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秋の紅葉シーズンも今日明日から来週の連休がピーク。京都市内の社寺や観光施設などのライトアップや特別拝観も、今が真っ盛りとなっています。 ところが、今年の紅葉は暴走族。あれよあれよという間に色づいて、気がついたら盛りを少し過ぎてしまった気がします。 先週の土日から今週初めにかけてが一番きれいだったのではないでしょうか。カエデは輝きを失い、そろそろ葉抜け?状態になってきました。モミジはそれよりは少し遅れ、ちょっとピークを過ぎたところ…いや、やっぱり今がピークかなといった感じ。 こっちの木が最高潮でも、隣の木はもう数日後が最高という違いを内包したバランスの中で、全体としては今が最高という瞬間が生まれてきます。そういう意味で境内全体を見渡すと、「ピークを過ぎたかなぁ」という感じがするのです。 でも、これは毎日見ているからこそわかる違い。お越しになった皆さんは、きっと「わぁ、きれい!」と歓声をあげられることでしょう。今年は本当にきれいです。 同じ紅葉を見るにしても、朝8時頃か夕方の斜光の陽射しを透かしている紅葉が一番! 時間が許すなら、天気のいい夕方をぜひともお勧めします。 紅葉の進み具合、天候、時間などによって、見え方が一瞬一瞬みな違います。どんな紅葉に出会えるかは縁以外の何ものでもありません。 平年では11月末から12月初旬が見頃ですが、こちらも今年は早く、紅葉自体は次の連休が見頃でしょうか。 ただ、本堂裏の紅葉の見所は散りもみじ。紅葉が終わって、散った赤い葉が緑色の苔の上に一面に積もった時、それは本当にきれいですよ。一番いいビューポイントは、それが見渡せる高い本堂の回廊の踊り場。タイミング的には、枯れ葉が縮れてしまわないよう雨が降った後。とびっきり最高ですが、かなり出会い難いタイミングです。 このページではモミジとカエデを区別して書いていますが、どちらもカエデ科カエデ属の木。 園芸的には、葉の切れこみの深いものをモミジ、浅いものをカエデといい、イロハモミジ(イロハカエデ)、ヤマモミジ、オオモミジがモミジ、トウカエデ、イタヤカエデ、花の木などをカエデと呼んでいます。 モミジは、葉が紅や黄色になる意味の古語「もみつ」が語源。カエデは葉の影がカエルの手に似ていて、「カエルデ」が変化したものとか。 葉や幹や樹の形も違います。落ち葉をご覧になっても違いがおわかりになると思いますよ。 このお練りの時に、紅葉が美しいということは近年ありませんでしたが、今年はドンピシャ! 豪華な僧侶の衣装と美しい紅葉は、最高のマッチングでした。 また、2メートルほどの至近距離でご本尊を拝める年に1度の機会とあって、多くの方がご本尊が安置されている宮殿への暗い階段を登っておられました。 さて、この十夜結願大法要の日、中風除け(タレコ止め)の十夜粥が参詣の方々に接待されます。 もともと十夜粥は、ご本尊に供えた小豆飯のお下がりをお粥にして、参拝の方々に振る舞ったのが始まりだといわれています。 小豆はその赤い色に呪力があるとされ、古くから災厄除けとして多く用いられてきまし 小豆は、古代には薬としても利用されていたそうです。小豆に含まれるサポニンには溶血作用があり、血栓を溶かす働きをもっているため、昔の人は産後の肥立ちが悪い女性に小豆粥を食べさせて、お産の時にできた血栓が体内をめぐって心臓や脳でつまらないようにしたといいます。 十夜粥も、脳梗塞などの脳血管障害で身体が不自由になって排便・排尿の世話をしてもらわなくても済むようにと、小豆粥の薬効を経験的に活用し、秋の収穫への感謝と合わさって、古くから伝承されてきたものと考えられます。 雑炊のことを「おじや」という地方がありますが、これは「おじゅうや」がなまったのだとか…??? 真偽のほどは知りません。 そうそう、今日明日から来週の連休は、観光地近くの道路がかーなり混雑します。特に、嵐山や大原、東山界隈などは大渋滞です。永観堂〜清水あたりの東山界隈は、ライトアップをしている寺院が多いので、夜でも大混雑です。 バスなどでの移動はあてになりません。電車などで行けるところは、少々遠回りでも、そちらをお勧めします。 毎年、渋滞のために新幹線に乗り遅れたというような話を聞きます。余裕を持った計画をお立てになって、楽しい秋の佳き日をお過ごしください。 ボクは、そんな混雑の中、どこへも行く気がしませんので、自坊に引きこもっています。といっても、境内も大混雑だけど…。 枯れ葉を燃やす煙が、境内に立ちこめる日もそう遠くありません。そろそろ焼き芋の準備をしなきゃ! |