10/18版
今日の真如堂?

 台風10号は夕べの夜中に京都に最も接近したようですが、それほど大きな被害はありませんでした。ただ、火祭りで有名な貴船の由貴神社の屋根に大木が倒れかかって、屋根が破損したということですが、今月22日の祭りには影響がないということでした。
 10月とは思えない“暑い”日が続いています。ちょっと動くと汗が出るくらい。


引声法要の時のみ奉られる宝塔。中心の経巻には引声の譜が記されています

 毎年、10月14・15・16日の3日間、本堂で「引声阿弥陀経会(いんぜいあみだきょうえ)」という法要が営まれます。この法要は、今では真如堂などでわずかに伝承されているだけの珍しいものです。いつもなら、この法要の時はちょっと足下が寒く感じられるものですが、今年は汗をかきながらでした。
 引声にはこのような歴史があります。
 仁明天皇の承和5年(840)6月22日、真如堂ご本尊の作者とされる慈覚大師円仁は、勅使参議相模守藤原常飼とともに渡唐しします。日本を出てから帰国するまでの約10年間の記録は世界3大旅行記といわれる著作『入唐求法巡礼行記』に詳しく載っています。
 今のような気楽な旅ではなく、文字通り一命を賭した求法の旅で、様々な辛苦を経験して中国・五台山巡礼を終えて長安に入ったかと思うと、武宗の廃仏運動に合って還俗させられたりして、本当に苦労の末帰国されています。
 慈覚大師は五台山で生身の文殊菩薩に巡り会い、極楽世界の八功徳池の浪の音に唱うる曲調の「引声阿弥陀経」を受得されます。これがそもそもの引声の起こりです。
 ところが、厳しい船旅に心身ともに疲労した大師は引声の曲を忘れてしまいます。そこで、「引声の曲をお伝え給え」と焼香礼拝して祈願すると、たちまち虚空から帆柱の上に小身の阿弥陀如来が香煙に包まれて現れ、大師に引声阿弥陀経の曲を教えたといいます。大師はこの如来を袈裟の紬につつみとり、帰朝してから阿弥陀如来を彫り、その中にそれを納めたといいます。この阿弥陀如来が真如堂のご本尊です。
 フー、長い説明でした。実際の引声法要のお経が「主な行事」のコーナーにありますので、興味のある方はどうぞ。
 それから、浄土宗ではこの引声法要と十夜法要が一体をなってしまっていますが、歴史的にみても本来はまったく別のものだと思います。

 実はこうしてつらつら書くのも季節ネタが少ないからで…。
 取って付けたみたいですが、お正月などに使う千両の実が赤くなり始めましたね。それから、お茶の木に花が咲いています。よく見るとなかなかいい花ですよ。グミの花ってご覧になったことがありますか? ホントに地味な花です。花弁自体もごく薄い緑がかかったような色で、梨地のようなテンテンがあります。
 それから、自然薯(じねんじょ)のツルにできる実をご存じですが? 「ムカゴ」とか言っていますが、これをかき揚げにして食べても、炊き込みご飯にしても美味しいですよ。

お茶の木の花

グミの花

自然薯(じねんじょ)の実