98/1/1版


 皆さん、あけましておめでとうございます。
 昨年は、ビックリするような時間が多発し、政治が不安定だったり、大型倒産が相次いだりした不安な年でしたね。
 今年も、皆さんのご意見やアドバイスを受けながら、このページをより興味深いものにして、バーチャルな面からもお寺に親しんでいただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 大晦日から元旦にかけての真如堂。大晦日は3時から除夜のお勤めをします。今年最後の法要です。「除夜」というのは「1年の迷いを除く夜」という意味で、年末に大掃除をするように心の穢れも除くわけですね。
 それが済むとそれぞれ自分の坊に帰って、新年の準備の続きをしたりしながら夕食の時を迎え、年越そばを食べたりします。

 なぜ大晦日に年越そばを食べるのか? これは受け売りですが、
○細くて長いそばの形状から、家運を伸ばし、寿命を延ばし、身代が長続きするようにという願いを込めたという説。 ○そばの実の形が、邪気を払う三角の形をしているからという、“ピラミッド・パワー”あやかり説。 ○「蕎麦は五臓の汚れを去る」と言い伝えられることから、年末に商家で貸借勘定を清算して、さっぱりした気分で新年を迎えるという説。 ○植物としての蕎麦は、山の荒地でも耕作でき、悪天候にも強く、飢餓から人々を救ったことから、苦境の頃を忘れずに、という教訓説。 ○京都で金箔を延ばすとき、打ち粉にそば粉を使うと金箔の裂けを防ぎ、また、飛び散った金の破片を、そば団子で集めたことから、財産が増えるようにとの願かけ説。と、まぁ諸説あるようですが、美味しくて、縁起がいいのであれば何でもかまいません。


今年は暖かかったためか、例年より多くの方が撞きに来られ、
5〜6人で1撞。外国の人たちもいっぱい         
 私のところでは、知り合いの聖護院の河道屋養老さんからいつもたくさんのおそばをいただきます。普通のおそばと茶蕎麦があって、私はやはり本来の蕎麦がいいですね。3玉か4玉ぐらいは食べて腹ごしらえです。というのも、しばらくしたら除夜の鐘に“いざ出陣”だからです。
 除夜の鐘は12時前から撞き始めて1時半頃までかかります。耳を澄ませば、南禅寺や法然院などの鐘の音も聞こえてきます。最後まで鳴っているのは知恩院の鐘。あれだけ大きいと撞くのに時間がかかります。
 終わって再び自坊に戻り、すっかり冷えた体をお風呂で温めて、2時過ぎ就寝(実はいま鐘楼から帰ってきたところ。これをアップしてから寝ます)。

 寝たかと思えばもう目覚まし。元旦のお勤めを「修正会(しゅしょうえ)」と言いますが、真如堂では6時から始まり、その年が平和でみんなが安穏であることなどを祈願します。法要が始まる30分前頃には行かなければなりません。また、下っ端ほど早く、5時頃には起きて本堂の扉を開けなければなりません(ボクは中間のちょっと下のなのでほどほどに)。ですから、若い僧侶は元旦寝不足です。
 修正会は昔から「1年の最初に出す声でお経を読む」という習わしがあり、誰も「おめでとう」といわず、目礼で「お・め・で・と・う」。
 この時のお勤めは、朝・昼・夕の分をいっぺんにやって、だいたい1時間半。本堂はよほど冷え込むので、ここでの長時間のお勤めは辛いものがあります。
 それが終わると拝賀式。真如堂のトップである「貫主」に新年の挨拶をし、お屠蘇や昆布茶などをいただいて、その日の一山としての公式行事は終わりです。あとは、7日と14日にも正月関連の法要があります。

 お正月はゆっくりしていられるか? そんなわけありません。お正月には檀家の方々がたくさん来られ、新年の挨拶とお墓参りをされます。10時頃から3時頃まではひっきりなしで、うちではこの方たちに和菓子と抹茶をお出しします。お茶を点て続けて手首は痛くなるは、お昼もまともに食べられないは…。でも、お正月はほとんど一家揃ってという方が多くて賑やかで、また少なくなったものの晴れ着の方もおられ、晴れやかですね。

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