみたいでした。
 生まれてこの方京都に住むボクですが、いまだかつて巡行を見たことがありません。特等席から撮った解説付きの映像(テレビ)を、お盆の準備をしながら、流し見していました。


木槿の咲く境内に人影は少ない

 昨日の夕刻、ニイニイ蝉の声に混ざって、ヒグラシの声を今年初めて聞きました。涼しげで、趣が深くて、実にいい鳴き声ですね。
 「つれづれなるままに日暮らし…」、洒落ではなく、そんな文句が似合いそうな夕暮れでした。
 ボクが蝉取りに興じていた頃、ヒグラシやミンミン蝉は境内では鳴いていませんでした。暑さをいや増すようなアブラ蝉やクマ蝉と違って、ヒグラシやミンミン蝉には情がある気がします。
 この鳴き声を聞いた時、子供心に、いつもと違う「遠くへ来た」気がしたものでした。
 最近は、蝉取りをする子供の姿を見ることも少なくなりました。バーチャルで面白いものがいくらでもある時代ですが、“生”のものに触れるということも大切ですね。


付きすぎた実を落としている菩提樹
 明日は、土用の入り。各季節に土用があるものの、今では夏の土用(立秋前18日間)だけが暮らしの中に残っています。鰻のお陰でしょうか?
 盛夏の始まりです。まとわりつくような湿気…じっとしてるだけでも汗が出て来て、毎年今頃が、一番過ごしにくいはずなのですが、今年は…。お米は大丈夫でしょうか? お盆で忙しい頃に一番暑くなるようでは、倒れてしまいます。
  真如堂では、この土用の風に宝物をさらす「虫払会」が25日に催され、寺宝約200点が本堂に所狭しと吊されます。
 でも、夕立や台風が来たり、天気が不安定なことも多く、開かれるかどうかはその日にならないと定まりません。ひょっとすると、今年はまだ梅雨の最中かも知れませんね。


2mほどもあるオニユリ
 自坊の中庭で、オニユリが咲いています。
 「オニ」とはかわいそうな命名ですが、橙色に黒い斑点模様を赤鬼の顔に見立てたいう説や、ヒメユリと比べて大きいからという説があるようですが、「鬼」と「姫」ではあまりに差があります。
 アジア大陸原産で、太古の昔に食用として持ち込まれ、それが野生化したらしいです。百合根は食べられるらしいですが、食べるには花の色が強烈で、何となくアクが強そうな気がします。
 「天蓋てんがい百合」とも呼ばれるそうです。天蓋とは、仏さまなどの上にさしかけられた傘のことですが、花の反り返り方が何となく天蓋を連想させるのでしょう。
 この花粉も服についたらなかなか取れませんが、かといって、花屋のカサブランカのように、雄しべの先をあらかじめ取られてしまっているのは、どこか情けないです。この雄しべ、存在感を誇っているでしょう。

 次回の更新には梅雨明けの報を…。