8/8版
今日の真如堂?



写真 水野克比古氏
 「真夏!」という感じのお天気が続きますね。今年はエルニーニョで涼しいとかいう予報でしたが、今のところそうでもなさそうですね。
 8月に入り、いよいよお盆が近づいてきました。私の自坊でも8/1よりお盆の棚経を始めています。15日までに約250件の家を回らなければなりませんし、遠いところは神戸や滋賀県の近江八幡まで行きますから、とても13日ぐらいからというわけにはいきません。
 お盆というのは、「盂蘭盆(うらぼん)」といい、インドのサンスクリット語の「ウランバナ」から来ています。ウラがあるならオモテもあるのかというと、そうではありませんよ。「ウランバナ」というのは「逆さ吊りの苦しみ」という意味で、餓鬼道(六道の一つ)に落ちている人の苦しみを指します。で、お盆というのは、その苦しみを救おうという行事なのです。
 『盂蘭盆経』というお経には、お盆の起こりをこういう風に書いてあります。
 お釈迦様の弟子の目連(もくれん)さんが、神通力によって、自分の母親が餓鬼道に落ちて苦しんでいるのを知ります。何とかこれを救いたいと、お釈迦様に相談すると、夏安居(げあんご)という修行期間が終わった時、僧侶たちに供養をしなさいという指示を受けます。そして夏安居が終わる7月15日に供養にした、ということです(「僧侶たち供養しなさい」と言われたから、お盆にお布施を出すのではありませんヨ。念のため。)。
 それに因んで、今、東京の一部は7月にお盆の行事をし、あとはほとんど月遅れの8月にするというわけです。本来は餓鬼に落ちた先祖を救うためですが、今は先祖供養の期間の代表のようになっています。
 最近、お盆を休みをとって遊びに行くための期間のように思っている人もいますが、そういうときこそ田舎に帰って、墓参りや、故郷の匂いをかぎながらいのちのつながりを体感するなんてことも大切ではないでしょうか。
 「感謝」、食べ物への感謝、周りの人への感謝、自然や地球への感謝…そんなものを忘れて自分独りで生きている気になっている人が多いですね。お説教臭い?
 「お盆は儲かっていいですね」なんていう人がいますが、そういう発想しかできないのでしょうかねぇ?

 夏の花、百日紅が咲き出しました(まだ、この写真のようには満開ではありません)。この花を見ていると、余計熱くなりそうな気がします。
 境内には、総門の近辺を中心に、10数種、30本程の木槿(むくげ)の低木があります。それらのほとんどはここ15年ほどの間に植えられたものですが、それでも木槿の名所として真如堂が雑誌などにも載るようになり、この季節になるとカメラを持った人が増えます。
 木槿は中国原産で、今では園芸用に品種改良されて、多くの種類があります。朝咲いた花は夕方にはしぼんでしまいますが、次々と花を咲かせ、秋口まで楽しませてくれます。
 夏の暑い盛りに咲いているのは可哀想な気がしますが、一服の清涼剤の感もして、見ていると心が和みます。