8/10版 
真如堂 NOW !!



吉祥院の百日紅

 本堂では、今朝9時半からお盆の精霊迎えの施餓鬼法要が営まれ、300人ほどの方が参列されました。
 京都では13日〜15日がお盆のピーク。その前に精霊を迎え、終わる16日に送り火で精霊を送る。迎えから送るまでの間、精霊が家におられる間にお寺から棚経に来てもらというのが大きな流れでしょう。
 盆踊りなどの様々な行事は、年に一度帰ってこられる精霊を接待する大切な行事だったわけですね。そう考えると、一連の行事の意味がわかってきます。
 京都では、精霊を「お精霊さん(おしょらいさん)」と呼びます。何にでも「お」や「さん」を付けたりするのは京都弁の特徴? 粥を「おかいさん」といったり、お寺や神社まで「祇園さん」「東寺さん」、デパートも「大丸さん」。こういうのを「はんなり」というのでしょうか。なかなかいいものです。
 お盆の間は、とにもかくにも大忙し。自坊の場合、とても13〜15日の間で棚経を回ることは不可能。8月の声を聞くと同時に棚経スタート! 送り火の日まで回っています。伺う家は約240軒。西は神戸から東は滋賀・近江八幡。酷暑の中の必死の年中行事です。そこへ向けて、「稼ぎ時ですね」なんていう輩は、何をか言わんや!ですね。

 8日は立秋でしたが、「秋」だなんて誰も聞いてくれないような、テレビでも気弱な伝え方でした。
 「旧暦の立秋だから季節にあわない」と思っておられる方も多いようですが、そうじゃないようですね。
 今の立秋は、太陽の中心が黄経135度を通過する日と定められているそうで、これは旧暦とは関係ないのです。
 では、なぜこんな暑い最中に「立秋」なのでしょう。今年の立春は2月4日、立夏は5月6日、立冬は11月7日と、どれも1ヶ月早い感じですね。
 このような暦の上の「二十四節気」と呼ばれるものは他の多くの日本文化と同様に、もともとは中国の殷の時代(約3000年前)に成立したもの。二十四節気は、当時の黄河中流域の気候を反映したもので、それをずっと気候の違う日本で使い続けているのだそうです。だから、1ヶ月違う気がするのも当たり前。
 中国3000年と言われると、日本人は弱いのかな? そんな薬を飲んで死んでしまったら元も子もない。

 棚経の間もデジカメを持ち歩き、何かいいネタはないかと探しているのですが…
 八百屋さんの店先に、お盆用の蓮にのせた「お供物セット」が並ぶようになりました。お店によって構成はいろいろですが、サツマイモ・なんば(トウモロコシ)・ささげ(豆)・飾り南瓜・キュウリ・ナス・ホーズキなどが一盛りになって売っています。おがら(麻幹)などは当期限定品ですね。

哲学の道 銀閣寺下る付近
 年に一度、ご先祖さんが帰ってこられて、家で過ごされ、それを精一杯ご接待して、またお送りする。いのちの継承を感じさせ、いま自分が存在するのはその方々のお陰と感謝する。自分一人で生きているような顔をしている現代人には、なおさら必要な行事ではないでしょうか。
 いつになく、坊さん制作ぽいページになりました。喜ぶべきか?

 で、元へ。デジカメを持ってウロウロしましたが、特段面白いものもなく、とうとう行き詰まって、哲学の道に行って「パシャ!」。なんの変哲もない写真です。
 哲学の道も、暑さのためか、人はまばら。景色も別になんてことないです。こんな暑いだけの京都に来る人の気が知れない! 住んでる人はもっとエライ! 京は往生の地。ほんま、おうじょうします。