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近畿地方の梅雨入りは、平年並の6日から少し遅れ、10日頃になるようです。 最近は、さかのぼって「○○日頃、梅雨入りしたと見られる」と発表されることも多いですが、気象台いわく、「梅雨は季節現象であり、その入り明けには、平均的に5日間程度『移り変わり』の時期があります」とのこと。 梅雨入り宣言してから雨がピタリと降らなくなった、梅雨明け宣言をした途端に大雨ということも多いような気がしますから、あまり当てにはなりません。自然が人間の予想通りに動かないのも、どこか痛快ですね。 6日は、「芒種」。稲や麦など、芒ある穀物の種をまいたり、田植えをする頃という意味です。 最近の田植えは、兼業農家が多い影響でしょうか、5月の連休に行われることが多いですが、今年、京都府下のJAでは、良質米を作るために「連休後田植え」を呼びかけ、苗の出荷を調整しました。地球温暖化の影響か夏場の異常高温が常態化して、それが米の品質に大きな影響を及ぼすからだそうです。 温暖化の影響って、こんなところまで来ているのですね。 本堂前の沙羅樹は、木の天辺のほうの3輪が開花しました。下のほうはまだまだ。 菩提樹の蕾は、先週からほとんど膨らんでいません。 両方とも、来週末頃から見頃を迎えるのではないでしょうか。沙羅樹は順々に咲いていきますが、菩提樹は一斉ですから、花期はさほど長くありません。 紫陽花の花も、盛りに近づいてきました。ガクアジサイの中には既にピークを過ぎたものもありますが、普通の紫陽花はこれから見頃を迎えます。雨の中の紫陽花は風情たっぷりですね。 京都で紫陽花といえば、三室戸寺(宇治)、藤森神社、三千院などでしょうか。平安神宮などの花菖蒲や睡蓮も見頃。妙心寺東林院の沙羅の花は、来週後半からでしょうね。 風があればまだいいのですが、盆地の京都ではそれは期待できず、逃げ出したいほどの蒸し暑い日がしばらく続きます。ピークは、祇園祭過ぎでしょうか。 6月に入ってお坊さんも衣替えをしましたが、京都の町屋などでは「建替え」といって、家の中の建具も「夏用」に替える風習があります。 兼好法師は、「家の造りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころ、わろき住居は堪へがたき事なり」と言いました。京都の暑い夏を知っている兼好の実感でしょう。 京都の町屋は、「鰻の寝床」と言われ、間口が狭くて、奥行きが深い造りになっています。一説によると、かつて家の間口の大きさに応じて課税する制度があり、節税のために、そのような造りになったとか。 想像するとすごく暑そうに思える町屋ですが、建物の中にちょっとした坪庭があったり、細長い通路に石畳が敷いてあったりして、思いのほか風が良く通ります。打ち水などの効果も抜群。 今、京都では町屋を再生しようという試みが行われています。現代の建物は冬でも夏でもしつらえを替えることなく、エアコン任せ。私たちの生活もそうなっていますが、立て替え、坪庭、打ち水などといった先人の工夫を暮らしの中に取りいれてこそ、建物も再生されてくるのでしょうね。 「スロースタイル」「スローライフ」が流行っていますが、不便さを楽しみ、季節に即した生活を楽しむお手本が、町屋の中にある気がします。 とは言うものの、半端じゃないですよ、京都の夏の蒸し暑さは。 京都には、梅雨は梅雨、夏は夏を楽しむお菓子がたくさんあります。ご来京の折には、それも楽しみの一つに加えてください。左党の方も。 |