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真如堂 NOW !!



真如堂墓地から見た大文字 「大の右横にかすかに鐘楼の屋根が見えます

 雲の様子が次第に変わってきて、少しずつ秋の気配を感じるようになりました。
 鴨川の水辺には、多くの赤とんぼが飛び、蝉の声と徐々に交代しているような気がします。

 お盆もようやく終わりました。ボクにとっては、実に長くて暑い日々でした。
 お盆を締めくくる「京都五山の送り火」。簡単に「送り火」とか「大文字」とか呼びますが、「大文字焼き」とは決していいません。
 16日午後8時、東山・如意ケ岳の大文字を皮切りに、妙法・左大文字・船形・鳥居形と点火され、お盆に帰ってこられた精霊を再び冥府に送ります。
 真如堂からは、一応、五山すべてを拝むことができますが、そのためには境内を走り回って、ごく限られたスポットに行かなければなりません。一番よく見えるのは、大文字ですが、これとて近すぎるのと、「大」の字が少し北を向いているのとで、スカッと見えるというわけではありません。
 それでも、この時が来ると、「あー、お盆も終わったなぁ」としみじみ実感します。


銀閣寺前の護摩木の受付。護摩木15000本が用意されている。護摩木300円、松割り木400円
 大文字を長く守ってこられたのは、銀閣寺周辺の地元住民でつくる「NPO法人大文字保存会」です。
 伝統行事とNPO法人?と不思議に思われるかも知れませんね。「大」の火床のある約3.3ヘクタールの大文字山の土地が勝手に転売されないように、法人名義の共有地として登記するためにNPO化されたとか。山中での草刈りや登山道の整備などの普段からの手入れ、そして「大」を描く75の火床にくべる護摩木や松割り木を準備して山上に上げる作業など、本当に大変なことと思います。
 京都の伝統行事は、多くの人のそんな苦労のお陰で成り立っているのですね。
   銀 閣 に 浪 華 の 人 や 大 文 字      蕪村

 今日も昔と変わりなく、銀閣寺の周りはたくさんの人であふれかえっていました。
 

お供物は川に流さず、京都市が用意した段ボールへ

 かつては、お盆に精霊のためにお供えしたものやお飾りを川へ流しましたが(精霊流し)、かなり以前から京都市では河川汚染をさけるために、行政がお供物を回収するための箱をお寺や公園に設置しています。
 16日お昼には、その箱もお供物でいっぱい。
 真如堂の前に置かれた箱には、ちゃんと卒塔婆やお参りするための祠が用意されていますが、公園などの場合は、所によってはゴミのすぐ隣に置いてあったりして、あんまりの扱いです。
 京都の行政って、文化とか宗教とかには音痴なのではないだろうかと、よく思います。それって、きっとボクだけではないと思いますよ。


ホテイアオイの花 涼しげです
 真如堂境内は、お盆が終わると、またいつもの静かな雰囲気に戻るでしょう。
 ムクゲの花はまだよく咲いていますが、やはり雨が欲しそうです。
 台風が適当な雨をもたらしてくれるでしょうか。

 お盆で忙しくしている間に、小池のオタマジャクシの姿が見えなくなってしまいました。いつも、足が出る段階までは確認できるのですが、尾がなくなり、陸に上がるのを、いまだかつて見たことがないのです。
 こんな暑い中、陸に上がったら大変でしょうに。カラスなどに襲われることなく、元気でいてくれるといいのですが。
 その池のホテイアオイに花が咲きました。なかなかきれいな花でしょう。すでに枯れて水の中で透明になってしまっている花もありました。
 お盆で忙しく、花が咲いたのにも気がつかないほど「心」を「亡」くしていたのかな。取り戻さなきゃ。