7/5版 
真如堂 NOW !!



木槿の花
 朝からどんよりした梅雨空。そのうち雨になりそうです…と書いているうちに降ってきました。今日明日は、降ったり止んだりの予報です。
 少し晴れ間があれば、戸を開けて風を入れようと思いますが、風自体が湿っていて、はたしてしたほうがいいのか、やめたほうがいいのか…積んである座布団なども、どうもカビくさくて…。
 真如堂は小高い山の上ですが、粘土質の土壌のせいか、場所によってはかなり湿気ます。1日晴れたくらいでは、このジメジメは払拭できそうにありません。

 木槿ムクゲが次から次へと咲きだしています。先週も書きましたが、梅雨空に見る木槿の花は、どこか発色が悪く、アピール度に欠けます。夏空のもとに咲く木槿は、「咲いてるよ!」と胸を張っているように思えるのですが…。


ヘクソカズラの可愛い花

 木槿の花を撮ろうとしたら、蔓がいっぱい花に巻き付いていました。どうしてこれがなかなか手強く、無理に取ろうとすると木を傷めてしまいます。少しは取り去ったのですが、まだ写っていますね。
 蔓の中に小さな花を見つけました。ヘクソカズラです。片仮名で書けばまだマシですが、漢字では「屁糞葛」、これでもかというほど ひどい命名です。
 茎や葉を傷つけるとひどい悪臭がするのが名前の由来で、確かに蔓と格闘した手は臭くなっていました。でも、「屁」の上に「糞」までつけなくても…。名前からは想像もできない可愛い花でしょう。
 屁糞葛は日本在来のつる性植物(アカネ科)で、万葉集にも詠まれています。

   皀莢ぞうきょうひおほとれる屎葛

        絶ゆることなく宮仕へせむ

 皀莢というのは、「さいかち」という、山野や河原に生えるマメ科の落葉高木で、幹や枝に大きな鋭い棘があります。その刺々しい木(勤務先)に蔓延っている屁糞葛(作者)のように、いつまでも宮仕えをしよう。この職を離さないぞという決意の歌でしょうか。屁糞葛も、とんだ喩えに使われてしまっています。
 万葉の頃から、宮仕えは辛かったのですね。遠き昔のサラリーマンの悲哀を感じます。


桜の木の茸 食べられるかなぁ?
 いま境内に咲いている花は、これから9月まで楽しめる木槿、そして終わりかけの紫陽花。他に何が咲いているだろうと、あちこち眺めながら歩いていたら、つまづいて転けそうになりました。
 虎杖いたどり、藪枯らし・藪ミョウガなど、地味な花が多く、見ていても心は湿り気味。
 湿気が多く気温が高い今の季節は、菌類にとっては絶好の季節。桜の木の枯れたところに茸がたくさん生えていました。
 染井吉野などは、樹齢が40年ぐらいになって幹の中が腐って空洞ができてくると、「不定根」が出やすくなります。不定根というのは、若い枝元から出てきた根がその空洞を通ってやがて地上に達し、段々太くなって、やがて幹のような役割をするようになるものです。桜自身が老朽化を防ぐ、防衛本能のひとつで、元気のなかった桜が不定根のお陰で見る見る元気になります。
 境内の桜では、この不定根をよく見ます。樹齢がちょうどこの頃に達しているのが多いのと、湿気が多くて桜自体が腐りやすいのかも知れません。


黒谷・紫雲石(西雲院)の蓮
 境内に話題が少ない時は、お隣さんの黒谷さんへ。紫雲石(西雲院)さんでは、連日、蓮の花が咲いています。
 いささかメリハリに欠ける花を見た後にこの蓮を見ると、ハッと衝撃を受けます。
 花の色・気品、泥中から生えていても清浄な花を咲かせることなどから仏教でも尊ばれ、仏や菩薩の多くは蓮華の中に座しておられます。
 「清浄無垢」という言葉がピッタリの蓮の花、見るだけで心が清められる気がします。ボクなどは、1日何回も見ないとダメです。

 明後日は、七夕。笹の葉がない人は、風情はありませんが、物干し竿にでも短冊を吊してみたらいかがでしょう。短冊に願いごとを書いてみるだけでも、いいものですよ。
 願いごとの多い人は、たこ足の物干し? いや、笹がなければの話ですよ。