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新幹線や高速道路は混雑しているようですが、そんな喧噪とは関係なく、境内でゆっくりと過ごす人の姿を見かけます。本堂の正面階段や境内のベンチは、汗をぬぐう人、おやつを食べる人や本を読む人、昼寝をする人などで「満員御礼」。ほのぼのとした、いい光景です。 お寺というのは、信仰の場だけではありません。 「苦しかった時、お寺のベンチに座って、何だかホッとしたなぁ」とか、「初めてデートしたのは、あのお寺だった」「長い廊下で走って遊んだなぁ」とか、お寺の堂塔や木々の1本1本、空間全体が憩いの場、癒しの装置。それも含めて、仏の慈悲。 最近、そんな、自由に時を過ごせるお寺が少なくなってしまいました。お寺は、オープンスペースが基本ですよね。 昨夜、いろいろな宗派のお坊さんで作る 薄伽梵KYOTO という会の集まりがあり、欧風懐石というのをいただきました。美味しかったです。それはどうでもいいのですが、十数人のメンバーのうち3人が風邪でダウン。欠席でした。 今日のように暑いと、もう寒くはならないだろうと思ってしまいます。でも、若葉冷 青葉冷 新樹冷 田植冷という言葉は、これからの季語。まだ、安心できません。 昨日は、八十八夜。「八十八夜の別れ霜」と言います。新茶には大敵の霜も、そろそろ終わりだそうです。6日は立夏。 暑くなるにつれて、鴬も元気がなくなり、あまり啼かなくなってしまいました。 鴬 も 元 気 を 直 せ 別 れ 霜 一茶 卯の花は満開。でも、歌のようには匂わない気がします。 5月は、「三長斎月」と呼ばれる正五九のうちの一つ。節目とされ、除災招福のための祈願やお不動さん、観音さん、お地蔵さんなどの縁日が催されることが多い月です。ボクも、1日には他のお寺の「大般若転読会」という法要に出てきました。 正五九の正月は新しい年の安泰を、5月は豊作と子孫繁栄、9月は収穫への感謝祭という意味でしょうか。かつては、この頃には家の普請や引っ越しはしてはいけない、慎重に過ごさないといけないと言われていたようですが、最近は気にする人もあまりいません。 あっという間に草が伸びましたね。それに、虫が出だしました。 先日、草刈りをした後、頭に何か付いているようなので、払ったら、毛虫でした。かぶれたかなぁと心配でしたが、大丈夫でした。 1年のうち最低1回は、蜂、イラガ、毛虫などいずれかの被害に遭います。そんな季節が始まったのですね。虫の被害も1年のお決まりですから、仕方ありません。 鴨川の皐月の床が始まりました。こんなお天気のいい日の夜は気持ちがいいでしょうね。床といえば、鱧を連想します。鱧を食べるのは、5月〜9月頃。京の夏を代表する食材です。宇治の新茶もそろそろ。 今夜の夕食を何にしようかと案じておられる方、目で、舌で、夏を感じるものにされてはいかが? |